作家でブロガーのはあちゅうさんは、イベントやテレビ番組など、さまざまなメディアに引く手数多のインフルエンサー。存在自体が現代女性のアイコンである彼女は、ファッションにどんなこだわりをもっているのでしょうか? 9月26日発売の小説『通りすがりのあなた』(講談社)に込めた想いもうかがいました。
周囲の人のファッションがインスピレーションの源
お洋服は直感で選びますね。あまり「こういうのが好き」っていうこだわりはないんです。売り場に行って、パッと目に飛び込んできたものと縁があるのだと思っているので、そのなかから選びます。
テイストは周期があって、移り変わっちゃいますね。今はサラッと着られるコットン系が好きですが、周期によってはツヤツヤ系が気になったりもします。
会っている人に影響を受けることも多くて、自分がやったことのないファッションをしている人を見ると「こういう服装がしてみたい」とか「こういうブランドが着てみたい」とか、インスピレーションをもらいます。
家から一歩も出なくても、服やメイクを整えて仕事モードに
執筆期間中は、内にこもっていることも多いので、突発的にファッションで発散したい気分になります。女性って根を詰めて作業をすると、「パーッと、デートがしたい!」って思いますよね。その気持ちを分析すると、男性と会いたい気持ちが半分、メイクして綺麗な洋服を着て外に出たいという気持ちが半分ではないでしょうか。私も定期的にそんな気持ちになりますね。
洋服はモードを作ってくれるもの。私、全てのお洋服はコスプレだと思っているんです。
私は書くことが仕事なので、極論を言えば朝から晩までノーメイクで家から出ずにいるということもできます。でも、終日家に居る日でも、最低限のメイクと洋服は整えるんです。そうやって仕事モードのコスプレをすると、お仕事しようって気持ちになる。見た目に気持ちをひっぱってもらうために、お洋服を着ています。
どんな服を着るかより、どう着こなすかが大切
最近の女性を見ていると、はっきりとした流行りが分かりにくいですね。それぞれがトレンドに左右されずに個性的なものを着ているという感じです。海外ブランドを個人輸入することもできる世の中なので、「みんなが同じものを持っている」ということが起こりにくいのかもしれません。あとは、安い洋服をうまく着こなしている人が多い印象です。昔は背伸びしたブランドを買うことから、ファッションが広がった人も多いと思います。でも今のみなさんはワンシーズンで安い服を着倒したり、アイテムは同じでも、人と違う着こなしをしたりするところに、興味があるのではないでしょうか。
新作小説のテーマは「曖昧な人間関係」
『通りすがりのあなた』は私の初の短編集で、 7作をひとつの単行本にまとめています。テーマは「曖昧な人間関係」で、名前のつかない人間関係を扱っています。一般的に人は“友達”とか“恋人”とかいう枠のなかで、人間関係を捉えるものですが、枠のなかに収まらない人間関係ってあると思うんですね。「恋人なのかは分からないけれど、友達ではない関係」「婚外恋愛なんだけれど、不倫よりも、もっと崇高な思いがある関係」。そんな、名前の付かない人間関係があればあるだけ、人生は彩り豊かなんじゃないかな……と思って、書きました。
日々ネットやメディアを見ていると、枠からはみ出たものを叩くような風潮があることが分かります。でも、人間の数だけ関係性があるし、それは本人同士が了承していればよいこと。「もっと柔らかいグラデーションで人間関係を捉えればよいのではないか」と世の中に提案したつもりなので、特に人間関係に疲れている人に読んで欲しいです。
Text:お気に入りをもっと着たくなるライフスタイルマガジン「Lenet MAGAZINE」