ソーイングスタッフ(縫製)の概要から、業務内容、求められるスキルや素質、必要/有利な資格、キャリアプラン、求人情報までを紹介します。
ファッション・アパレル業界の職種を徹底解説する連載シリーズ「アパレル業界職種ガイド」。
ファッション・アパレル業界への就職・転職を検討されている方は必見です。
ソーイングスタッフの求人はこちら<目次>
ソーイングスタッフ(縫製)とは?
ソーイングスタッフ(縫製)とは、ファッションデザイナーによるデザインをうけて、パタンナーが作成したパターンをもとに、ファッション・アパレルアイテムや服飾雑貨など布製品の裁断や縫製を手掛ける職種です。
仕上がりの美しさや正確さを求められる技術職で、時間内に商品を丁寧に仕上げる技術力と精神力がソーイングスタッフ(縫製)には必要とされます。
ソーイングスタッフ(縫製)は、手に職をつけることができる技術職なので、子育てや介護で家にいなければならないときも、自分が歳をとっても続けれる素敵な仕事です。
ソーイングスタッフ(縫製)の主な職場は、アパレルメーカーや繊維メーカー、オートクチュールのアトリエやサンプル工場、または量産工場などがあります。
サンプル1着をソーイングスタッフ(縫製)1人で縫製するには、その製品の構造の細部まで理解する必要があります。アイテムごとに異なるため、ソーイングスタッフ(縫製)は、サンプル1着の縫製にも、たくさんの知識と経験、技術が必要です。
また、それらが十分でないときには、量産工場でソーイングスタッフ(縫製)として働くこともあります。
そして、経験を積んだソーイングスタッフ(縫製)は会社に所属せず、独立してこのような会社から縫製業務を受託して活動することもできます。
子育てや介護で家を空けることが出来ないときも、ソーイングスタッフ(縫製)は在宅ワークをすることができます。
そして自分の意志と体力があるかぎりずっと続けることができる点もソーイングスタッフ(縫製)のメリットと言えるでしょう。
ただし現在のファッション・アパレル業界の構造上、ソーイングスタッフ(縫製)の収入が低いケースがしばしば見られるため、特にソーイングスタッフ(縫製)としての経験が浅いうちは安い収入で多くの努力を必要とされます。
それでもソーイングスタッフ(縫製)になりたいという強い意志と「洋服を作るのが好き」という気持ちが必要です。
ソーイングスタッフ(縫製)の仕事内容
ソーイングスタッフ(縫製)の業務の大半は、サンプルの作成です。業務内容には、コレクションサンプルの作成やオートクチュール製品の縫製、量産サンプルの作成、量産工場での作業などがあります。
また、量産工場で仕事をする場合はソーイングスタッフ(縫製)を含めて分業制となっている場合が多いため、指示された工程を担当していきます。
コレクションサンプルの作成
ソーイングスタッフ(縫製)はファッションショーに出すコレクションサンプルを作成します。一点物で特殊な生地を使っていることも多く、失敗は許されません。丁寧に縫製する必要があり、時間がない中で作成しなければならないのでソーイングスタッフ(縫製)には集中力が必要です。
【関連する職種】
・パタンナー
オートクチュール製品の縫製
高級ブティックでソーイングスタッフ(縫製)の仕事をする場合は、注文ごとに1着の製品を縫製します。1点ものの製品を作成するので丁寧な縫製が必要です。一般の人が着るものを作成しているため、ポケットやファスナーなど高度な縫製技術も必要です。
【関連する職種】
・パタンナー
量産サンプルの作成
ファッションデザイナーのデザインを元に、パタンナーがパターンを作成し、ソーイングスタッフ(縫製)が縫製を行います。
ファーストサンプルではデザインが明確に定まっていないこともあるので、ファッションデザイナーやパタンナーとコミュニケーションを取りながらサンプルの縫製を行います。
【関連する職種】
・ファッションデザイナー
・パタンナー
・アパレル生産管理(プロダクトマネージャー)
量産工場での作業
縫製工場では基本的に各工程が分業制になっています。アイロン掛けをする人、裁断をする人、袖を縫う人、身頃を縫う人などパーツや段階ごとに業務が細かく分かれているため、同じ作業を長時間繰り返すので、簡単な作業でもソーイングスタッフ(縫製)には根気が必要です。
【関連する職種】
・パタンナー
