アパレルメーカーの流通やEC展開を最大化するための支援をするBleaf株式会社、取引先企業との対談を通してアパレルメーカーに対する関わり方や考え方に迫る連載「supported by Bleaf」。
初回となる今回は、ECモール出店サポートやオリジナルアイテム制作など複数の事業でビジネスを共にするOEM/ODMメーカー「株式会社サンクラウド」より、杉田弘・株式会社サンクラウドOEM事業部部長兼EC事業部MDにご参加いただきました。
よりユーザー目線のビジネスに
──まずは、Bleaf様とサンクラウド様が取引を開始した経緯についてお聞かせください。
大場正之・Bleaf株式会社代表取締役(以下、大場):もともとはファッション・アパレル業界に詳しい共通の知人からサンクラウドさんをご紹介いただき、2019年12月頃から弊社が提供する、ZOZOTOWNでの出品をサポートする事業でお取引を開始しました。
──Bleaf様と取引するようになって仕事の進め方などに関してどのような印象を受けましたか?
杉田弘・株式会社サンクラウドOEM事業部部長兼EC事業部MD(以下、杉田):サンクラウドはそもそも小売出身の経営者が立ち上げたOEM/ODMメーカーであり小売に関する知識と経験があるのですが、正直ECビジネスにはあまり詳しくなかったという背景があります。Bleafさんの売り方は我々が知っている方法論とは異なる視点で展開されていたので勉強になりましたね。
これまでのファッション・アパレル業界の定石としては、モデルやPRエージェンシーなどに広告費をお支払いして実施するのが一般的なPRの流れでした。しかし、Bleafさんが提案するのは、インフルエンサーとコラボしてSNSを介して売り上げに変えていくという方法で、Bleafさんの考え方はより等身大なユーザー目線というような気がして新鮮でしたね。
大場:ECの場合はリアル店舗のように販売員による一対一のやりとりはなかなかしづらいですよね。なのでその代わりに、モデル着用画像や商品画像などを通して着用シーンやコーディネート提案する必要があります。これがデジタル版の接客方法だと考えているため、Bleafの場合はインフルンエンサーを外部販売員と捉え、コーディネートの提案などを行なっております。商品づくりに関しては我々も知識がないのでサンクラウドさんに教えてもらい、一方で我々はECでの”売り方”に関して、サンクラウド社に支援するといったWIN-WINの関係を築けていると思います。
取引先と同じ境遇でリスクを見せる姿勢
──これまでのお取引でどのような課題がありましたか?
大場:その他取引先企業に共通することではありますが、ZOZOTOWN出品代行事業などに際してECの正攻法を提案しても、経験したことがないことを理由に提案を断られてしまうこと、不安に思われてしまうことが多々ありました。実際に費用もかかる提案なので不安になるのは仕方ないのかもしれません。それでもこの方法が正しいと考えているため、その方法で成功する姿勢を身をもって示すために自社ブランド「Bonjour Sagan(ボンジュールサガン)」の商品づくりも開始しました。
杉田:オリジナル商品をつくりたいとご相談いただき、20年12月からOEM事業でもお取引させていただくようになりましたね。
大場:商品づくりについてはサンクラウドさんの手助けもあり、我々が考える方法を実践しZOZOのレディースカテゴリーランキング1位を獲得することができました。流れを示すことでようやくBlaefが提案するECビジネスを理解していただけた部分はあります。はじめは、メーカー支援がメインの事業と考えていたので、オリジナル商品を自社で考えて作る事は当初考えていなかったのですが、リスクのない立場から言葉で提案するだけでは難しかったのかもしれませんね。そこからのコミュニケーションはより円滑になった気がします。
──単に支援する立場として提案するのではなく、自らリスクを背負う姿勢を見せることがお取引先との良好な関係を構築につながるということですね。
大場:いわゆる外野からセオリーを伝えてもその言葉の裏付けは薄いように感じてしまいます。同じ境遇で在庫のリスクを持つという経験を示すこと、相手のビジネスのリスクを理解・共感することは非常に重要だと思います。同じ経験をして一緒の気持ちになってみること、共感できる部分をつくっておくことは最低限必要なことなのかなと、この1年で学びましたね。
お互いに良い影響を与え合う関係
──Bleaf様はサンクラウド様と関わるようになってからビジネスのやり方や意識に変化はありましたか?
大場:先頭を切って成功事例を立ててくれたのはサンクラウドさんでした。在庫リスクをはりつつ、最初にZOZOTOWNのカテゴリーランキング、マウンテンパーカー部門とスカートの部門で1位を獲得してくれたのですが、それがとても励みになりましたね。プラットフォーム側としてもBleafを通じて1位になってくれたという事実自体が嬉しかったです。それが良い意味でプレッシャーになって我々も頑張ろうという気持ちにもなれたので、取引先として助け合いつつもやる気スイッチを押しあえる良いライバルなのかなと。商品づくりの方法や考え方に関しても、身近な成功事例が1番参考になりました。やっぱり生のノウハウは全く違いますね。
──では、サンクラウド様はBleaf様と関わるようになってからビジネスのやり方や意識に変化はありましたか?
