仮想通貨の取引を確認し、管理するための技術として脚光を浴びてきたブロックチェーン。
最近では、その”誰でも情報を確認できる”という透明性のあるシステムがファッション・アパレル業界でも注目され、世界中のファッション企業が偽造品の防止のために、あるいは新たな購買体験を消費者に提供し自社ブランドのファン獲得のためにブロックチェーンの導入を始めています。
今回は、そんなブロックチェーンを導入しているファッション企業とその導入方法についてご紹介します。
ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンとは、仮想通貨の取引を記録した分散型台帳のことをいい、仮想通貨の取引情報をまとめたブロックをチェーンのように繋いでいくことから由来しています。今までは、銀行が個人情報を収集し、資産を管理していました。そのため、もし内部で情報が修正されていたとしても、外部からは知ることが困難でした。
しかし、ブロックチェーンは銀行のような1つの機関に情報を集めて管理してもらうのではなく、皆が分散型台帳という共通の台帳に取引を記録して管理するので、誰でも情報を確認することができるのが大きな特徴です。
ファッション業界でもブロックチェーンが導入される理由とは?
そんなブロックチェーンを導入しているファッション企業も増え始めています。その理由は、その「誰でも情報を見ることができる」という透明性にあります。ブロックチェーンを導入することによって、誰でも商品情報を確認することができるので、偽造品や粗悪品の流通を防止することが可能になり、また、商品がいつどこでどのような考えを持って作られたのかを確認することができるので、ブランドのファン達はより商品に対して理解を深めるための材料にもなります。
ブロックチェーンを取り入れたファッション企業とブランド4選
ここからは、ブロックチェーンを取り入れたファッション企業を4つピックアップしてご紹介致します。
1:LVMH
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まず始めにご紹介するのが、ルイヴィトンやクリスチャンディオールなどを始めとするラグジュアリーブランドを抱える世界最大のファッション企業、LVHMです。LVMHがブロックチェーンを導入したきっかけは、偽造品の防止が理由の1つ。ラグジュアリーブランドは、以前から偽造品の流通が大きな問題になっていました。
LVMHが導入した『AURA』と呼ばれるブロックチェーンは、高級品の信憑性を検証できるもので、生産から販売、中古市場に出回るまでの全ての工程を追跡することができます。こうした試みは偽造品関連の損失を防ぐことに繋がります。
2:BABYGHOST
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BABYGHOST(ベイビーゴースト)は、ニューヨークと上海をベースとするファッションブランドで、2017年の春夏コレクションにブロックチェーンを導入し、誰でもBABYGHOSTの2017年春夏コレクションの情報を閲覧できるようにしました。
BABYGHOSTが導入した中国企業BitSE開発の『VeChain』は、商品にスマートフォンをかざすことによってデザインのコンセプトや素材、生産地などの詳細情報がわかるようになっているため、ブランドについて理解を深めること。こうした試みは、ファンのブランドに対する愛着を深めるだけでなく、初めてブランドのコレクションを見る人に認知してもらえるきかっけにもなります。
3:H&M
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世界的に有名なファストファッションメーカー、H&Mグループは、ブロックチェーンを活用して自社ブランド『Arket』の商品管理テストを行っています。H&Mが導入したブロックチェーンは、先ほど紹介したBABYGHOSTと同じ『VeChain』です。
VeChainが提供する『VeChain Pro』というアプリを使用して商品情報の追跡を行っています。
このアプリを使うことによってスマートフォンを商品に近づけるだけで商品の詳しい情報を確認することができます。このように誰でもスマートフォンで簡単に操作できるようなブロックチェーンを取り入れ、より多くの消費者が商品情報を確認できるようにすることは自社ブランドの信用に繋がります。
4:YOHO!
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YOHO! は中国のストリートブランドです。今中国では若者を中心にスニーカーなどのストリートファッションアイテムが人気となっていて、そのため偽造品も多く出回っておりブランド側にとっては大変深刻な問題になっていました。
そこで、偽造品の流通を防止するために自社WEBサイトに商品情報を追跡できるブロックチェーンを導入しました。このブロックチェーンは、中国のブロックチェーンスタートアップ企業『Ultrain』が開発したものです。
経験豊富なスニーカーの鑑定士によってスニーカーの生産地や流通過程などのデータを管理するチームを設けており、このチームが管理している情報がUltrainの提供するブロックチェーンに記録される仕組みとなっています。これによって、消費者は商品タグをスマートフォンでスキャンしするだけで、気軽にスニーカーの詳細情報を見ることができます。
さいごに
元々は、仮想通貨を支える技術として登場したブロックチェーンですが、その透明性あるシステムが業界の垣根を超えて活用されています。ファッション業界でもこれから、偽造品防止以外の用途で幅広く導入されることが期待できるのではないのでしょうか。
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