長年にわたって蓄積した技術とデータ

瀬戸内の青い海とオリーブなどの豊かな緑に囲まれた小豆島ーここに、世界に誇る日本の服作りを長年培ってきた縫製工場がある。タカラグループだ。日本人による国内生産にこだわった製品づくりをしており、国内外のメゾンブランドからもそのクオリティを認められている。裁断する前のセットアップからとても細かく正確な作業を心がけ、自社仕様に改良した機械で生地の物性検査を行い収縮具合を徹底調査するなど、知見とデータを蓄積することで最高の仕上がりを実現する。

「ファッションは改善する余地がまだまだいっぱいあるアナログ・アートフルな部分として残り続ける部分と、できるだけシステム化して、ミスコミュニケーションを無くし、生産性を高めていく部分とを融合させていく必要性は多いに感じる。」

タカラグループの代表である米倉氏は、テクノロジーによる効率化にも積極的だ。またメイドインジャパンの品質を世界にもっと広めて行くためにも様々な施策を現在も考えている。その品質へのこだわりは「信頼できる方とともに仕事がしたい」という社長である米倉氏の想いがある。タカラグループはこの想いを大切にしていて、共通の考えを持っている人たちとともにプロダクトを作り上げたいと考えている。長年続いているのはこの想いが根底にあるからではないだろうか。

「ものづくりは人づくり」一気通貫した人材育成

高品質な製品を作るために人材育成を重視し、教育機関としての役割も持っている。技術志向の若者が減少している現状を問題視し、国家資格の取得まで一気通貫して学べる教育体制を整え、学生がものづくりを学ぶ事ができる場所を提供することがねらいだ。

また工場内には熟練の技術者もおり、人材を最適配置することでカスタマーの要望に寄り添ったものづくりや新しい技術者の教育にも繋げている。「ものづくりは人づくり」という教育の考えを原点に持ち、創造力に秀でた人材を育成し人間教育を完成させようとすることに自分たちがこの業界で生き残っていく道を見出している。

ファッション業界を変えていくために

タカラグループのように新しい技術や教育機関を積極的に取り入れ、導入している工場はまだまだ少ないのが現状だ。特別な技術を持っていてもそれをバックアップする人材やテクノロジーがないために、閉鎖を余儀なくされてしまう工場が後をたたない。

「生産に関して縫製工場が追う負担が大きすぎる。誰かがやらないとこの業界は変わらない。この業界は今までお互いに干渉してこなかったのですが、同業で手を組むことで更に可能性が広がるはずです」(米倉氏)

この言葉には日本の工場の問題を捉え、改善しなければならないという意思が現れている。タカラグループの理念と、時代に合わせた取り組みはとても参考になるだろう。今まで明らかにされなかった工場のプレゼンス向上に全力で取り組んでいくことができれば業界を変えていけるかもしれない。

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