紙媒体が主流だった時代からウェブメディアが当たり前になったことにより、誰もが挑戦できるようになったライターという仕事。ファッションが好きで、ファッション雑誌やファッションメディアに関わりたい!と思っている方も少なくないはず。

そこで、この記事ではファッション・ビューティライターとして媒体で活躍されているNさんを招き、ファッションライターの具体的な業務内容や求められる素質などを解説していただきました。

実際に何から始めれば良いのかや、どういった人がライターとして活躍できるのかなどの疑問にお答えしていきます。ぜひ参考にしてみてください。

ライターN
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【解説者プロフィール】
1999年生まれ。新卒で出版社に入社し、グルメ系月刊誌のライター / 編集者として活躍。その後、ファッション・ビューティ系のメディアに転職し、ライター / 編集者として、企画から執筆、編集までを行っている。

ファッションライターとは

ファッションライターとは、ファッションに関連する書籍や雑誌、ウェブサイトに掲載される記事や原稿を書くのを生業とする人のこと。

紙媒体からウェブ媒体が主流化したことにより、ウェブライターの人口が増加。近年では副業などで、誰もが気軽に始められるようになりました。

ライターとして雇われる場合、特定の分野に詳しい人がアサインされることが多いので、好きなことを活かせるのがこの仕事の魅力です。誰でもライターと名乗れるものの、ライターとしての経験値や知名度がアップするまで、1記事あたりの単価が低いこともしばしば。

混乱されやすい職種でもあるコピーライターは、広告に使用されるキャッチコピーを考えるのが主な業務で、ブランドや広告代理店に勤めている場合が多いです。

編集者は、媒体全体に関わり、企画や編集、スケジュールや予算管理など全体のディレクションを行います。

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私が所属している会社では、取材をしてから原稿を書くまでがライターの仕事。編集者は、企画出しやアポ入れのほか、デザイナーと相談して素材をレイアウトに落とし込んだりといった全体のディレクションを担います。大手出版社のいわゆる「編集者」の場合、ほとんど原稿を書いた経験がない人もいるほど、編集者とライターでは業務内容が大きく異なります。ただ私自身、編集者として関わる仕事もあれば、編集者でありながらライターとして原稿を書くこともあり、媒体によって役割分担は異なります。

ファッションライターの仕事内容

企画

媒体により異なりますが、会社に所属している正社員やフリーランス問わず、記事の企画を立てます。通った企画は、そのライターが担当して進行していきます。

日頃からリサーチしたり、得意な分野などがあると良いでしょう。どんな企画が読者に読まれるのかというマーケティング視点も重要です。

ライターN
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前職では、自分が取材したい人を選定し、取材に行っていましたが、現在は記者発表会などに足を運び、それを記事にしていくのがメインの仕事。月に1〜2本ほど企画発案をすることもあります。

取材

企画に沿って、取材に行きます。取材方法は、対面だけでなく電話取材やオンライン取材など方法はさまざま。取材前のリサーチが重要ですが、取材中には取材相手の話を引き出したり、話が脱線しないように流れを作るなども意識しながら行います。インタビュー記事の場合、インタビュー経験のあるライターが採用されることが多いです。

執筆

取材した内容をもとに原稿を作成します。原稿が完成したら、編集者に共有し、ブラッシュアップを行い、記事の完成度に磨きをかけていきます。その後、校正者や校閲者に原稿が回され、再度チェックが行われます。なお、ウェブメディアにおいては、校正・校閲の担当者が所属しておらず、編集者が担当することもあります。

ライターN
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インタビュー記事の場合、取材先の方に喜んでもらえることが一番のやりがいです。どんな記事でも100点のクオリティを出したいですが、自分と共感するスタンスを持っている方だと、書くときにより一層熱が入りますね。逆に、読者にとって価値のある情報が、必ずしも取材相手にとっても良い情報とは限らないのがインタビュー記事の難しいところ。
また、原稿作成の際の言葉のチョイスにより、相手の本来の意図とニュアンスが変わり、齟齬が発生してしまう場合があるので、細かい部分の配慮も必要になってきます。

ファッションライターのある1日のスケジュール

ライターN
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1日に2〜3の記者発表会やイベントに出席することが多いです。月に20本ほど原稿作成を行っています。

ファッションライターの活躍の場

ファッション雑誌やファッション業界誌などの紙媒体や、ファッションビジネスサイトやファッションメディアといったウェブ媒体で活躍することができます。またフリーランスライターとして、さまざまな編集部や媒体と仕事をすることもできます。

