古着屋 求人

古着屋はブラックなのか?……古着屋で働くことを検討すると、そういった噂を聞くことが少なくない。

たしかに、古着屋は、個人事業の延長でグレーゾーンの働き方をしている店舗も少なからずあるのが実態だ。

下北沢で「DYLAN(ディラン)」など6店舗の古着屋を運営するbright young things株式会社は、そんな風潮に一石を投じようとしている。

bright young thingsが目指すのは「100年続けられる洋服屋さん」。無理なく働ける環境構築のため現在社内制度の整備を進めている。

さらに現在、今後の成長を見据えて求人を公開中だ。

今回は、社長の今澤さん、阿部さん、堀口さんに、bright young things株式会社の会社概要から、こだわり、古着屋で働く魅力、社内で進める企業制度の整備、求める人物像、今後の展望まで細かく伺った。

これから先長く続く古着屋を目指すbright young things株式会社で働くことも検討してみてほしい。

bright young things株式会社

古着屋さん≒魚屋さん?

古着屋 求人

──まずはbright young things株式会社の会社概要を教えてください。

今澤:bright young things株式会社は2014年設立、2016年法人化した古着屋さんです。割とオーセンティックな古着屋で、少年少女たちが買える服からたくさんの服を着てきた大人も買える服まで、海外から買い付けた幅広い商品を販売しています。社員はアルバイトを含めて30人。下北沢を中心に、「DYLAN(ディラン)」「ALASKA(アラスカ)」「JARMUSCH(ジャームッシュ)」など6店舗を運営しています。

今日参加している阿部と2人で立ち上げた会社なのですが、彼曰く古着屋は魚屋さんのような仕事なのだそうです。

──魚屋さん?

阿部:商品を仕入れる際、トレンドであったり、お客様からの要望であったり、ある程度それらをふまえた上で計画を立ててから買い付けに行くのですが、結局現地に行ってみないと何があるのかわからないんですよね。

魚屋さんも同様に市場に行ってみないとどういう魚が入っているかわからない。その中からあ、このサンマ美味しそうだな、今日は新鮮なイカがたくさん揚がってるから仕入れてみようと仕入れるわけです。その上で、このサンマは美味しいよとか、叩きにするのもいいかもねとか、ショウガとあわせて食べたらもっといいよなど、提案していく。そこにあったものの中からいいものを選んで、どう提案すればお客様に喜んでもらえるかを考えるという点で、この仕事は魚屋さんに近いかなと思っています。

──とてもわかりやすい例えですね!では、bright young things株式会社を運営する上でこだわっている点を教えてください。

阿部:こだわっている点は店内の内装、家具、音楽を含めて、他のお店よりもお金と時間と労力をかけているのは間違いないと思いますね。

今澤:言い方を選ばず言えば、粋なお店って本当に少ない。。全てのお店は、商売っ気が見え過ぎてもダメだし、カッコつけが見え過ぎてもダメだと思うんです。どちらかに偏ると商品はもちろん、スタッフもお客様も魅力的に見えなくなる。商業性と芸術性に折り合いをつけて、なおかつその部分が上手く見え隠れするような感覚のお店が、「あ、ここいいな」と思えるお店かなと思うので、そこは心がけていますね。

阿部:5年10年で考えるのではなく、20年、30年、50年、100年を目指して続いていくものをつくりたいという気持ちで店舗をデザインしているので、そのこだわりはうちの強みかと思います。

ハッとする瞬間に立ち会える仕事

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──ここからは、実際にbright young things株式会社で働かれている皆さまに古着屋で働くやりがいなどについてお伺いしていきたいと思います。まず、現在どのような役職でお仕事をされているのでしょうか?

阿部:役職はバイヤー兼任のディレクターです。bright young thingsの海外からの仕入れは自分が責任者として行なっています。業務内容に関しては、現地での仕入れ交渉、買い付けた商品の国内への配送、商品の管理、洗濯業者への委託、各店舗への商品の仕分け・供給、そのほか商品に関するスタッフへの説明や営業方法に関する助言などを行なっています。

──商品の仕分けはどのような基準で行なっているのですか?

阿部:店舗ごとのコンセプトを設定してそれを基準に選んでいます。もちろん、それに捉われすぎないようにしつつも常に流動的であることがいいお店だと考えているので、シーズンごとのテーマを持ちながら割り振っています。Levi’sはこのお店、Leeはこのお店、スキニーはこのお店、70年代調のものはこのお店というように、どのような特徴を持つ商品なのか、1つ1つの商品を見極めながら選んでいますね。

──そういった特徴を見極め選別する審美眼がどのように養われたのでしょうか?