杉田:「Bonjour Sagan」がZOZO内でランクインしていくと、ある種我々のOEMメーカーとしての宣伝にもなる部分もあるんです。
我々が生産に関わっているブランドの認知が広がっていくと、そのブランドをきっかけに巡り巡って新規のお取引先との接点が生まれる可能性があります。なので、Bleafさんのビジネスが拡大していくことは我々にとってのプラスにもなるんです。
大場:それは今度我々のメリットにも繋がるんですよね。アパレルメーカーは一見互いに敵同士のような関係に思えますが、その内実は良好な関係で繋がっているケースがほとんどです。なので、Bleafを通じて1つの企業の売上が上がると、口コミ的にBleafのいい噂が広がることもあるんです。これまでもそのようなつながりから、いくつかの企業様とお取引をさせていただくようになっていました。Bleaf側から営業せずにインバウンド型で企業様との接点をつくれるので、遠からずプラスの側面はあると思いますね。
──結果的にお互いのためになっているというのが面白い関係性ですね。良好な関係を構築する秘訣とはどのようなものなのでしょうか?
杉田:社内でも社外でも小さいチームをつくるのが大事ですね。社内外それぞれで相談できないことを相談できる人がいると、課題を解決しやすくなる側面もあるので。
特に大事なのはコミュニケーション能力
大場:メーカーの支援をするというBleafのミッションについては社内のメンバーに口酸っぱく伝えているつもりですが、サンクラウド社からみて、弊社社員はどのような印象ですか?
杉田:精いっぱいやっている感じがしますね。みんな意識高いと思います。特に、この半年で社員の意識が高まってる感じが伝わってきますね。やっぱり、自分たちで商品の実績をつくったという結果が見えてからは、探り探りの提案から確かな意志が篭った提案に変わったというか。実際売上も伸びていますし、こっちも本気でやらないとなと思いますね。
──サンクラウド様側の意見として、どのような人と一緒にお仕事したいですか?
杉田:もちろんファッション・アパレル業界のキャリアやスキルを持ってる人だと嬉しいですが、特に大事なのはコミュニケーション能力だと思います。仮に自分にスキルが足りていなくても、うまくコミュニケーションして気持ちが伝われば動きやすくなるはずです。そこの能力が低いとやっぱり仕事の時間かかってしまうので、自分から動ける人と一緒に仕事をしたいですね。
大場:Bleafの採用方針はまさにその点を重視しています。1番重要なのはコミュニケーション能力、相手の気持ちが分かった上で会話できるかどうかは、採用時に重要視しています。その次にBleafの社風に合うかどうか。最後にファッション・アパレル業界での経験を見ます。
弊社は現状、未経験者を中心に採用しています。未経験だからこそ偏ったステレオタイプがなく、素直な気持ちでやれる部分もあるかと思います。業界としての正攻法は仕事の中で学びながら成長していけばいいかなと。
もちろん、新しくBleafに参画された社員の方からするとムチャぶりに思える場面はあるかもしれませんが、成功も失敗も自分でゼロから経験しないとわからないことがあるはずです。失敗のフォローはこちら側で対応するので、基本的には現場に判断を任せて否定しないようにしたいと考えています。経営者としては、いい意味でなにが起きているか把握しきれないということはすごく幸せなことでもあると思っていますね。
大きな目標に向けて永続する体制をサポートする
──サンクラウド様はBleaf様と今後どのように関係を築いていきたいですか?
杉田:ビッグビジネスになるような成長戦略を密にコミュニケーションをとって描いていきたいですね。Bleafさんの社員の方々とも一緒に成長できればと思います。どこまで一緒に行けるかわかりませんが、お互いシビアなやり方は貫きつつ、商品のクオリティや人間関係を崩さずに求めている数字までは一緒にやれたらいいですね。
──ではBleaf様は今後サンクラウド様をはじめ、取引先企業とどのような関係を築いていきたいですか?
大場:サンクラウドさんに限らず、どのアパレルメーカーも在庫が大きな課題です。エシカルやサスティナブルという言葉とともに在庫処分サイトなどが業界内に増えてはいますが、そこで処分される在庫は悪く言えば死に筋です。いくら安くしても売れないという実態は少なからずあります。これは本質的なソリューションではないですよね。
そうするよりも、リスクなく売れ筋をつくれる体制、攻めとしての守りを築けるような体制を整えることの方がよっぽど価値があるはずです。ECとリアル店舗問わず、Bleafを通じてそのような仕組み、体制をつくってもらえることが一番のミッションだと考えています。
売り上げと在庫の消化率は必ずセットだと思っています。それぞれデータに基づいた上で商品を消化できる場所を提供したいなと考え9月から「Bonjour Sagan」のデジタルソリューションを用いたリアル店舗の展開も開始します。リアル店舗の展開についてもサンクラウドさんにはかなり協力していただいています。
ECで売ることは目的ではなくあくまで手段の1つです。リアル店舗とEC形態問わず、ITの力で効率的にビジネスを成功させられればと考えているので、販路・認知拡大の手段としてリアル店舗も組み込んでいければなと。もちろん難しい領域だと理解していますが、メーカー様はもちろん、テナント側など各位含めて、みんなが永続するような状況をBleafがハブとなって実現できればと考えております。
もちろん外部依存なく自走して売上をつくれた方がいいとは勝手ながら思っています。Bleafのサービスを通して、卸に関しても永続できる仕組みなど様々な方法についての気づきを与えられるようなプラットフォームでありたいですね。
Bleafで働く
今回のお話を通して、Bleaf様のお取引先企業に対する真摯な関わり方が伝わってきました。
ファッション・アパレル業界のなかで働きたい人にとってはとても刺激的な環境だと感じます。
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