メイドインジャパンとは

メイドインジャパン(英:MadeinJapan)とは、文字通り日本国内で生産・製造された日本を原産国とする製品であることを示す製品表示のことです。

メイドインジャパンの条件

国内では原産国の表示義務に関する法令は設けられておらず、国際的にも商流が複雑であるため統一したルールや規定はありませんが、通念上、生産・製造の最終工程が行われた国が原産国に該当します。日本国内で生産・製造の最終工程が行われた時のみ、メイドインジャパンと表示されます。

生産・製造の最終工程が行われた国のみがその峻別の基準となるため、生産・製造をした主体が日本企業ではなく海外企業である場合や、生産・製造の担当者が日本人ではなく外国人である場合、日本国内で生産された素材・原材料ではなく日本国外で生産された素材・原材料を使用した場合などでも、最終的な生産・製造工程が日本で行われた時は、メイドインジャパンと表示されます。

対して、日本企業の日本人担当者が、日本国内で生産された素材・原材料を使用して日本国外で生産・製造したものは、日本国内で生産・製造の最終工程が行われていないため、メイドインジャパンに該当しません。

世界貿易機関(WTO)が定める「原産地規則に関する協定」によると、2ヵ国以上にわたり生産・製造された場合でも、最終的に実質的な変更が行われた国が原産国に該当するとされています。

ここでの実質的な変更とは、世界税機構(WCO)が定める​​国際貿易商品の名称・分類を世界的に統一した品目番号であるHSコード(統計品目番号)が、加工などの結果によって変更されるほど新しい特性を与える行為を指しています。

例えば、綿織物(HSコード:5209.21)から裁断・縫製したTシャツ(HSコード:6109.10)のように、製品の分類が変わる事例は実質的な変更に該当します。そのため、ラベル貼りや表面部分の一部変更といった軽度の加工や検査・梱包などの行為は、実質的な変更に該当しないと一般的に解釈されています。

(参考)
原産地規則に関する協定

各アイテムカテゴリごとの原産国の定義

一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会(JAIC)が取りまとめた『アパレル業界における原産国表示マニュアル』を参考に、それぞれのアイテムカテゴリごとの原産国決定の工程を紹介します。

(参考)
社団法人日本アパレル産業協会
アパレル業界における原産国表示マニュアル

繊維製品

・布帛・ジャージ衣類

原産国決定の工程:縫製 ※1

・ニット衣料(縫製仕様)

原産国決定の工程:縫製 ※1

・ニット衣料(リンキング)

原産国決定の工程:編立 ※1 ※2

・ニット衣料(ホールガーメント)

原産国決定の工程:編立 ※1 ※2

・パンティストッキング・タイツ

原産国決定の工程:縫製 ※1

・帽子

原産国決定の工程:縫製 ※1

・手袋

原産国決定の工程:縫製 ※1

・ネクタイ

原産国決定の工程:縫製 ※1

・ファンデーション・下着類

原産国決定の工程:縫製 ※1

・パジャマ

原産国決定の工程:縫製 ※1

・エプロン

原産国決定の工程:縫製 ※1

・カバー(毛布・布団・枕)

原産国決定の工程:縫製​​

・ベッドスプレッド

原産国決定の工程:縫製 ※1

・水着

原産国決定の工程:縫製 ※1

・靴下・ストッキング

原産国決定の工程:編立 ※3

・ハンカチ・タオル・手ぬぐい

原産国決定の工程:先染め(織物を織る前やニットを編む前に糸や繊維などの素材を先に染色する工程)の場合は製織・編立、後染め(織った後の布や編んだ後のニットを染色する工程)の場合は染色 ※4 ※5

・毛布

原産国決定の工程:先染めの場合は製織・編立、後染めの場合は染色 ※4 ※5

・ひざ掛け

原産国決定の工程:先染めの場合は製織・編立、後染めの場合は染色 ※4 ※5

・カーテン

原産国決定の工程:先染めの場合は製織・編立、後染めの場合は染色 ※4 ※5

・マフラー・スカーフ・ショール

原産国決定の工程:先染めの場合は製織・編立、後染めの場合は染色 ※4 ※5

・ストール

原産国決定の工程:先染めの場合は製織・編立、後染めの場合は染色 ※4 ※5

・テーブル掛け

原産国決定の工程:先染めの場合は製織・編立、後染めの場合は染色 ※4 ※5

・風呂敷

原産国決定の工程:先染めの場合は製織・編立、後染めの場合は染色 ※4 ※5

・床敷物

原産国決定の工程:先染めの場合は製織・編立、後染めの場合は染色 ※4 ※5

・敷布(ボックスシーツ)

