テキスタイルメーカーの概要から、業務内容、働くやりがい、求められるスキルや素質、必要/有利な資格、キャリアプラン、求人情報までを細かく紹介します。
ファッション・アパレル業界の業種を徹底解説する連載シリーズ「アパレル業界業種ガイド」。
ファッション・アパレル業界への就職・転職を検討されている方は必見です。
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テキスタイルメーカーとは?
テキスタイルメーカー(生地メーカー)とは、ファッション・アパレル商品に使われる織物やニットなどの生地(テキスタイル)の企画・生産を行う業種です。アパレルメーカーやテキスタイルコンバーターなどのファッション・アパレル業界の企業・ブランドの発注を受けて生地を製造します。そのため、「使える!」「使いたい!」と思ってもらえるような生地をつくることが求められます。
ちなみに織物をつくる業種を「機屋」、ニット生地をつくる業種を「ニッター」と分類しますが、ここではそれらをまとめてテキスタイルメーカーと呼びます。
主にテキスタイルコンバーターやアパレルメーカー、繊維商社(アパレル商社)などとやり取りを行い、発注などを受けて生地を製造します。
ファッション・アパレル業界では、服の原料となる糸や生地の生産から商品が消費者の手元に届くまでの業界の構造を、川の流れに例えて「川上」「川中」「川下」と3つの区分で分類しています。
それぞれ
川上:原料や材料を生産する業種
川中:原料や材料から商品をつくる業種
川下:商品を消費者へ販売する業種を指します。
テキスタイルメーカーは、生地の生産を行うので「川上」の業種となります。
混同される業種として、テキスタイルコンバーターがあります。
アメリカなどでは企画から生地生産・加工までを行う業種を「コンバーター」と呼びますが、日本においては、テキスタイルメーカーとアパレルメーカーとの間に入る生地問屋の中で服地卸業を専門とする業種を指します。
明確な違いとして、テキスタイルコンバーター自身は生地の生産は行いません。
テキスタイルメーカーはテキスタイルコンバーターの企画を受けて生地を製造することが多いため、流通構造上の役割が異なります。
特定の生地を生産する業者が集中する地域を「産地」と呼びますが、テキスタイルメーカーは産地と不可分の存在です。
デニムは岡山、ウール・毛織物は尾州(愛知)など、国内外に評価される伝統ある産地はいくつもありますが、近年は海外への発注増加や業者の高齢化などの影響により、産地の縮小とともに国内のテキスタイルメーカーの全体数は減少傾向にあります。
その現状を受けて、「今治タオル」のような独自のブランディングを打ち出すテキスタイルメーカーや、自ら企画・生産した生地をオンライン直販するテキスタイルメーカーなども登場しています。
テキスタイルメーカーの代表的な企業
新内外綿株式会社
大阪に本社を置く老舗テキスタイルメーカーです。1887年に創業し、創業は130年を超えています。
明治末期からの海外進出を行っており、綿を中心として、麻、ウール、シルク、レーヨン、アクリル、ポリエステル等あらゆる素材を複合した製品を提供しています。
株式会社ロベリア
国内生産にて主にベビー、子供服向けのカットソーを企画、製造販売している生地屋になります。
丸井織物株式会社
石川県を拠点とし、世界に向けたテキスタイルを発信しています。海外のトップブランドや世界で活躍するアスリートが着用するユニフォームにも採用されているテキスタイルを開発しています。
テキスタイルメーカーの業務内容
ものづくりに深く関わるテキスタイルメーカー。その主な業務内容を紹介します。
企画
どんな糸や織り方・編み方で生地をつくるべきかを決めます。
企画マップをつくり、トレンドを見極めることも必要です。そのため、市場調査、ターゲットの分析を行います。
研究
素材の研究・実験・解析、性能及び安全性評価及び生産技術の開発などを行います。
顧客の要求する品質を満たすため日々改善・改良を繰り返します。
素材・生地の製造
テキスタイルメーカーにとって最も重要な業務です。
