動的待機とは

動的待機とは言葉の通り、動きながら待機すること。アパレル業界において、販売員が何かしらの動作をしながらお客様が入店するのを待つことを呼びます。「動待機(どうたいき)」とも言います。

とは言っても、動的待機はただ動くことではありません。動的待機の目的は店内の活気づくり。程よい忙しさを演出しながらお客様が入店しやすい空気感を作り出すことが重要です。

動的待機にはさまざまな方法がありますが、最もスタンダードな方法は商品整理。洋服のおたたみ(アパレル販売員が店頭に並んだ洋服を畳むこと)をしたり、ハンガーの位置を均一にしたりしながら在庫の確認も同時に行えるので、効率良く動的待機をすることができます。

またトルソーやボディを変えるなど、ディスプレイや店内のレイアウトの変更も動作が大きく目立ちやすいので、動的待機の効果がありそうです。

アパレル販売員同士が接客の練習を行うロールプレイングはお客様がいる雰囲気を出せるので入店率アップを期待できます。

静的待機との違い

動的待機とは逆で、何もせずに待っているのが静的待機。「静待機(せいたいき)」とも言います。

ファッションビルやショッピングセンターなどに入っているブランドでは、入りやすさを演出するためにも動的待機が基本ですが、ハイブランドでは動的待機に比べて静的待機の方が主流。品格のある立ち振る舞いや、万全の状態でお出迎えできるようにするために行っています。

動的待機はなぜ重要?

店内の空気を動かし、動的待機は入りやすい環境づくりが目的。

アパレル販売員が同じ場所に長時間立っていたり、スタッフ同士で私語をしていたりするなど手の空いていそうなスタッフがいると、売り込まれるかもしれないという恐怖感を抱きやすく入店しづらくなってしまいます。

お客様のプレッシャーを解き、自分のペースで店内を周れる店だとアピールすることによって、自然な流れでお客様に入店してもらえるでしょう。

動的待機のあり方に変化

ECやSNS浸透などによりスマホを見ている販売員が増えてきている

近年ではECやSNS需要の高まりにより、スタイリング画像を撮影しアップロードするなどの作業が増加している影響により、PCやスマートフォンを見ているスタッフも増えてきています。

店内で商品整理をする一般的な動的待機だけでなく、スマートフォン作業を行う動的待機も浸透してきているようですが、スマートフォンを見ているとお客様の入店に気づけないこともあるかもしれません。

的確な対応ができないと機会損失につながるので、行う際には注意が必要です。

立ち仕事専用の椅子が開発される

立ち仕事に関するアンケート(マイナビ調べ)によると、接客中に座りたいと考えている人は全体の65%という結果でした。

そんななか、マイナビバイトは立ち仕事の職場に腰掛けられるイスを置くことで働く人の可能性を広げていく「座ってイイッスPROJECT」を開始。接客用イスが薬局、書店などで試験導入されています。

アパレル業界では動的待機が基本ですが、労働人口の減少により人材の確保が難しくなってきているなかで求職者の働きたいという思いのきっかけになるような新たな変化が生まれています。

動的待機の注意点

動的待機はあくまで目的ではなく手段。入りやすい環境づくりが目的だということを念頭におく必要があります。

動的待機の際に行う作業に集中しすぎて、表情が見えなくなったり、険しい表情をしてしまったりすると逆効果。動的待機に気を取られすぎないように、穏やかな表情を心がけたり、周囲の様子を常に確認したりするなど、お客様の入店やサインに気づけないという事態を防ぐことが重要です。

また大幅なディスプレイの変更は、入店に気づきにくいだけでなく店内が必要以上に散らかってしまうので、入店数が少ない午前中を中心に行ったりするなどの工夫も必要です。

ファッション・アパレルの求人一覧

そのほかにも知ってそうで知らないアパレル用語を解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

ファッション・アパレル業界に特化した求人サイト「READY TO FASHION」では、3,500件以上の求人情報の中から新卒や中途、アルバイト、副業などの雇用形態のほか、多種多様な職種・業種軸で自分にあった仕事をお探しいただけます。

気になる企業があれば企業とチャットで直接話せるので業界に興味ある人は、ぜひREADY TO FASHIONをご活用ください。

求人はこちら

三谷温紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

2000年、埼玉県生まれ。青山学院大学文学部卒業後、インターンとして活動していた「READY TO FASHION」に新卒で入社。記事執筆やインタビュー取材などを行っている。ジェンダーやメンタルヘルスなどの社会問題にも興味関心があり、他媒体でも執筆活動中。韓国カルチャーをこよなく愛している。

THEME