アパレル業界歴10年の私が服飾学生にもどったらやりたいこと

服飾学生のうちは、学校の課題や学外での活動など、やりたいことがたくさんあると思います。

ですが、そんなことをゆっくり考える暇もなく、日々の生活に追われてあっという間に月日が過ぎていきます。

そんな中で少しだけでも自分の将来について考える時間があったなら将来は大きく変わっていたかもしれないと思うこともあります。

今回は前回に引き続き、「アパレル業界歴10年の私が服飾学生にもどったらやりたいこと」についてです。

後編は自分の方向性を学生のうちに少しだけでも考えてみることをテーマに、アパレル業界の分野についてご紹介します。

前編はこちら↓

自分の好きな分野について考える

アパレル業界歴10年の私が服飾学生にもどったらやりたいこと

アパレル業界は大まかに、

・レディースアパレル
・メンズアパレル
・キッズ・ベビー

の3種類の分野から構成されています。

業界内のシェアは50%以上がレディースアパレル、30%がメンズアパレル、残り10%前後がベビー・キッズという割合になります。

出典:
国内アパレル市場に関する調査を実施(2018年) | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

そのため、服飾学生が主に学ぶのはレディースアパレルの分野で、メンズアパレルやキッズ・ベビーはそれを応用したものという位置付けになります。

3分野の違いは、

・基本のパターン寸法
・よく使う縫製仕様
・流行する素材

などが挙げられます。

就職後、レディースアパレルの仕事をしていたところから、会社の異動などで、メンズアパレルやキッズ・ベビーについての仕事を出来ることもあります。

そのような場合は経験者や知識のある人が優先的にその仕事を任せてもらえます。

大抵は企業により、専門の分野が別れていて、経験者を採用する場合が多いです。

レディース衣料

レディースアパレルは市場に出回っている品数も多く、使用する素材やテキスタイルも様々です。

流行の移り変わりが早く、毎シーズン流行するものが異なるので、マーケティング力やデザインの発想力が重要です。

業界内のシェア率が高いことから、レディースファッションの勉強をする学生や、仕事をしている社会人の人も多いという特徴があります。

メンズ衣料

メンズアパレルはレディースアパレルに比べるとテーラー的な要素が多く、縫製仕様もそれに習っているものが多くあります。

そのため、メンズアパレルの仕事をしたい場合はある程度の専門知識が必要です。

私の通っていた学校ではメンズアパレルを専門に学ぶ学科がありました。

普通の学科からメンズアパレルに関する仕事に就いた人もいましたが、大抵は学生時代からメンズアパレルについて自分で勉強している人がほとんどでした。

柄のあるテキスタイルはレディースアパレルに比べて少ないですが、生地感にこだわりを持ってつくることも多く、素材に関しての知識も役に立ちます。

キッズ・ベビー

キッズ・ベビーはそもそものアイテムの形状が、レディースアパレルやメンズアパレルとは異なります。

学生時代からキッズ・ベビーの勉強をできる学校は少ないため、レディースアパレルの勉強をして、新卒でキッズ・ベビーを取り扱う企業に就職することが一番の近道になります。

ベビー服は、特別な法律が関係してくることもあり、それに対しての業務も多く、それらのの知識も必要です。

自分の好きな素材について考える

アパレル業界歴10年の私が服飾学生にもどったらやりたいこと

アパレル業界の中で扱うアイテムは大きく、

・布帛
・ニット
・カットソー

の3つの素材に分かれます。

服飾の専門学校では布帛についての知識をたくさん学びますが、カットソーやニットについてはほんの少ししか学ばないことも多く、3つの違いを大まかに理解する程度にしかなりません。

ですが、アパレル業界ではニットやカットソーのアイテムがたくさんあり、その分、仕事もたくさんあります。

3つの素材はそれぞれ扱う機械が違うため、一つの工場はどれか一つの素材にしか対応しません。

ニット工場で布帛のアイテムを作ることができないということです。

そのため、川上でもこの3つの素材で分業して担当することが多くなります。

布帛

服飾が基本的に学ぶのは布帛の素材です。

布帛は織物の総称で糸で織られている生地を指します。

市場に多く出回っている布帛アイテムはパンツやコートなどのアウター、シャツやワンピースがあります。

アイテムの構造は3つの素材の中で一番複雑で、工程が多くなります。

ニット

ニットは編み物の総称で専門の知識が必要です。

ニットデザイナーという職種があるほどの専門分野で、私の通っていた学校にもニットを専門に学ぶ学科がありました。

アイテムはセーター類を指します。

学生時代は布帛の勉強をたくさんしましたが、いざ働き始めるとアパレル業界ではニットを占める割合が多いという印象があります。

特にレディースアパレルは秋冬のシーズンに納品するものはほとんどがニットです。

職種にもニットデザイナーやニットの生産管理専門の人がいて、特に、ニットのデザイナーは人数が少ないという話をよく耳にします。

ある程度の経験をつみ、縫製仕様書を作成することができれば、どこへ行っても働けるといっても過言ではありません。

カットソー

カットソーはアパレル業界では布帛とニットの間のような位置づけになることが多くあります。

代表的なアイテムはTシャツやスウェット類のアイテムです。

ニットや布帛に比べると、発注から納品までの時間が少なく、スピード感のある仕事の姿勢が求められます。

自分がどの方向にすすみたいのか、学生のうちからできること

アパレル業界歴10年の私が服飾学生にもどったらやりたいこと

企業の求人情報を見ていると、募集要項には「ニット経験者」、「メンズ布帛経験者」というように素材や分野が記載されていることもあります。

商社など、規模の大きい企業では部署によって、布帛担当の部署、カットソー担当の部署、ニット担当の部署に別れています。

学生のうちから、どの分野のどの素材の仕事をしたいかを決めるのは難しいかもしれません。

しかし、これらの分野や素材についてそれぞれ理解を深めておけば、本当に視野が広がるなと思います。

まとめ

自分が今よく着てる服で好きな素材、多く持っている素材はなんでしょうか。

一度、自分クローゼットを確認してみるのもおすすめです。

自分がどんな分野に進みたいのか、職種とは別に考えておくのも良さそうですね。

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morinagi

文化服装学院卒業後、勢い余って中国に就職。帰国後にアパレル系商社で生産管理や企画を経験したのち、現在はフリーランスでアパレル系の仕事をする傍ら、ライターとして活動中。就職活動をするときはいつも就職氷河期だったので、試行錯誤しながら戦ってきました。縫製工場が好きすぎて、見学させてもらうのが趣味です。そのためアパレル産業を工業的視点で解釈する癖があります。三種の神器はMacBook AirとJIKI SL-280と日中英服装技術用語辞典。

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