原産国決定の工程:縫製

・敷布(シーツ)

原産国決定の工程:先染めの場合は製織・編立、後染めの場合は染色

・エンブロイダリーレース

原産国決定の工程:刺繍

※1…ボタンや付属品などを追加する縫製に関しては、実質的な変更にあたらないため、原産国に該当しません。

※2…リンキング(ニット素材を繋ぎ合わせ縫製するニット衣料に用いられる工程)の工程がその製品になんらかの付加価値を与える場合は、それぞれの工程を実施した国が併記されます(例…編立:中国製、リンキング:日本製)。

※3…リンキングやロッソ(靴下のつま先部分を縫い合わせる工程、ロストとも言う)は実質的な変更とならないため、原産国に該当しません。

※4…布の端をほつれないように処理する工程は、縫製工程に該当しないため原産国に該当しません。

※5…製品の完成後、抗菌防臭加工などの後加工・特殊加工を行った場合は、後加工国、特
殊加工国が併記されます(例…縫製:インド製、特殊加工:日本製)。

雑貨工業品

・サングラス・めがね

原産国決定の工程:レンズの製造と枠・フレームの製造の両方 ※6

・ベルト

原産国決定の工程:価格に反映する実質的な価値となる工程 ※7

・傘

原産国決定の工程:組立(特に傘骨と生地を結合して製品の状態にした工程)

・アクセサリー(ネックレス、指輪、ピアス等)

原産国決定の工程:組立および全体をメッキ加工した工程

・時 計

原産国決定の工程:ムーヴメントの組立 ※8

※6…レンズの生産・製造と枠・フレームの生産・製造を実施した国が異なる場合は、それぞれの工程を実施した国が併記されます(例…レンズ:日本製、枠:中国製)。

※7…ベルト本体の皮革や装飾性に価値があればそれぞれのものを生産・製造した国が原産国に該当します。紛らわしい場合や判断に困る場合は、それぞれの工程を実施した国が併記されます(例…バックル:アメリカ製、本体:中国製、組立:日本製)。

※8…貴金属類や宝石を施したものや防水構造のケースなどを用いた特殊なものの場合は、ムーヴメントの組立と側・バンドの生産・製造のいずれもの工程を実施した国が原産国に該当します。ムーヴメントの組立と側・バンドの生産・製造を実施した国が異なる場合は、それぞれの工程を実施した国が併記されます(例…ムーブメント:日本製、側:イタリア製)。

皮革毛皮製品

・革製衣料

原産国決定の工程:縫製 ※9

・毛皮衣料

原産国決定の工程:縫製 ※10 ※11

※9…革の原産地を表記する場合は、素材名の横に○○産と氷時、または文言によって表記されます(例1…皮革:ラムシャイニー[スペイン産]、原産国:日本製)(例2…アメリカ製のラムスキンを香港で縫製したものです、 原産国:香港製)。

※10…毛皮の原産地を表記する場合は、原毛皮の横に○○産と表示、または文言によって表示されます(例1…原毛皮:ノルウェー産、原産国:香港)(例2…ノルウェー産のサファイヤミンクを香港で縫製したものです、 原産国:香港)。

※11…毛皮ライニング付コートや毛付コートで、繊維部分と毛皮部分の原産国が異なる場合は、ライニングの横に○○産と入れる、または文言によって表示されます(例1…ライニング:ヌートリア[ノルウェー産]、原産国:台湾)(例2…ライニングにノルウェー産のヌートリアを使用しました、 原産国:台湾)。

メイドインジャパンの使用例

A「ここにある服全部メイドインジャパンじゃん」

B「このブランド、国内生産にこだわってるのよ」


そのほかにも知ってそうで知らないアパレル用語を解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

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メイドインジャパンの求人

秋吉成紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

ライター・編集者。1994年東京都出身。2018年1月から2020年5月までファッション業界紙にて、研究者インタビューやファッション関連書籍紹介記事などを執筆。2020年5月から2023年6月まで、ファッション・アパレル業界特化型求人プラットフォーム「READY TO FASHION」のオウンドメディア「READY TO FASHION MAG」「READY TO FASHION FOR JINJI」の編集チームに参加。傍ら、様々なファッション・アパレル関連メディアを中心にフリーランスライターとして活動中。

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