阿部:私自身、高校生の頃から古着がとても好きで、今思えば、人よりも1つ1つの服に対してよく観察をしていたかなと。これはいつの年代の商品なのか、どういったブランドのものなのか、昔から細かく気にしていたので、見てきた数、触ってきた量が人よりも圧倒的に多いから判断できるのかなと。

今澤:彼はいい意味で異常ですね(笑)。2週間の買い付け出張で1日何千着の中から300〜400の服を毎日選んでいて。

阿部:普通の生活していたら見ないであろう量の服を見ています。海外の買い付けで毎日朝から晩まで全開でずっと見続けるっていう仕入れをしている古着屋はあまりないと思うので、古着屋の中でも単純に量が多い方だと思います。

──では、あらためて古着屋で働く魅力とはどのような点にあるのでしょうか?

阿部:古着屋で働いていて魅力を感じるのは、お客様のハッとする瞬間に立ち会えるところです。コーディネートなどの組み合わせはもちろんですが、何をどのように選ぶかも大事で、サイズをどうしてどのように着るのがベストなのかが1つ1つの商品ごとにあります。必ず生かし方、かっこよく見える着方があって、それをうまく伝えられるとお客様はハッとするんです。そういう瞬間に立ち会えると、あ、良かったなってやりがいを感じられます。

いまの世の中、情報はもちろん、服も溢れかえっています。その中で、古着屋は、一度人がいらないと言ったものの中から選別して他の人が評価してくれる商品として提供できる他にない仕事だと思うので、その達成感はあると思いますね。

普通を知っている強み

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──堀口さんにも同様の質問をお伺いしていきたいと思います。まず、現在どのような役職でお仕事をされているのでしょうか?

堀口:現在はエリアマネージャーとして働いています。その前は別業種の企業で働いていて、転職を検討していたところ、前職で繋がりのあった阿部に声をかけてもらい2017年に入社しました。

──古着屋に転職した理由を教えてください。また、他の業種を経験した上で、古着屋で働く魅力もあわせてお聞かせください。

堀口:単純にずっと古着が好きだったんですよね。古着は言ってしまえば、今後も増えるものじゃないですか。その点で将来性はあり続ける業種だと思い転職を決めました。

古着屋で働く魅力はやっぱり、好きな服を着ながら働けるところです。ブランドショップであれば、シーズンごとのそのブランドの服を着ないといけない制約もあるはずですが、古着屋であれば何を着てもいいので、そういった初歩的なところから楽しいなと。また、古着を通して、カルチャーや当時の音楽、文化を知れる点も古着屋で働く魅力だと思います。

──エリアマネージャーのお仕事をされてると思いますが、具体的な業務内容をお聞かせください。

堀口:売り場をつくるのは阿部の仕事で、どちらかと言えば事務的な業務、例えばスタッフの勤怠管理や社内ルールの整備、マニュアル作成、採用人事の担当などを務めています。

──社内の制度づくりなどに携わられているかと思いますが、会社の働きやすさをつくる上で心がけていることをお聞かせください。

堀口:各スタッフの意見をなるべく尊重してあげることかなと思います。勤怠管理にしてもそれぞれ希望があるので、休みたい日や働きたい時間帯、それら希望全てを極力応えられるよう調整していくよう心がけています。特に不公平にならないようにすること、特定の人の意見だけを取り入れないようにすることをしっかりバランスをとって検討するようにしていますね。

今澤:本当に全体の調整をしてもらっていてすごく助かっています。古着屋の働き方はややもすると常識からズレてしまうこともありますが、彼女は他の企業での経験もあるため、普通を知っている。そんな彼女であればエリアマネージャーを担当しても問題ないだろうと考え任せています。会社の中で進めたいことをざっくり伝えても、彼女はリスト化して進めてくれるためすごいありがたいですね。

古着屋はなぜブラックと言われてしまうのか?

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──いま古着屋の働き方について話が出ましたが、正直、職場環境がブラックなんじゃないか?というのが、古着屋の世間的なイメージとして少なくありません。そもそもなぜ、古着屋=ブラックという印象が多いのでしょう?