・アパレル生産管理(プロダクトマネージャー)
ソーイングスタッフ(縫製)に求められるスキル・素質
ソーイングスタッフ(縫製)に特別なスキルは必要ありませんが、失敗してはいけない1着を縫製するときの本番の強さなど、精神的素質を多く必要とします。
縫製技術
経験を積むにつれ縫製技術は自然に向上しますが、当然ソーイングスタッフ(縫製)には最低限の縫製技術が求められます。ソーイングスタッフ(縫製)に必要な基本的な技術は専門学校を卒業することで習得できます。
同じ作業を繰り返す力
ソーイングスタッフ(縫製)として量産工場に勤めた場合は、同じ作業を長時間、何日も繰り返すことになります。そのような作業を苦としない性格の人がソーイングスタッフ(縫製)に向いているといえるでしょう。
大切なときに力を発揮できる精神力
1点もののサンプルを縫製するときは絶対に失敗は許されません。そのため、ソーイングスタッフ(縫製)には、そのような大切なものを決められた時間内に仕上げることができる精神力が必要です。
向上心
ソーイングスタッフ(縫製)として、縫製技術の向上には向上心は不可欠です。すべての技術を教えてくれるわけではないので、向上心があることで、見て覚えたり、積極的に行動することで一人前になる近道になります。
ソーイングスタッフ(縫製)になるために必要/有利な資格
ソーイングスタッフ(縫製)になるための必須資格はありません。
ただ、一人前のソーイングスタッフ(縫製)になるためには膨大な知識、技術が必要になります。
ソーイングスタッフ(縫製)としての知識や技術向上のモチベーションを保つため、また、転職活動をする際に下記の資格の取得を目指すのも良いでしょう。
洋裁技術検定試験
日本ファッション教育振興協会が主催する洋裁に関する試験です。
上級、中級、初級からなり、筆記試験や実技試験から知識や技術を審査します。筆記試験の中には、論理的な問題や製図問題もあり幅広い知識を必要とする検定試験です
【応募サイト】
洋裁技術検定試験
紳士服製造技術士
中央職業能力開発協会が主催する技能検定制度の一種で国家資格です。
特級、1級、2級からなり、1級、2級は決められた時間内に指定されたものを作る技術試験です。特級では品質、安全などに対する管理項目や作業指導についての計画立案試験があり、実務経験が5年以上ないと受験できません。
大掛かりかつ、国家試験ですので、持っていてとても有利な資格です。
【応募サイト】
紳士服製造技術士
ファッションの資格については各職種別にまとめた下記の記事も参考になるのでぜひご覧ください。
ソーイングスタッフ(縫製)になるためのキャリアプラン
ソーイングスタッフ(縫製)は経験を積むにつれ、任せてもらえる作業が多くなるのが特徴です。
ソーイングスタッフ(縫製)の始めは簡単な作業の繰り返しですが徐々に任される範囲が広がり、1着のサンプルを縫製できるようになります。
一般的には服飾系の専門学校を出るのがソーイングスタッフ(縫製)として働く近道とされています。
卒業後はソーイングスタッフ(縫製)として就職するか、量産工場で経験を積み、その中でサンプル1着を縫えるようになるのがいいでしょう。
1着の製品を縫えるようになることはソーイングスタッフ(縫製)にとってとても大切で、普段から売られている洋服がどのように縫われているのか意識して観察することで技術の早期習得に繋がります。
その後、量産工場で管理業務に従事するか、ソーイングスタッフ(縫製)として転職していくこともできます。
ソーイングスタッフ(縫製)の求人一覧
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【参考文献】
「ファッション辞典(第4版)」(大沼淳、萩村昭典、深井晃子 監修、文化出版局、1999)
「増補新版 図解服飾用語辞典」(杉野芳子 編著、ブティック社、2003)
「1秒でわかる!アパレル業界ハンドブック」(佐山周、大枝一郎、東洋経済新報社、2011)
「ファッション業界大研究[第2版]」(ファッション&ソフトマーケティング研究会 編著、産学社、2019)
「ファッション業界大研究【改訂版】」(オフィスウーノ 編、産学社、2008)
「アパレル素材企画 プロフェッショナルガイド」(野末和志、繊研新聞社、2019)
「役に立つアパレル業界の教科書」(久保茂樹、文芸社、2016)