デッドストックとは?

デッドストック(英:Dead stock)とは、日本語では不良在庫と訳される売れ残り商品のことです。商品の仕入れ・販売計画の失敗や商品の欠陥、社会・経済情勢の変動など、さまざまな要因による売上不振から売れ時を逃し、生産されてから一定期間を過ぎても売れ残っている在庫品を指します。

デッドストックとヴィンテージとの違い

ヴィンテージ(英:Vintage)とは、元来「当たり年のワイン」を指す言葉でしたが、アパレル業界では「由緒ある、古くて価値がある、完成度の高い年代もの」などの意味合いを持つ言葉として用いられています。ヴィンテージに明確な定義はありませんが、一般的には、30年以上経年した希少性が高く保存状態の良いアイテムを指します。

デッドストックは「一定期間を過ぎても売れ残っている」という点から、ヴィンテージとしばしば混同されることがあります。デッドストックは売れ残りという商品の状態を定義したものであり、ヴィンテージは時間経過した価値あるものというアイテムの特性を指すため、その言葉が指す意味合いは異なります。

そのため、商品状態とアイテム特性の両方に該当した場合、ヴィンテージのデッドストックも存在しえます。ヴィンテージのデッドストックは「ヴィンテージストック」と呼ばれることもあります。

デッドストックと中古品との違い

中古品とは、第三者が1度以上着用・所有したことのあるもの、もしくは1度以上着用のために売買取引が行われたものを指します。中古品の取引などに関するルールを定めた古物営業法という法律の中で、アパレルアイテムなどの中古品(法文上は古物)は、下記の通りに定義されています。

この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。

参照:古物営業法 第一章 第二条

デッドストックは売れ残り商品であるため、第三者に着用・所有されたことも、1度以上着用のための売買取引が行われたこともありません。着用・所有・取引されていないため、「中古のデッドストック」は存在しえません

デッドストックと新品との違い

新品とは一般的に、第三者が1度も着用・所有したことがないもの、もしくは1度も着用のために売買取引が行われていないものを指します。前述の通り、デッドストックは第三者の着用・所有経験がない売れ残り商品を指すため、新品にあたります。

新品という言葉には法令上の厳格な定義がありません。デッドストックは製造されてから一定期間を過ぎているため、感覚的には「新」ではないかもしれませんが、意味上では中古品ではないため新品に該当します

デッドストックのメリット

中古市場価格より安価

デッドストックのメリットの1つは、中古市場で価格が高騰しているアイテムを新品で相対的に安価で購入できる点です。一部の店舗でデッドストックとなったアイテムが販売されれば、中古市場価格より安価で購入できるでしょう。

市場価値の向上

生産・販売された当時に売れることがなかったデッドストックが、現時点では価値が上がっていることもアパレル業界では少なくありません。そういった点もデッドストックのメリットとして挙げられるでしょう。

デッドストックのデメリット

経年劣化

デッドストックのデメリットは、長期間保管されていたことによる経年劣化が起きている可能性がある点です。新品とはいえ、保管状態によっては汚れやキズ、変色、など不備が生じているかもしれません。特にデッドストックのスニーカーは加水分解を起こしている可能性があるため注意が必要です。もちろん保存期間や環境などにもよりますが、購入の際はその点に留意するのがよいでしょう。

デザインやサイズの不備

これについては一長一短ですが、デッドストックが売れ残った要因にはデザインの問題やサイズの問題などがあるはずです。アイテムによっては、現時点のトレンドからズレていたり、好みではないデザイン、合わないサイズだという可能性もあるでしょう。

デッドストックの使用例

A「そのスニーカーって中古?」

B「いや、デッドストックを見つけて買ったんだ」


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秋吉成紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

ライター・編集者。1994年東京都出身。2018年1月から2020年5月までファッション業界紙にて、研究者インタビューやファッション関連書籍紹介記事などを執筆。2020年5月から2023年6月まで、ファッション・アパレル業界特化型求人プラットフォーム「READY TO FASHION」のオウンドメディア「READY TO FASHION MAG」「READY TO FASHION FOR JINJI」の編集チームに参加。傍ら、様々なファッション・アパレル関連メディアを中心にフリーランスライターとして活動中。

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