テキスタイルコンバーターの概要から、業務内容、働くやりがい、求められるスキルや素質、必要/有利な資格、キャリアプラン、求人情報までを細かく紹介します。
ファッション・アパレル業界の業種を徹底解説する連載シリーズ「アパレル業界業種ガイド」。
ファッション・アパレル業界への就職・転職を検討されている方は必見です。
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テキスタイルコンバーターとは?
テキスタイルコンバーターとは、工場とメーカーの間に入る生地問屋の中でも服地製造卸業の役割を担う業種です。発注元が求めるテキスタイルに適した糸、織り、染め、加工などにおいてベストな生産背景を組みます。
自ら企画・生産のリスクを負って、紡績メーカーや織物メーカー、染色整理加工業といった企業・工場とやり取りを行いながら、原料の仕入れから工場への発注、アパレルメーカーへの卸売を行います。
アメリカなどでは企画から生地生産・加工までを自ら行う業種を「コンバーター」と呼びますが、日本においては、テキスタイルメーカーとアパレルメーカーとの間に入る生地問屋の中で服地卸業を専門とする業種を指します。
各産地の特徴を熟知しているコンバーターが、発注元が求めるテキスタイルに適した糸、織り、染め、加工などにおいてベストな生産背景を組んで、開発に持っていってくれることが必要です。
仲介役になるので、様々な工場と密に取引を行い、アパレルメーカーなどから寄せられた要望を具現化して納品をします。アパレルメーカーなどから寄せられた要望を受け、トレンドやファッション・アパレル業界の動向を分析した上で具現化して納品するため、高い企画力が求められます。
また、発注依頼を受けるだけではなく、テキスタイルコンバーターがテキスタイルを企画をして、アパレルメーカーに卸すこともあります。
その際は、テキスタイルの材料を手配して、自らのリスクで生産・加工を依頼します。
近年はアパレルメーカーやブランドが直接テキスタイルメーカーとやり取りすることも増えていますが、テキスタイルには色や風合いという付加価値がつきものであり、その付加価値を創り上げていくのがテキスタイルコンバーターの役割になります。
混同されやすい業種として、テキスタイルメーカーが挙げられます。
明確な違いは、生地の生産機能の有無です。テキスタイルメーカーは生地の生産機能をもちますが、テキスタイルコンバーターは生産機能はもちません。
テキスタイルコンバーターは、生地の企画や開発に携わりますが、生産はテキスタイルメーカーや工場に依頼をする立場になります。
テキスタイルコンバーターの代表的な企業
ササキセルム株式会社
1937年に佐々木商店として創業され、1969年より佐々木毛織が株式会社として誕生し、1992年に現在の社名であるササキセルム株式会社に変更されました。
創業約80年の企業で、「企画」「販売」「生産管理」3つの機能を持っています。
一村産業株式会社
1894年に設立され、創業は約126年となる老舗企業です。日本国内をはじめ、北米・欧州・中近東・アジアなど世界各国のアパレルメーカーなどに販売を行っています。
テキスタイルコンバーターの業務内容
テキスタイルコンバーターの業務内容は幅が広いものになります。企業にもよりますが、一般的には、1人で企画から納入までの業務を担うことが多いでしょう。
ここでは、具体的な業務内容をご紹介します。
企画
商品になる1年以上前から企画を行います。マーケットリサーチやトレンドの知識を深め、企画を行います。
発注元から依頼があった場合、テキスタイルに適した糸、織り、染め、加工を考案します。
発注
企画を立て、テキスタイルメーカーや工場に発注依頼を行います。発注の際には、どのテキスタイルメーカーや工場に依頼すれば良いか判断をすることが必要になります。
テキスタイルがイメージ通りに完成するまで複数回やりとりを行い、開発を進めます。
提案・営業
発注元に完成した生地を提案します。依頼通りに仕上がっているか確認を行ったり、コミュニケーションを取ります。
テキスタイルコンバーターが企画した生地を卸す場合は、アパレルメーカーなどに営業を行うことがあります。
場合によっては、新規企業の開拓を行うこともあります。
納入
