少し前まで、日本人は英語や外国語が話せない人種として認識されていました。
ですが、現在は海外へ行って勉強をしたり、生活したりすることは珍しいことではなく、より簡単になりました。
以前よりも留学やワーキングホリデーなどは身近になり、手の届く事柄になってきています。
では、ファッション・アパレル業界の仕事と語学力はどのように結びつけることができるのでしょう?
語学力を生かしてファッション・アパレル業界に就職することはできるのでしょうか?
今回はアパレル業界で働く私が、ファッション・アパレル業界の仕事と語学力の関係性について解説しながら、就職・転職活動での効果的なアピール方法を考えてみました。
<目次>
ファッション・アパレル業界と語学力の関係性
結論から言うと、ファッション・アパレル業界と語学力は密接に関係しています。
なんらかの語学力がある場合は、それを役立たせることができるでしょう。
衣料品の製造は一昔前から海外生産が主流です。
以前までは、縫製工場や海外商社は日本での受注を取るため、流暢な日本語を使い日本企業とやり取りをしていました。
しかし、現在では価格競争が激しくなった影響などによって、日本企業が日本に進出していない地域に生産拠点を開拓する動きも活発になりつつあります。
そのため川上の製造業では、その国の言語を使える日本人を採用するという動きもあります。
一方、川下の販売業では、インバウンドの需要が高まるにつれて、日本人以外の旅行者と接する機会が増えているため、英語や中国語で接客できる人材の需要も高まっています。
ファッション・アパレル業界で使われることが多い外国語
英語は世界的に見ても話す人の人口が多く、第一言語でなくても話せる人が多くいます。
次にファッション・アパレル業界で使う場面が多いものは中国語です。
日本の衣料品の70%前後が中国で作られていますので中国語で問題なくコミュニケーションをとれる場合には即戦力になります。
その他の言語だと東南アジアの言語が役立つときもあります。
日本のファッション・アパレル業界には「チャイナプラスワン」という言葉があり、リスク回避のため、中国ではなく工賃安い他の国でも生産しようという動きです。
その国は東南アジアを指し、ベトナム語やミャンマー語、タイ語など、その生産国の言語を使えることもあります。
これらの言語能力を求めている企業は少ないですが、そのような企業と出会えた場合、ファッション・アパレル業界での経験がなくても採用してもらえる傾向にあります。
業種・職種別に見る必要とされる語学力
ファッション・アパレル業界における語学力の必要性と、よく使われている外国語の傾向について見ていきました。
では、具体的な業種・職種別にどのような語学力が必要なのでしょうか?
業種別にみた場合、川下から川中、川上、それぞれに語学力を活かせる職種があります。
海外の人と関わることのある職種、また、外資系の会社などは相手国の言語を日常的に使うこともあります。
専門職
デザイナーやパタンナーなどの専門職の場合は外資系の企業に勤める場合、本社とのやり取りで英語を使う場面があります。
話す機会は少ないかもしれませんが、縫製仕様書やパターンを英語で理解できる能力、メールでやりとりできる文章力は充分に役立ちます。
また、仕入先が海外工場の場合はその国の言語が役に立ちます。
細かいやり取りは営業やプロダクトマネージャー(生産管理)の仕事ですが、デザインや仕様の説明ができれば、短い時間と少ない労力で仕事をすすめることができます。
【関連する職種】
・デザイナー
・パタンナー
・マーチャンダイザー(MD)
川中の職種
アパレル商社(繊維商社)など、生産者とアパレル小売業の間に入ることを仕事としている企業や職種では、生産者側が海外の企業や工場であることが多いため主に英語や中国語が役立ちますが、ベトナム語やタガログ語など、その地域の言語を使えると生産者とコミュニケーションを取る際にとても役立つこともあります。
【関連する業種・職種】
・営業
・プロダクトマネージャー(生産管理)
・アパレル商社(繊維商社)
・アパレルメーカー
・OEM
・ODM
川下の職種
近年のインバウンド旅行客増加に伴って、地域によっては店舗でも外国人観光客の姿が目立つようになりました。
そのため、中国語や英語で接客できるスキルがあれば即採用となることも少なくありません。
観光地では外国人専門に接客をしたり、販売員と購入者の通訳をする人もいるほど需要が高くなっています。
【関連する職種】
・販売員(ショップスタッフ)
・店長
外資系企業
外資系企業で働く場合はビジネスレベルの英語が必須で、社内通知やメールは全て英語であることも少なくありません。
そのため、採用の段階で英語レベルを精査されることもあります。
実際にどの程度の語学力が必要か?