阿部:やはり業務内容の幅広い、拘束時間が長いお店が多いんだと思います。

今澤:ほとんどのお店では、セクションがはっきり分かれていないため、業務量が増えて拘束時間が長くなってしまうのかもしれません。古着屋は商品を仕入れるところから仕事がはじまるため、そういう点がブラックに見えるのかもしれませんね。

堀口:古着屋で大きい会社がそこまでなく、個人で経営しているお店も多いかと思うんです。ルールもお店ごとに違う。そういった状況からその印象を覚えてしまう面もあるのかなと。

──bright young things株式会社の職場環境の整備に関してお伺いできればと思います。

今澤:会社としてのバランス感覚は非常に重視しています。社会的な意義と個人的な見解、商売っ気と気前の良さ、それらの調整には特に気をつけています。古着屋の中にはワンマン気質で経営する人も少なからずいますが、それは時代からズレてるなと感じています。なので、勤怠の話でもありましたが、社内のみんなの意見を踏まえてバランスを取っていきたいですね。

正直、私と阿部が立ち上げた創業当初は2人の休みはとても少なかったんです。社員が増えてきた段階で、会社としてまともにしたいなって思うようになりました。ちょうど堀口が入社したタイミングの2017年から、弊社では社会保険・雇用保険など各種福利厚生のルールを整備しはじめました。

古着屋にはわざわざ髪の毛を伸ばして、汚い服を着て、刺青を入れていちびって生きている人もいます。別にそれでも構わないと思うのですが、そこで社会的な意義を無視していたらただのチンピラになっちゃうと思うんですよ。なので弊社では、より意識的に社会に対する貢献、まともであろうとすること、礼儀正しさ、それらを必ず身につけていきたいなと。ただ、一部上場企業と比べると完全に真っ白と言えないかもしれないというのが正直な現状です。それでもすこしでも白に近づけるように頑張っている最中です。

もちろん社会貢献を謳ってみんなを雇用したとしても利益がなければ何も意味がない。そのバランスが今後の課題になるかもしれませんが、アルバイトでも社会保険・雇用保険完備、有給あり、社員であれば加えて長期休暇あり、賞与あり、その他労働基準法に則ったかたちで会社のルールを整えているので、よりよくしていける人と一緒に会社をつくっていきたいと考えています。

ちゃんとしていたら道が開かれるということを実地で示す

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──bright young things株式会社は、READY TO FASHIONにて求人を公開中ですが、皆さまが今後一緒に働きたい人の人物像についてお聞かせください。

阿部:主体的に成長できる人です。人の成長する速度はやはり主体性を持って仕事に取り組めるかどうかに寄ってくると思うので、そういう人が理想的ですね。また、年齢経験スキル問わず、いろんな人がいてもいいと考えていますが、古着屋の基本は接客業・サービス業になるはずなので、コミュニケーション能力と協調性を持って笑顔で店頭に立てる人が最低条件かなと。

堀口:まずは洋服が好きな人、その魅力を伝えられる人。そして、洋服だけでなくアートや音楽などさまざなな分野に興味を持っている人は、全て仕事に生かしていけると思うため、いろんなことに好奇心を持って取り組める人がいいなと思います。

今澤:現在会社として7年目で、10年目が見えてきています。そうなるといまから次の10年のことを考えなくてはならない。そのために会社の体制をよりよくしたいと考えているんです。さらに10年続けるためには、古着が好きで好きでたまらない人も欲しいし、少年少女も欲しいし、一歩引いて全体を見渡せる人も欲しいし、私の意見を絶対とする人、逆に反発してくれる人、私よりも年上で昔から古着が好きでずっと古着業界にいる人、どんな人でも自分をメンテナンスできる人であれば誰でも構わないので、いろんな人に入ってきて欲しいですね。全員を生かす自信はあるので。

極論、ちゃんと普通の挨拶ができれば問題ありません。普通のことを普通にやるのが難しい世の中で、ちゃんとしていたら優遇されるし道が開かれるということを実地で示せる会社にしたいので、それに付き合える人が欲しいです。

入社する人に期待すること

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──今後bright young things株式会社に入る人にどのような活躍を期待しますか?

