2017年2月3日、企業向けにコンサルティングを行っている、株式会社ローランド ・ ベルガーが、ファッション/アパレル産業における市場のレポートを公開した。
この業界に携わっている人は、すでに目を通している方が多いだろう。ここでは、その業界にいる人の間では出回っているが、そうでなければ目にすることがない、このような情報を、噛み砕いて紹介する。ファッション業界への進む、若者の道を照らすことができれば幸いだ。
<目次>
ファッション熱は終わった
2016年、「服が売れない時代」「究極の普通”ノームコア”」「外さないファッション」などの言葉が世間を騒がした。ついにファッション(=容姿)に対してお金を使うことが、”もったいない“という考えが浸透し、豊かなライフスタイルを求める消費が”良し”とされる時代に到達したのだろうか。
若い読者は経験をしてないが、かつて、日本は、ルイヴィトンの店舗に列をなし、ドメスティックブランドを買うためになけなしのお金を払っていた。そんなファッション熱に乗じ、多くのアパレル企業が台頭した。しかし、近年のこの時代の流れに対応できなくなった、国内のファッション/アパレル企業の経営が傾き始めてきた。そんな2017年の現在、ファッション業を目指す若者は、行き先真っ暗だと思い込んだり、両親や友人からは、”儲からない業界だからやめなさい!”と忠告を受けているのではないだろうか?
論より数字 国内の市場は20年間で大きく減少
ファッション業界を賑わす暗いニュースや、周りの人の意見に惑わされる前に根拠となる数字を見てみよう。ファッション業界を広い視点でとらえた、同レポートや、業界誌が出しているデータを参考に、「国内市場の推移」と「世界市場の推移」をまとめてみた。
未来の可能性は大きい 世界的に見るとこの業界は成長産業である
上記の画像の結果を見てどのように感じただろうか?国内市場だけを見ると確かに厳しさがわかる。ただ、少し視線をあげて、見渡してみると、産業全体としては、大きく成長する見込みがあることもわかるのではないだろうか。
一部の成功している、ファッション系企業は順調に海外での売り上げを伸ばし、ビジネスとして成功している。ユニクロを例に挙げてみると、国内収益2388億に対して、海外収益は1965億円(2016年9-11月の数値)と売り上げの約半数を海外が占める。今後はこのように、海外に挑戦することが、日系企業が成功する鍵になると同レポートでは述べられている。
ただ、このように海外に挑戦して成功している企業は多くないことが現状だ。これまで、国内でしか経験のないこの業界は、最もグローバル化が遅れているとまで言われている。そんな中、海外で成功するにはあるパターンがあるという。そのパターンは、①高付加価値型(ラグジュアリー)(※1)②グローバルSPA型(※2)③カテゴリーキラー型(※3)の3つだ。
①※ LVMH やケリング、コーチ、マイケルコースを指す
②※ ZARAや H&M、ファーストリテイリング(ユニクロ)、GAPのファストファッションを指す
③※ NIKEや、アンダーアーマー、ヴィクトリアシークレット、鎌倉シャツなどを指す
今後の若者に必要なこと 広い視点から、自分の進む道を
海外に限って言えば、上記の3つのパターンが重要ということだが、国内においても、今後成長する企業には以下の特徴があると書かれている。詳しい説明は最後に記載する同レポートの原文をご覧頂きたい。
① 多様化する消費者をニッチに捉えることができる中小のブランド、ショップ
② Eコマース(オンラインストア)
③ SNSを活用した、ファッションブランド
④ Eコマースプラットフォーム
さて、今後われわれ若者にとって必要なことは、何だろうか。それは海外進出に必要な3つのパターンに当てはまる人材になることだろうか。それとも、国内において、上記の4つに対応できるような人材になることだろうか。
ここに書かれていることが全て正しいとは言い切ることはできないが、間違っているとも言い難い。ただ、一つだけはっきり言えることは、このような業界のレポートや、業界誌、Webマガジンなど情報を収集し、大きな視点と自らの立ち位置とを比較検討しながら、自分の進む道を決めていくことしかないだろう。
業界のことを知る/考えるイベント紹介
ファッション業界に興味のある、もしくはファッション業界を目指している若者に向けたイベントを紹介する。
この業界を知り、考えたいという若者にぜひ、下記のページからイベントを参加していただきたい。
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タイトル:アパレル産業の未来 -国内アパレル企業の課題と進むべき道-
著者:株式会社ローランド ・ ベルガー 福田稔