テキスタイルメーカー、工場などから生地の入荷、その生地をメーカーや発注元に梱包、配送手続きまで行います。
間違いのないよう正しく配送まで行うことが、信頼関係を築く上で必要です。
テキスタイルコンバーターのやりがい
幅広い業務のあるテキスタイルコンバーターは、生地に関しての深い知識が求められます。
簡単ではないぶん、感じられるやりがいも大きなものになります。
テキスタイルの企画ができる
テキスタイルコンバーターは、世の中にないテキスタイルの開発に携わることができます。トレンドを作る側になることもできますし、自身の知識やスキルを形にすることができます。開発業務は簡単ではありませんが、生地が完成した時の喜びは大きいでしょう。
自身の手掛けたテキスタイルが製品になる
完成した生地は洋服だけでなく、ユニフォーム等に使われることもあります。
手掛けた生地が製品となり、様々な市場で活用されることになるので、大きなやりがいを感じれるでしょう。
テキスタイルコンバーターで働くために求められるスキル・素質
テキスタイルコンバーターには、テキスタイルの知識や理解が求められます。
生地だけでなく、どんな工場があるかなど市場についても知る必要があります。
コミュニケーション能力
テキスタイルメーカーとアパレルメーカーの仲介役になるテキスタイルコンバーターには欠かせない能力になります。発注元の依頼を具現化し、テキスタイルメーカーに正確に依頼することが求められます。
営業スキル
テキスタイルコンバーターは発注を受けるだけではなく、開発した生地をメーカーに売り込んだり、提案を行うこともあるため営業スキルが求められます。
テキスタイルの知識
ひとくちにテキスタイルの知識といっても、糸、織り方、染め方、加工方法など幅広い知識が求められます。
発注元の依頼を具現化するためには、生地の開発に必要な知識は広く深く理解しておく必要があります。また発注する際には、どこの地域にどんな工場があるか知る必要もあります。
テキスタイルコンバーターで働くために必要/有利な資格
テキスタイルコンバーターになるために必須の資格はありません。
未経験でも目指すことは可能ですが、働く際に役立ち、有利な資格をご紹介します。
繊維テキスタイル認定資格
繊維テキスタイル認定資格は3級・2級・1級まで受験が可能で、生地の種類や染色加工など、繊維に関しての知識を深めることができます。合格者には、一般社団法人ファッション産業技術継承協会より認定証が郵送されます。
【応募サイト】
繊維テキスタイル認定資格
TES繊維製品品質管理士
日本衣料管理協会による「TES繊維製品品質管理士」という資格は、繊維製品の品質管理の業務に必要とされる基礎知識と応用能力を認定する資格です。テキスタイルメーカーや工場に発注をする際、もっていて損はない知識となるでしょう。
【応募サイト】
TES繊維製品品質管理士
テキスタイルコンバーターで働くためのキャリアプラン
テキスタイルコンバーターに採用されるために必須の学歴や条件はありません。
中途採用だけではなく、新卒採用を実施している企業も多くあります。
大多数の企業は高校卒業以上の学歴があれば、新卒採用にエントリーすることもできます。
インターンを実施している企業もあるので、学生の方はインターンから始めることも良いでしょう。
もちろん、テキスタイルに関する幅広い知識が求められるため、テキスタイル企画・生産に関わる業務経験があるとさらに有利でしょう。
テキスタイルコンバーターの求人一覧
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【参考文献】
「ファッション辞典(第4版)」(大沼淳、萩村昭典、深井晃子 監修、文化出版局、1999)
「増補新版 図解服飾用語辞典」(杉野芳子 編著、ブティック社、2003)
「1秒でわかる!アパレル業界ハンドブック」(佐山周、大枝一郎、東洋経済新報社、2011)
「ファッション業界大研究[第2版]」(ファッション&ソフトマーケティング研究会 編著、産学社、2019)
「ファッション業界大研究【改訂版】」(オフィスウーノ 編、産学社、2008)
「アパレル素材企画 プロフェッショナルガイド」(野末和志、繊研新聞社、2019)
「役に立つアパレル業界の教科書」(久保茂樹、文芸社、2016)