採用面接において、求職者が自社の求める人材かどうかを見極めるために、質疑応答によって判断を行う事は非常に重要です。しかし、適切な質問内容や立ち振る舞いを行わない場合、かえって求職者に悪印象を与えてしまう恐れがあります。
本記事では、人事担当がついやってしまうNG言動と改善策を3つの項目別にご紹介します。
貴社の採用ブラッシュアップに、ぜひお役立てください。
01. 面接に臨む際の採用担当者のスタンスについて
<今すぐやめよう>
・求職者と対等な立場で接していない
・賢そうに振る舞っている
・短時間で人柄を見抜こうとする
・自分と似たタイプの人材を評価しがち
<なぜダメなのか?>
面接において、自身や会社の有能性をアピールしようとしたり、面接は求職者のジャッジを行う場と認識していませんか?
面接は人事担当と求職者が、対等な立場でお互いに評価をし合う場という事を、今一度認識し、マインドを改めるように心がけましょう。
前述した通り、面接は企業と求職者が「お互いに評価しあう場」で、「求職者をジャッジする場」では無いにも関わらず、時折面接官は上から目線な態度になりがちです。
上記のような面接官には、「求職者に負けたくない」「求職者にリスペクトされなければいけない」などの思い込みがあり、自己顕示してしまう傾向が見られます。つまり、求職者から賢く見られるように振る舞おうとするのです。
しかし、面接で大切な事は、求職者の知見や能力を見極めることであり、求職者からも会社を選んで貰っている・評価されているという意識を持つ事が重要です。
<改善策>
まずは、求職者と対等でフランクな姿勢になる事を意識してください。時には、知っている事柄であっても、知らないフリをして聞くというような行為も有効です。自己顕示欲やプライドを捨て、求職者に寄り添った対話をするように意識しましょう。
また、選考を通過させる勇気を持つこと、求職者をリスペクトすること、この辺りを意識できるようになると、さらに面接の”質”が向上します。面接の通過率は30%以上を保つ事を意識するようにしてみてください。面接は圧倒的に”落とす”事の方が楽ですが、通過率の平均値は30%と言われており、一つの指標とする事をお勧めします。
そして、その通過率を上げるためには、求職者へのリスペクトが必要不可欠です。求職者の欠点ばかりを注視せず、自社に活かせそうなスキルを見つけ、リスペクトし、時にはその場で求職者に伝える事も行ってください。求職者は「面接官が自分の事を認めてくれた」と感じると、志望度が高まるため、その点においても有効策と言えます。
まずは、第一段階として、面接の際の姿勢を見つめ直してみましょう。
02. 面接におけるNG質問と言動
<今すぐやめよう>
・最初に自己PRと志望動機を聞く
・目的意識に欠けた質問や不適切(タブー)な質問をする
・威圧感のある態度やフレンドリーすぎる態度
・求職者の発言に対して受け答えをしない
<なぜダメなのか?>
「本籍地」「出生地」「家族」「住宅状況」「思想」「信条」といった個人情報については、職業安定法上、質問項目として収集が認められていませんので、誤って聞いてしまうことが無いように注意しましょう。コンプライアンスの意識が高まっている昨今では、重大な問題に発展してしまう可能性があります。
また、面接の進め方において「最初に自己PRと志望動機を聞く」事がなぜダメなのか。つい面接の冒頭で聞いてしまう方も多いと思いますが、初めに自己PRや志望動機を聞いてしまうと、学歴や経歴による「バイアス」が生まれます。このバイアスが邪魔をして、精緻な選考を進める事が出来ず、結果としてミスマッチを招いてしまう恐れがあります。
また、「目的意識に欠けた質問」についても、当然避ける必要があります。面接の時間は限られており、求職者としても良い印象にはならないでしょう。
面接中の態度についても、威圧感を与えないよう注意し、かと言ってくだけすぎず、バランスを意識して対応する事が大切です。当たり前の事ですが、求職者の発言に対しては、声を出して返答をし、相槌をきちんとするよう心がけましょう。
<改善策>
面接の基本姿勢として、「意見」では無く「事実」を収集する事を意識してください。
自己PRや志望動機は、基本的に「客観的事実」では無く、応募者の「主観的な意見」です。意見ばかりを聞いていると、求職者の本質を見誤ってしまいます。求職者が「どう考えているか」では無く「何をやってきたか」。以上の内容を念頭において面接を行うことで、面接の精度は高まるはずです。
