アパレルカスタマーサービス(CS)の概要から、業務内容、求められるスキルや素質、必要/有利な資格、キャリアプラン、求人情報までを紹介します。
ファッション・アパレル業界の職種を徹底解説する連載シリーズ「アパレル業界職種ガイド」。
ファッション・アパレル業界への就職・転職を検討されている方は必見です。
<目次>
アパレルカスタマーサービス(CS)とは?
アパレルカスタマーサービス(CS)とは、その名の通り商品購入前後・サービス導入前後の顧客=カスタマーが抱える疑問や課題の解決を電話やメール、チャットなどを通してサポートする職種です。あらゆる企業・ブランドの事業において、顧客はなくてはならない大切な存在です。適切な対応を欠いてしまうと、顧客離れが起き売上などにネガティブな影響を及ぼしかねません。
商品・サービスの価値は、顧客の声をもとに向上されるものです。アパレルカスタマーサービス(CS)がヒアリングした意見や要望、不満をもとに商品・サービスの質を高めることで、売上の向上を見込める上、顧客の満足度を高めることもできます。
新たな改善点を見出すためにも、顧客の満足度を高め良好な関係を継続するためにも、アパレルカスタマーサービス(CS)は重要な役割と言えるでしょう。
アパレルカスタマーサービス(CS)は、カスタマーサポート、ヘルプデスク、カスタマーサクセスという類似職種として扱われることがあります。
カスタマーサポート、ヘルプデスクは、顧客の疑問や悩みに対して、具体的な解決策や手段を伝える立場になります。一部の企業・ブランドでは、ヘルプデスクが社内からの問い合わせを受けて個別の疑問や課題を解決することもあります。カスタマーサクセスは、顧客の本質的ニーズと課題を事前に予測・分析し、能動的に対応する立場になります。
それぞれ重なり合う領域の業務を担当するため、明確な線引きを設けず兼任しているケースも少なくありません。
アパレルカスタマーサービス(CS)の仕事内容
アパレルカスタマーサービス(CS)の実際の業務内容を紹介します。
企業によって内部構造が異なるので、一般的な業務の一部を挙げていきます。
問い合わせ対応
アパレルカスタマーサービス(CS)の主な業務は、問い合わせ対応です。商品購入前後・サービス導入前後の顧客からの疑問や課題、クレームなどの問い合わせに対して、解決策や対処法を提案してサポートします。
購入・導入前の顧客に対しては、商品・サービスの具体的な内容や注意点などの説明を行い、注文の受付など購入・導入を誘導します。購入・導入後の顧客に対しては、商品・サービスの使用上の疑問や商品の特性、メンテナンス方法などの解説、不良品・修理品の交換対応なども行います。
フィードバック
先に述べた通り、顧客の生の声が商品・サービスの価値を高めます。アパレルカスタマーサービス(CS)は、それぞれの問い合わせから、商品・サービスを改善・改良するためのヒントを引き出し、商品・サービスの開発などに携わる関係部署にその声を共有します。適切なツールを導入し、それぞれの声を蓄積し、今後の商品・サービス開発に役立てるデータの作成も重要です。
カスタマーサクセス
アパレルカスタマーサービス(CS)は、問い合わせ対応などの受動的な業務のほかにも、能動的な顧客サポートも行います。顧客の商品・サービスに対する継続的購買・利用を維持するためにも、企業・ブランド側から電話やメール、チャット、ミーティングなどを通して、アプローチしていきます。
商品・サービスの購入・導入直後であれば、新規顧客に対してサービスの導入支援や課題解決の提案などの施策を講じます。その後はサービスの解約率を下げるため、不明点を減らすために、研修・説明会の実施、他企業・ブランドの活用事例の紹介などの継続的な支援を行います。商品・サービスについて上位商品・サービスがある場合は買い替えなどを促すこともあります。
カスタマーサービス(CS)になるには? 求められるスキルと素質