堀口:お店をつくれる人にまずはなって欲しいです。そのためにお客様の要望や期待に応えられることが大事だと考えています。いろんなところにアンテナを常に張って、任されたお店を自分のお店だと思って仕事に取り組んでいけるような力をつけてもらえたらいいかなと思います。

阿部:自分自身をプロデュースできるといいなと。どういうことをしたら自分が素敵になって評価されるのかを自ら考えながら主体性を持って働いてもらいたいです。接客が得意なら接客を、裏方作業が得意なら裏方作業を、自分の得意なことを見つけてのびのび気持ちよく仕事をしてもらえたら嬉しいですね。

今澤:2人の意見に通じる部分がありますが、洋服屋さんになってほしいです。私自身、洋服屋さんをやっていてよかったと思うことが圧倒的に多いんです。そういう会社をつくれて大変だけど本当に幸せだなと思っているので、もし独立するにしても応援するし、ほかの会社に行くにしても洋服屋さんを続けてくれるなら個人的にも嬉しいので、私の元に来る人はどこに行っても通用する本物の洋服屋さんになってほしいなと思っています。

一生洋服屋さんでいられる会社

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──最後に、これからの10年先を見据えて、今後の展望をお聞かせください。

堀口:やはり出産・子育てが始まるとどうしても働き辛い、戻りづらい状況が生まれてしまいます。古着屋で出産・子育てを経て戻ってくるパターンをあまり聞いたことがないのでその道筋をつくっていきたいですね。販売に限らず、裏方の仕事など古着屋ではやることはいろいろあります。新しいことに取り組みやすい環境があるので、模索しながらつくっていきたいと思います。

会社としては続けていくことが大事だと思うので、これまで以上にバランスを崩さず、あらゆる働き方に対応した新しい制度や仕組みづくりをしながら、働きやすい会社に整えていきたいですね。

阿部:正直これまでの僕の働き方ってむちゃくちゃでした(笑)。ただ、いままではそれでもなんとかなってきたことも、年齢を重ねると家庭の事情や体力面で続けていけなくなると思うんです。なので、継続可能なかたちで働けるように変えていかないといけない。仕事の質や熱量を変えることなく、続けていける方法を試行錯誤しながら少しづつ探していきたいと思います。

会社全体としても働き続ける環境をつくりたいなと。専門学校を卒業してこの業界に入っても1年で半数近く、3年で7割減り、10年経ったら何人残っているかわからないというのが正直な現状です。それって面白くないと思っているので、30歳になっても40歳になっても働けるような会社に、それこそ古着屋は店頭に立ち続けられる仕事だと考えているので、いつまでも続けられる会社にしたいですね。

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今澤:このファッション・アパレル業界の中で、ずっと洋服屋として食べていく唯一の方法は古着屋だと思っています。先ほど阿部も言っていましたがこの業界を辞めてしまう人も少なくありませんし、有名ブランドのクリエイティブディレクターでもほとんどが10年もブランドに在籍しません。

bright young thingsは、継続可能な働き方を会社制度や環境などから整えている真っ最中です。一生洋服屋さんでいられる会社をつくっていきたいですね。

私個人の話ですが、会社を立ち上げてからいままで突っ走り過ぎたと思っています(笑)。ただ、この数年間は数十年分の経験を得られたと思っています。年齢的にも残された働ける年数は、あと25年もないかもしれないとも感じています。これから先、一番体力があってクリエイティブでいられるのはこの先10年くらいでしょう。

なので、これから先も変わらずめちゃめちゃアホみたいに突っ走りたい、と思いつつも、この数年で家庭環境の変化などに伴い、ゆっくりしたいという気持ちも芽生えてきました。bright young thingsとして、会社の方向性をいくらでも選べる時期なので、いまいるスタッフみんなの人生を含めて、バランスを取りながらやっていきたいなと。

ライフスタイルを重視して休みを増やしたい社員も、たくさん働いてたくさんお金を稼ぎたいという社員も、どちらもいてもいいと思っています。どちらの働き方も選べる会社をつくりたいので、社員全員と一緒に考えながら進みたいですね。

bright young things株式会社の求人一覧

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秋吉成紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

ライター・編集者。1994年東京都出身。2018年1月から2020年5月までファッション業界紙にて、研究者インタビューやファッション関連書籍紹介記事などを執筆。2020年5月から2023年6月まで、ファッション・アパレル業界特化型求人プラットフォーム「READY TO FASHION」のオウンドメディア「READY TO FASHION MAG」「READY TO FASHION FOR JINJI」の編集チームに参加。傍ら、様々なファッション・アパレル関連メディアを中心にフリーランスライターとして活動中。

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