職種ごとの語学力の関係性について説明しましたが、実際にはどの程度の語学力があれば一つのスキルとしてアピールできるのでしょうか?
会話レベル
旅行ができる程度の会話レベルは海外出張などには使えますが、ビジネスレベルで使えない場合があるため、就職・転職活動時にアピールするにはあまり意味がありません。
実際の仕事上でも単語一つの聞き間違いが大きなミスや誤解につながるので、取引先と外国語でやり取りをする場合は海外への留学経験や生活経験がある方がいいでしょう。
問題なくコミュニケーションが取れる場合は、書類審査や面接でアピールするのも有効的です。
読み書きのレベル
メールでのやり取りや書類の確認を英語で行える場合は履歴書に書けるほどではありませんが、面接などでは聞かれることもあります。
専門職では仕様書を英語や中国語で書けるかどうかで採用されることもあります。
ですが、その職種の仕事ができている前提の話になるので、プラスアルファのスキルとしてアピールすることが良いでしょう。
資格
語学系の資格を持っている場合は履歴書に記載しておくのも良いでしょう。
例えば英語ならTOEICやTOEFLが一般的で採用担当者にも理解してもらいやすいです。
中国語であれば、漢語水平考試(HSK)や中国語検定が一般的です。
転職活動のときに語学力について感じたこと
私はファッション・アパレル業界の生産管理の仕事で転職活動をしたことがあります。
現地採用で中国に就職していたこともあり、その時点では中国語の日常会話と仕様書が書けるレベルでした。
そのときに内定をもらい入社したのはアパレル商社でした。
アパレル商社の生産管理は通常、経験豊富な人しか採用してもらえないと言われましたが、チャレンジする気持ちで応募してみました。
そして、経験は浅いですが中国語が使えるのであればということで、内定をいただきました。
ですが実際、仕事を始めてからしばらくは日本語しか使うことがなく、少しがっかりしました。
仕事は自分1人で行うものではなくチームで行うことが多いため、全員が理解できる言語で進みます。
社内にも英語や中国語、韓国語、ベトナム語など、外国語を話せる人がたくさんいて、外国籍の人もいましたがみんな日本語で仕事をしている印象でした。
ただ、よく観察してみると急ぎの電話では日本語以外の言語を使っていたり、仕入先が来客として来たときにはその方の国の言語で会話をしたりしていました。
はじめは日本語しか使えず、個人間のやり取りでたまに中国語を使ったりしていましたが、語学のことは忘れて自分の仕事に集中するようになり、徐々に仕事もこなせるようになりました。
その中で中国への出張を頼まれたり、中国語でやり取りをする部署に異動させてもらえるようになっていきました。
ここから何を感じたかというと、語学力がいくら高くても、結局自分の本来の仕事をできなければ何も意味がないということです。
常日頃から自分の仕事をきちんとこなすことが最も大切です。その上で、何か大きな案件があったらときに「じゃあ、英語の上手いあの人にお願いしようか」ということになります。
就職活動にしても普段の仕事にしても、基本的なことができない人を採用しようとは思わないし、仕事を頼もうとは思わないはずです。
まとめ
語学力が高いということは大きなチャンスをつかみやすいということでもあります。
語学力は1つのスキルと捉えることもできますが、自分の可能性を広げるきっかけと言ったほうが近いかもしれません。
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