アパレルカスタマーサービス(CS)への就職・転職する上で、求められるスキル・素質を紹介していきます。
コミュニケーション能力
アパレルカスタマーサービス(CS)にとって最も大切なスキルはコミュニケーション能力です。顧客と深く関わる職種になるため、顧客満足度を高めるためにも欠かせません。顧客の言葉につぶさに耳を傾けて、顧客が抱える課題や疑問、ニーズを会話から引き出すことが重要であるため、円滑な会話を進められることが必要です。
加えて、時にはクレーム対応をする場面もあるため、適切な言葉選びをしなくてはなりません。丁寧な対応をするためにも相手に好感を抱かせる高いコミュニケーション能力が重要です。
また、アパレルカスタマーサービス(CS)は顧客の声を商品・サービスの開発などに関わる関係部署とも連携するため、適切な情報を共有する能力も求められます。人と話すのが好きな人、コミュニケーション能力が高い人は、アパレルカスタマーサービス(CS)に向いているでしょう。
臨機応変な対応力
アパレルカスタマーサービス(CS)の業務において、顧客からの問い合わせの幅は広いため、臨機応変な対応力が求められます。基本的に、アパレルカスタマーサービス(CS)の対応には企業・ブランドごとのマニュアルが存在しますが、個別の事例に対して全てを網羅できているわけではありません。
それぞれの問合せに対して、迅速かつ最適な対応をするための状況把握能力、それぞれの事案に関連する専門部署に取り次ぐ判断能力、スムーズに顧客の課題を見出し対処法を提案する問題解決能力、同時に複数の問い合わせに対応できるマルチタスク能力を持った人がアパレルカスタマーサービス(CS)に適しているでしょう。
また、コミュニケーション能力の項目でも触れましたが、クレーム対応に際して冷静に対処する能力も必要です。その後の業務に影響を与えないように、切り替えられる精神力も求められるでしょう。
アパレルカスタマーサービス(CS)になるために必要/有利な資格
アパレルカスタマーサービス(CS)への就職・転職する上で、必要な資格と有利になる資格を紹介していきます。
CSスペシャリスト検定
CSスペシャリスト検定とは、CS理論やCS実践技術の修得度を証明する民間検定資格です。ベーシック、プロフェッショナル、スペシャリストの3段階があり、実務にいかせる知識・技術の習得に役立つため、アパレルカスタマーサービス(CS)は取得をお勧めします。
【応募サイト】
CSスペシャリスト検定
アパレルカスタマーサービス(CS)になるためのキャリアプラン
アパレルカスタマーサービス(CS)になるための複雑な条件は特にないため、未経験から採用を行っている企業も少なくありません。ただ、顧客との最初の接点となりえる場合が多いため、アパレル販売などの顧客と直接コミュニケーションをとる職種であると、就職に有利でしょう。
アパレルカスタマーサービス(CS)の求人一覧
READY TO FASHIONでは、アパレルカスタマーサービス(CS)の求人を多数掲載しております。
カスタマーサービスの求人はこちらアパレルカスタマーサービス(CS)以外にも、その他の求人も多数取り揃えています。
その他の求人はこちらぜひ、興味を持った求人があれば応募してみてください!
関連記事
【参考文献】
「ファッション辞典(第4版)」(大沼淳、萩村昭典、深井晃子 監修、文化出版局、1999)
「増補新版 図解服飾用語辞典」(杉野芳子 編著、ブティック社、2003)
「1秒でわかる!アパレル業界ハンドブック」(佐山周、大枝一郎、東洋経済新報社、2011)
「ファッション業界大研究[第2版]」(ファッション&ソフトマーケティング研究会 編著、産学社、2019)
「ファッション業界大研究【改訂版】」(オフィスウーノ 編、産学社、2008)
「アパレル素材企画 プロフェッショナルガイド」(野末和志、繊研新聞社、2019)
「役に立つアパレル業界の教科書」(久保茂樹、文芸社、2016)