また、選考フロー初期段階の面接では、自己PRや志望動機の代わりとして「選社基準」を聞く事をお勧めします。前述したバイアスが生じる事を防ぐことが可能です。
面接を成功させ、内定に導くためには、求職者に好印象を与える必要があります。企業の”顔”であることをわきまえた服装や立ち振る舞いを意識してください。
求職者のマイナス点では無くプラス点を見い出し、自社の事業に寄与できる可能性を探るという視点を持つようにしましょう。
03. 内定辞退・ミスマッチを防ぐために取るべき行動
<今すぐやめよう>
・求職者の情報を十分に引き出せていない
・自社の情報を明確に説明出来ていない
・求職者に懸念点や疑問点を残してしまう
・求職者に対する好意を伝えられていない
<なぜダメなのか?>
求職者は興味を持った企業から書類選考通過の連絡を受け取ったタイミングで、最も期待値が上がった状態になります。しかし、面接を終えて、期待していた内容と違うと感じると、一気に冷静さを取り戻し、志望度は低下。辞退を考えるきっかけになります。
求職者は緊張した状態で面接に臨んでいるため、その場ではあまり気に留めていませんが、面接終了後、時間を置いて面接の内容を振り返った際に、面接官の発言や行動に引っ掛かりを感じることがあります。
内定辞退やミスマッチの防止については、各プロセス毎にポイントがありますが、今回は面接時のポイントにフォーカスしてお伝えします。
ヒアリングが不十分だった場合や面接時間が短かった場合は、「自分に興味が無いのだろうか」などとネガティブな印象を持ってしまうケースが多々あります。また、逆質問の時間が十分に設けられず、疑問点を解消できなかった場合は、大きな不安を残すことになります。
面接官からすると些細な事であっても、求職者目線では非常に気になってしまうポイントがいくつもあるため、細部にまで気を配って、誠意を持った対応に努めてください。
<改善策>
まず、面接時のヒアリングは十分に出来ているか、以下2つのポイントを見直すことで確認してみましょう。
①求職者の情報を十分に引き出せているか
求職者に対して、表面的な内容ばかり質問してはいませんか?どのような内容においても、”深堀り”して質問していくことが重要です。
面接官は、日常会話とは違って「しつこい人」になるべきです。質問を繰り返して深掘りをしなければ、候補者の話す内容のレベル感を測ることができないためです。
また、求職者の本質を引き出すためには質問力も重要ですが、本音で話してもらえるような雰囲気作りも非常に重要なポイントです。
②自社の情報を明確に説明することができているか
求職者に入社したいと思ってもらうためには、他社との明確な差別化を訴求する必要があります。自社のどういった点が魅力的なのか、どういった社員が在籍しているのか、自社の情報をオープン且つ明確に説明しましょう。
魅力づけをしっかり行い、求職者の志望度を上げるように心がけてください。
また、前項でも触れましたが、逆質問の時間を十分に確保する事も重要です。求職者は応募先の企業に対して少なからず興味を持ち、面接に参加しているため、自身がリサーチする中で疑問点が湧いているはずです。
面接官側から十分に自社の情報を発信できているつもりでも、全く異なった角度から質問が投げかけられるケースもあります。そのため、意識的に逆質問の時間を担保するようにしてみてください。質問内容のレベル感も、一つの判断材料として活かす事ができ、一石二鳥の策と言えます。
面接では”対話”する事を心がけ、どちらかが一方的に話す時間を少なくし、積極的に双方向のコミュニケーションを図る事で、信頼関係を築く事ができます。その中で、求職者への好意や興味関心を上手く伝えられると、求職者の志望度アップにも繋がります。
また、求職者が自社のどのような点に興味を示しているかを見抜き、興味を示しているポイントにアプローチすることも大切です。求職者の興味に刺さるアプローチをする事ができれば、自社を選んでもらえる可能性は高くなります。
まとめ
繰り返しになりますが、面接は企業と求職者が「お互いに評価しあう場」です。この事を前提に、求職者に寄り添った対応を心がければ、自ずとお互いに納得のできる採用・転職に繋がるはずです。
昨今では状況・市場の変化に伴い、カジュアル面談やオンライン面接など、多種多様な形式で面接が行われていますが、基本的に抑えるべきポイントは変わりません。今回の記事で解説した各種ポイントを抑えて、面接の質を向上させていきましょう。