ライターとしてのキャリアを歩む場合、出版社や編集プロダクション、他媒体から転職または独立するか、文章を書く機会の多い職種からキャリアチェンジするなど、人によってさまざまです。

未経験で仕事をもらえることは基本的にはごくわずか。未経験からライターや編集の仕事に就くには、新卒で出版社に入社してキャリアを積むのも一つの手です。

ライターN
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フリーランスの場合、未経験からライターになるのは珍しく、ほとんどが媒体から独立している方です。ある媒体を退職した後も、フリーランスとして継続してその媒体で執筆することもあるなど、つながりで仕事を依頼される場合が多いです。
また一般誌の場合、情緒的な文章やラフな文章が好まれることが多いですが、業界誌の場合、堅めの文章が好まれます。その媒体がどんな文章を書いているのか、自分が書いている文章とマッチするのか、といった媒体との相性の見極めも必要かもしれません。

ファッションライターに必要な素質

ライティングスキル

言うまでもなく、ライターとして基本的なライティングスキルは必須です。日々、文章を書く練習や、書籍を読み込んで文章作成の構造を理解しておくことが大切です。

特定のジャンルに詳しいこと

ファッションに対する知識があるのはもちろんのこと、先述した通り、ライターは特定のファッションジャンルやブランドなどに精通しているとなおよいです。「これについてはあの人に書いてもらえば安心」と思われるようなライターだと、記事全体のディレクション権をもつ編集者から、アサインされるチャンスがあります。

またファッションに対する情報量や知識があると、企画立案や執筆、取材時の情報収集にも役立ちます。日頃から興味のある分野や業界についての情報はインプットしておいた方がよいでしょう。

全体の構成を組み立てる力

記事作成の際に、ストーリー性を考えながら流れを整える必要があるため、全体を見通す力も求められます。

ライターN
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具体的な能力として言語化しづらいですが、記事のどの場所にどんな要素を持ってきたらよいのか、ここではどんな情報が不要なのか、全体を見据えて考えられる力が必要とされます。

未経験でも今からできること

何かを深ぼることが好きな人は、SNSやnoteなどで継続して情報発信をしていると、編集者の目に留まって執筆を依頼される場合があります。

また、EC職種など、普段から文章を扱う職種に従事されていて、文章作成に慣れている方はライターや編集者としてジョブチェンジできる可能性もあります。

日常で始めやすいこととしては、ライティングスキルに関する本を読み込むだけでなく、好きなライターを見つけて、その人の文章の作り方や言葉選びを真似したり、写経したりするのもおすすめです。人によってスキルアップの方法は異なるので、自分なりの方法を模索してみましょう。

ファッションライターQ&A

Q:ライターになるには資格は必要?
A:必須の資格はありません。ただ、Webライティング能力検定やWEBライティング技能検定などの検定もあるので、力試しをしたい方や、未経験から実践的なスキルを身につけたい方は挑戦してみるのもいいかもしれません。

Q:学歴は必要?何学部に入るといい?
A:出版社の採用の場合、基本的には大学卒か大学院卒の応募必須条件があります。学部は問わないですが、ライターや編集者になる人は文系学部出身者が多い傾向にあります。服飾専門学校卒業後、ファッション系のウェブメディアで活躍される方もいます。

Q:年齢制限はある?
A:ライターには年齢制限はありません。

Q:1記事あたりの単価はどのくらい?
A:フリーランスライターの原稿料は、1記事あたり1.5万円〜5万円ほどです。インタビュー記事だと単価が高くなるなど、経験値や企画内容によっても変動します。

Q:編集者に向いている人とライターに向いている人の違いは?
A:編集者に向いている人は、企画を立てるための発想力や好奇心旺盛な方が向いています。また取材時の細かい配慮ができる方や、企画を同時進行するマルチタスク能力が必要です。ライターに向いている人は、客観的に情報を伝える能力や、地道な作業ができる方が向いています。

ファッションライターを目指す人へのメッセージ

ライターN
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ファッションやライティングの勉強は仕事を始めてからでも積み重ねられるので、それ以外に知識や関心がある方が、将来的には強みになるかもしれません。どんな知識や勉強も無駄にならない職種なので、あらゆる事柄を知ったり体験したりすることをおすすめします!

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三谷温紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

2000年、埼玉県生まれ。青山学院大学文学部卒業後、インターンとして活動していた「READY TO FASHION」に新卒で入社。記事執筆やインタビュー取材などを行っている。ジェンダーやメンタルヘルスなどの社会問題にも興味関心があり、他媒体でも執筆活動中。韓国カルチャーをこよなく愛している。