企画された生地のサンプルを作成し、企画通りの生地になるよう修正を重ねながら製造します。時には海外の技術を取り入れることもあります。
営業
生産された生地をアパレルメーカー、繊維商社(アパレル商社)、テキスタイルコンバーターなどに販売します。
そのため展示会を開くこともあります。営業では、販売するだけでなく、顧客の要望や生の声を聞き、情報収集を行いフィードバックすることも重要になります。
テキスタイルメーカーのやりがい
生地の企画から製造まではとても容易とは言えません。知識だけでなく、技術も求められます。
では、テキスタイルメーカーで働く上でのやりがいは何でしょうか。
こちらでは、やりがいを具体的にご紹介します。
手掛けた生地が様々な洋服に使われる
自身が製造に携わった生地は、たくさんの企業やブランド、ファッションデザイナーに使われ、商品になります。
また、それは国内だけでなく海外でも使われます。沢山の過程を経て完成した生地が、世界各地で実際に販売する商品になった時の感動は大きいでしょう。
技術が形になる
テキスタイルメーカーの技術なしではいい生地は完成しません。
技術次第で新しい生地が生まれたり、顧客の要望に応え満足してもらえる生地が製造できます。その技術が目にみえる形になることもやりがいと言えるでしょう。
テキスタイルメーカーで働くために求められるスキル・素質
テキスタイルメーカーで働くのに向いている人を紹介します。
ものづくりが好きな人
生地の生産は、細かく泥臭い作業も多くなります。そのため、ものづくりを楽しんで行える人が向いていると言えます。ものづくりの中でも、生地に興味があれば尚良いでしょう。
粘り強く根気のある人
生地の生産には試行錯誤が伴います。うまく製造できない、品質が改善できないなど問題が発生した時、粘り強く解決策を考えれる人が向いていると思われます。
テキスタイルメーカーで働くために必要/有利な資格
テキスタイルメーカーに採用されるための必須の資格はありません。しかし、生地や素材の知識を持っていることは必ず役立つでしょう。
こちらでは有利になるような資格をご紹介します。
繊維テキスタイル認定資格
あらゆる生地や糸の素材にまつわる専門的な知識を持つことを証明する資格です。繊維やテキスタイルの知識は、アパレル・ファッション分野を学び、活躍する方にとってなくてはならない基礎となります。3級から1級まであり、スキルに合わせて受験できます。
【応募サイト】
繊維テキスタイル認定資格
TES繊維製品品質管理士
日本衣料管理協会による「TES繊維製品品質管理士」という資格は、繊維製品の品質管理の業務に必要とされる基礎知識と応用能力を認定する資格です。
資格を持っていると、取引先に対して技術・品質面の安心感を与えることができるため、必須資格ではないですが有利になる資格でしょう。
【応募サイト】
TES繊維製品品質管理士
テキスタイルメーカーで働くためのキャリアプラン
テキスタイルメーカーに採用されるには、必須の条件はありません。
技術系職種の場合、理工系学部・学科で化学、電気・電子・制御、機械などを学んだ人が募集対象となる企業もあります。
中途採用だけではなく新卒採用もあるため、未経験で入社することも可能です。
インターンシップを行っている企業もあるので、興味がある人はインターンシップに参加することもいいでしょう。
テキスタイルメーカーの求人一覧
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【参考文献】
「ファッション辞典(第4版)」(大沼淳、萩村昭典、深井晃子 監修、文化出版局、1999)
「増補新版 図解服飾用語辞典」(杉野芳子 編著、ブティック社、2003)
「1秒でわかる!アパレル業界ハンドブック」(佐山周、大枝一郎、東洋経済新報社、2011)
「ファッション業界大研究[第2版]」(ファッション&ソフトマーケティング研究会 編著、産学社、2019)
「ファッション業界大研究【改訂版】」(オフィスウーノ 編、産学社、2008)
「アパレル素材企画 プロフェッショナルガイド」(野末和志、繊研新聞社、2019)
「役に立つアパレル業界の教科書」(久保茂樹、文芸社、2016)