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旗艦店とは

旗艦店(きかんてん)とは、複数の店舗を展開する企業・ブランドにおいて、宣伝・販売などビジネス戦略上の中核を担う店舗を指します。「フラッグシップストア」と呼ぶ場合もあります。

旗艦はもともとは海軍用語で、司令官が乗る船を指していました。それになぞらえ、企業・ブランドの象徴として重要な位置付けにある店舗を旗艦店と呼んでいます。ただ、一つのブランドで複数の旗艦店を保有している企業・ブランドもあります。

通常の店舗同様に商品の展示・販売するのはもちろんのこと、企業・ブランドのPR・イメージ発信に注力して運営されている点が特徴です。そのため、集客力が高くブランドイメージのアップを見込める表参道や銀座などの主要都市・主要エリアでの出店が高い傾向にあります。

また旗艦店は、他店舗では通常販売しない店舗限定商品など幅広い商品を取り扱うこともあり、豊富なラインアップが特徴とされています。

直営店との違い

直営店とは、ブランドショップが自社で直接経営する店舗のことを指します。「レギュラーチェーン」と呼ばれる場合もあります。旗艦店も直営店の中に含まれるため、営業形態に大きな違いはありません。

ただ上記の通り、旗艦店は対外的なブランドイメージの発信に重点を置いており、販売においても拠点となる中心的存在として位置付けられている点がほかの直営店との違いとなります。

路面店との違い

路面店とは、入口が道路に面した店舗のことを指します。店舗を借りて運営する形態が一般的です。対して、商業施設などに入っている店舗のことをテナント店といいます。商業施設全体の営業時間や運営方法などに制限される場合があるテナント店と異なり、企業・ブランドの裁量で運営できる点が路面店の特徴です。

旗艦店の代表例

ルイ・ヴィトン 表参道店

表参道の旗艦店はトランクを積み重ねたような見た目と構造が特徴的。もともと、トランクの製造職人として始まった「LOUIS VUITTON」ですが、荷物を積みやすいように直方体のトランクを作ったことから由縁しているようです。

また、8階建てビルの地下1階から6階まで「LOUIS VUITTON」の商品を扱っているだけでなく、建物全体にスキップフロアが採用されており、空間的付加価値を提供する旗艦店ならではの店舗設計です。

さらに2011年には、7階にアートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン東京」を開設。年に数回、入場無料で美術展を開催しており、空間演出だけでなくブランドイメージやブランド構築の取り組みも盛んになっています。

COMME des GARÇONS青山店

 「COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)」青山店では、「COMME des GARÇONS」のレディース・メンズのほぼ全ての商品が揃います。

また、オリジナル商品として青山店限定のロゴアイテムを販売。さらには、通常白タグのカラーもグレーにするなど他店との違いも見られます。

1975年に青山に一号店がオープンし、1989年に現在の場所に移転した青山店。2023年3月には、実に24年ぶりのリニューアルが行われました。ちなみに、リニューアル記念に店舗限定コレクションの展開もされています(2023年4月時点)。

内装デザインもデザイナーの川久保玲が全面的に関わるなど、EC市場規模が拡大しているなか、ECに着手せずリアル店舗を大切にしている「COMME des GARÇONS」の哲学を反映するような店舗となっています。

ビームス原宿

古着やカルチャーの中心地であり、「BEAMS(ビームス)」の創業した原宿という地で、メンズカジュアルの旗艦店として様々なファッションとライフスタイルを発信し続けています。

2021年10月30日には、メンズドレスのレーベル「BEAMS F(ビームス エフ)」の旗艦店「ビームスF」の移転と、「International Gallery BEAMS(インターナショナルギャラリービームス)」の旗艦店「インターナショナルギャラリー ビームス」(メンズ)と修理専門店「ビームス工房」の改装後、3店舗を原宿に集積して同時改装オープン。その他にも「BEAMS WOMEN(ビームス ウィメン)」などBEAMS系列の旗艦店が立ち並んでいます。

また2023年には、約1ヶ月半にわたってビームス原宿店内にてイベントを開催。カルチャーシーンで注目を集めるブランドやアーティストとのコラボアイテムの発売、週替わりでDJイベントを開催するなどブランドイメージの発信に精力的に取り組んでいます。

UNIQLO TOKYO

旗艦店は、今やラグジュアリーブランドだけでなく「UNIQLO(ユニクロ)」などSPA企業も出店するようになりました。

日本の小売業が海外進出に苦戦している中で、「UNIQLO」はサービスやVMDに特化した世界の情報発信の拠点となるグローバル旗艦店をもとに世界進出も果たしています。

日本国内では銀座店、UNIQLO TOKYO、UNIQLO OSAKAの3店舗をグローバル旗艦店として持つ「UNIQLO」。2020年にオープンしたUNIQLO TOKYOは、それぞれのフロアテーマに沿った書籍の販売や歴代UTシリーズの展示、オリジナルのUTやトートバッグの作成、生花の販売などUNIQLO TOKYOならではの取り組みもされています。


旗艦店のほかにも、知ってそうで知らないアパレル用語を解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

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三谷温紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

2000年、埼玉県生まれ。青山学院大学文学部卒業後、インターンとして活動していた「READY TO FASHION」に新卒で入社。記事執筆やインタビュー取材などを行っている。ジェンダーやメンタルヘルスなどの社会問題にも興味関心があり、他媒体でも執筆活動中。韓国カルチャーをこよなく愛している。

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