日本でブランディングとDtoC(メーカー直販)事業の強化を推進しているデサント。戦略の要となるのは、店頭の最前線に立ち、直接消費者と接する販売員だ。デサント特有の機能的でファッション要素を備えたウェアを国内で販売するデサントジャパンが、販売員に求めることは何か。新卒販売職の採用に従事する山下萌恵さんに聞いた。

※1月17日繊研新聞掲載 人が育つ企業特集より

写真:山下萌恵さん

ーー売り手市場だが、どんな採用活動をしているか。

全社を挙げてDtoC強化に取り組むなか、販売員の採用にフォーカスしています。地方店での世代交代も念頭に入れ、都心に偏らない採用を心掛けています。

新型コロナの感染が落ち着いたことで求職者は選択できる業種の幅が広がり、売り手市場に拍車がかかっています。

こうしたなか当社としては、学校種別を問わずアプローチ先を広げたほか、第二新卒のみの採用期間を新たに設けるなどして採用活動を強化しました。その結果、24年卒の内定者数は目標比70%増、前年比14%増となりました。

ーー入社後の、キャリアアップのイメージは。

入社後2、3年ほどは現場を経験し、その後、リーダーやサブを経て、店長に昇格します。もちろん人によりますが、新卒3~5年で店長になる人が増えています。店長になると、販売業務だけでなく、店舗全体の売り上げ管理やスタッフ指導、他店・ブランドのリサーチ、営業担当者とのやり取りなど、仕事の幅も広がります。

さらなるステップアップや職種転換の道も用意しています。複数店を統括するSV(スーパーバイザー)や、営業・MDなど店頭以外の仕事に就くキャリアも選べます。半年に一度の人事考課などの際に、上長や担当営業らとの面談で本人の意思を表明してもらう機会を設けています。

販売員はデサントが推進するDtoC戦略の要となる役割を果たす(デサントマークイズみなとみらい店)

ーーどんな人と働きたいか。

選考時に重視しているのは、「デサントの顔」にふさわしいかどうか。明るく元気なあいさつができ、人と話すときには笑顔を交えながら、適切なタイミングでうなずきや質問ができるコミュニケーション能力を備えていることを求めています。

スポーツメーカーというと体育会系のイメージがありますが、スポーツをしている・してきた経験は問いません。むしろ、当社の企業理念「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」に共感していることが重要です。スポーツを見るのが好き・関心があってこれからやってみたい、というくらいでも構いません。

ーー販売の魅力、デサントの店舗で働くやりがいとは。

「ありがとう。また来るね」「あなたがいて良かった」と、お客様から直接感謝され、笑顔をもらえることが販売の魅力だと思います。

当社製品は高機能素材や独自開発のパターンを使って、動きやすく、快適なウェアが充実しています。そうしたデサント独自の機能や仕様を学び、分かりやすく伝えることができれば、お客様の満足度はより高まります。販売員の努力次第で、お客様の笑顔がもっと増えていきますので、やりがいにつながると思います。

ーー販売員のスキルとして今後求められることは。

サステイナビリティー(持続可能性)の考え方が広がるなか、当社では「モノを作り過ぎない」をモットーにしています。これを実現するには、必要なものを必要な時に作ること。販売員としては、その商品を必要とするお客様を店頭に呼び、プロパーで売り切るマインドを持つことが求められます。新規客の獲得だけでなく、顧客(リピーター)作りにつながるあらゆるスキルが、今後ますます重要になってくるでしょう。

《会社概要》
■売上高:1206億1400万円(デサント連結、23年3月期)
■主要ブランド:「デサント」「ルコックスポルティフ」「アリーナ」「マンシングウェア」「アンブロ」など
■従業員数:2924人(グループ全体、23年3月末)

デサントジャパンの求人一覧

繊研新聞

繊研新聞社のニュースサイト。トレンド情報からアパレル・小売り・素材メーカーの動向までファッション業界の情報を網羅。ニュースに加え、展示会や人材教育、ネットワーク、セミナー情報などファッションビジネスに役立つコンテンツを掲載している。