コロナ禍という未曾有の事態に突入して早1年。人々も生活の変化に少しずつ慣れ始めているかもしれません。
一方で経済への影響は凄まじく、外出自粛や店舗休業によって大打撃を受けたファッション・アパレル業界はまだまだ厳しい状況に置かれています。
こうした状況下で、ファッション・アパレル業界で働く人の転職意向はどうなっているのでしょうか?
本記事ではパーソルキャリア株式会社が運営するアパレル・ファッション業界専門の転職支援サービス「クリーデンス」が発表したアパレル・ファッション業界で働く人の「他業界への転職意向」の調査結果をご紹介します。
コロナ禍でも他業界への転職意向は比較的低い
2021年5月にクリーデンスはファッション・アパレル業界で働く515名を対象にインターネット調査を実施。コロナ禍における転職意向が明らかになりました。
「新型コロナウイルスの流行を機に、他業界へ転職したいと考えるようになりましたか?」という質問に対し、36.7%の人が「はい」と回答しました。
転職サービス「doda」が2020年度に行った「異業種転職・異職種転職」に関する分析の結果と比較すると、ファッション・アパレル業界で働く人の他業界への転職意向は低いと言えます。
先行きが不透明な状況にもかかわらず、こうした結果になった背景には「ファッション・アパレルが好き」「この仕事が楽しい」「やりがいがある」といった業界に対するポジティブな意見が多く見られました。
一方で、他の業界への転職を考えているという人からは「コロナに影響されない安定した業界で働きたい」「業界の将来が不安になった」など、キャリアや生活に対する不安の声が上がっています。
また、コロナ禍に起因する働き方や収入の変化に直面して、ファッション・アパレル業界の長年の課題であった労働環境や給与の問題に対する不満が大きくなったことも、異業種への転職を目指す動機になっているようです。
業種未定が多数…コロナ禍でも好調な小売は人気
では、転職を目指す人はファッション・アパレル業界からどのような業界への転職を希望しているのでしょうか。
全体で見ると、「行きたい業界は決まっていない」と回答した人が37.6%で最も多く、次いで「小売」31.7%、「メーカー」29.6%、「IT・通信」24.9%という結果になっています。
特に30代・40代では、行きたい業界は決まっていないと答えた人の割合が約4割となっています。長く業界にいるからこそ、今後のキャリアプランへの迷いがあると言えるでしょう。
業界別に見ていくと、「小売」は20代の半数以上が志望するなど、非常に人気が高いです。その理由としてファッション・アパレル業界で培った接客スキルを活かせることが挙げられます。
また、小売業界の中でも「インテリア業界」の人気が高くなっています。ファッション・アパレル業界の落ち込みに対する不安からか、”おうち時間”の増加で追い風を受けて好調な業界に可能性を感じる人が多いようです。
2番目に人気の高かった「メーカー」は、商品化までの流れがファッション・アパレル業界と似ているためイメージしやすいこと、生活必需品などに関わる企業は、安定性があり長く働くことができることが人気の要因となっています。
3番目の「IT・通信」は、自由な労働環境や業界の成長性の高さに魅力を感じた比較的若い年代がスキルを身につけるために志望していると考えられます。
Text:READY TO FASHION MAG 編集部