求人広告を作成する際、法令で禁止されている表現があるのはご存知でしょうか。
ここでは「ジェンダー・性別に関わる表現」「年齢に関わる表現」「特定の人やカテゴリーに関わる表現」そして「会社の実績・実態に関わる表現」の4つのカテゴリーに分け、例を挙げて解説していきます。
日本では、性別や年齢、国籍などで労働者が不利になることのない、働きやすい社会実現に向けた法整備が進められています。
その法整備は、男女雇用機会均等法、雇用対策法、職業安定法など多岐に渡ります。
違反した場合、資料の提出を求められたり、求人広告の掲載が取り消されるケースもあるため、求人の募集に際してこれらに違反することのないよう十分に注意しましょう。
ジェンダー・性別に関わる表現
労働者の募集や採用において、性別を理由に採用の対象から除外したり、異なる条件を設けることは、男女雇用機会均等法で禁止されています。
違反となる内容とNG例、OK例は下記のようになります。
これらを参考に、性差別のない採用活動を心がけましょう。
事例1:営業マン→営業職、営業スタッフ
「営業マン」は男性のみを想起させる表現であるため、NGとなります。
「営業職」「営業スタッフ」などの表現が適切です。
【類似事例】
主婦歓迎→主婦(夫)歓迎
事例2:男性2名、女性1名募集→3名募集
募集、採用の条件を男女で異なるものにすることは禁止されています。
公平な条件での募集であることがわかるよう表記してください。
※例外として、防犯上やスポーツにおける競技の特性上など、特別の事情により男女を均等に従事させることが困難であると認められる場合のみ、違反にはなりません。
年齢に関わる表現
労働者の募集や採用の際、年齢制限を表記することは、雇用対策法により禁止されています。
NG例とOK例、禁止されている内容は以下のようになります。
年齢制限を設けないようにし、幅広い採用を視野に入れましょう。
事例1:募集年齢35歳まで、18歳以上→年齢不問
特定の年齢層を除外する表現は禁止されてい、具体的な年齢表記はNGです。
年齢は制限せず、仕事内容と必要な能力や体力などを明示することで、応募者自身の能力でできる仕事なのかを判断できるようにするといいでしょう。
【類似例】
若者向けの洋服販売スタッフ(30歳以下)
→主に20代をターゲットとした洋服販売スタッフ(年齢不問)
※長期勤続によるキャリア形成のためなど、「年齢制限に合理的な理由がある」と認められる場合は例外とされています。
特定の人やカテゴリーに関わる表現
特定の人を差別・優遇する表現は労働基準法で禁止されています。
差別的な意図の有無に関わらず、特定の人を傷つける「差別表現」に注意しましょう。
差別の意識を無くすことはもちろんですが、求人を見た人に不快感・不信感を持たれることのないようにしましょう。
事例1:外人→外国人
「外人」は差別用語に当たります。また、差別用語と認識している人も多く、不快感を与えます。外国人と表記するようにしましょう。
【類似例】
後進国→発展途上国
事例2:色盲、色覚異常→色覚障害
色盲、色覚異常も差別表現なので避けましょう。色覚障害と表記するようにしましょう。
会社の実績・実態に関わる表現
求人広告を出すにあたり、実態とは異なる好条件を掲載して労働者を募ることは、労働基準法などに違反します。
経営状況などが変わり、労働条件に変更がある場合は、労働者に事前にきちんと説明するようにしましょう。
事例1:時給1110円(※実際には1000円からスタート)→時給1000円〜1100円
実際には1000円からのスタートであれば、そのように記載する必要があります。
また、これが東京都の場合であれば、最低賃金が1013円なので最低賃金法に違反します。時給1013円〜が正しい表記となります。
まとめ
雇用に関する法制度は、労働者側にだけにメリットがある訳ではありません。
雇用者側も、これらの法令を遵守する事でより良い雇用の新たな機会が生まれます。能力は男女差や年齢に関わらず、個人差によるからです。
また、公平な採用活動をしていることは、社会的にも、企業自体のプラスイメージに繋がります。法令を守ることはもちろん大事ですが、性別や年齢にとらわれることのない採用活動をして、チャンスを広げてみてはいかがでしょうか。