サンプルとは

サンプルとは、ブランドのデザイナーやメーカーが商品の制作段階で生産する少量の試作品のことです。化粧品などの試供品として配布される「サンプル」とは異なり、アパレル業界においてはあくまでも商品の試作品、展示会での受注用に作ったものを指します。このサンプルをもとに、寸法や着脱、細かいディテールのチェックなどが行われます。

サンプルにも様々な種類があり、一番最初に作られるのがファーストサンプルです。名前の通り、デザインを起こして出来上がる一番最初のサンプルのことです。ファーストサンプルで修正箇所がある場合はセカンドサンプルが作成され、これが展示会にそのまま並ぶこともあります。

その他にも、展示会やルック、ランウェイのために作成されるサンプルを展示会サンプル(プロモーションサンプル)といいます。ウェブ内の商品ページに掲載される写真用に着用されたものや、雑誌やテレビで衣装として着用されたものなども、このプロモーションサンプルに当てはまります。

サンプルの役割

サンプルは、実際に洋服にしてみないと分からない製造上の問題を把握したり、本生産で起こりうるトラブルの原因を修正したりするなど、開発段階で精度を上げるための役割があります。それに加え、展示会に出したり撮影をしたりするためにも必要になってきます。

出来上がったサンプルは、必要に応じてデザインや縫製仕様、二次加工が加えられていきます。

また、展示会でオーダーがつかないなどで売れそうな見込みが立たない商品は、サンプル段階で没になり商品化されないことも。このような商品をドロップ商品、あるカラーだけが生産されない場合をカラードロップなどと呼ぶこともあります。

B品や新品との違い

新品とサンプル品とでは、サンプルに修正を加えたときに生じたシルエットや素材感、丈感の違いがある場合があります。またサンプルは、撮影や展示会などで多くの人が手に取ったり着用していることもあるので、新品ではありません。

また、そもそもB品は、本生産以降に発生したものなので、サンプル品とは異なります。

ちなみにB品は、正規商品の品質条件をクリアしていない不良品のこと。製造過程または流通・販売過程で生じた糸のほつれや染めムラ、サイズ不備、備品の損傷、キズ、汚れなどがある場合はB品と判断されます。

詳しく知りたい方はB品について解説した記事をご覧ください。

サンプルセールとは

サンプルセールとは、展示会で使用、またスタイリストに貸し出した物など不要になったサンプル品を割安な価格で売りに出すセールのことです。消費者にとっては商品化されなかった物が割安で手に入る機会とあって、洋服好きにはうれしいイベントとなっています。

オフ率の相場は50%〜90%。開催時期は、シーズンの切り替え時などの5月〜6月や11月〜12月が比較的多いようです。

一方、ブランド・企業側にとってのサンプルセールは、在庫を減らす目的で行われることがしばしばです。販売商品と似たような商品を大幅な値下げで販売するため、ブランディングを損なうリスクがあります。そのような事態を避ける目的もあり、消費者に対して公に告知しないのが一般的です。

ファミリーセールとの違い

サンプルセールと混同しやすいファミリーセールですが、ファミリーセールとはブランド企業の従業員とその家族、取引先などの関係者向けに行われるセールです。ブランドの商品を割安価格で提供する場として設けられるセールで、在庫処分の最終手段として開催されることもあります。 

一方消費者にとっては商品化されなかった物が発見できることもあり、洋服好きには嬉しいセールです。

サンプルの使用例

「その服かわいいね。」

「この間サンプルセールでゲットした一点モノのサンプルだよ。」


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三谷温紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

2000年、埼玉県生まれ。青山学院大学文学部卒業後、インターンとして活動していた「READY TO FASHION」に新卒で入社。記事執筆やインタビュー取材などを行っている。ジェンダーやメンタルヘルスなどの社会問題にも興味関心があり、他媒体でも執筆活動中。韓国カルチャーをこよなく愛している。

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