ファッション業界に旋風を巻き起こす企業のトップたちに、インタビューを行う本企画。企業の成長に欠かせない”人”についてどのように考え、どのような採用方法を取り入れているのか。

第二回目となる今回は、幅広いジャンルのファストファッションブランドのアイテムをまとめて購入できる通販サイト「SHOPLIST.com by CROOZ」を運営するクルーズ株式会社の執行役員及び、学生や若手の起業家に特化した事業支援・投資活動を行うCROOZ VENTURES株式会社の取締役を務める諸戸友氏に、お話を伺った。

インスタ就活を取り入れた背景

諸戸友・・・クルーズ株式会社 執行役員 兼 CROOZ VENTURES株式会社 取締役| 1980年生まれ。2003年に新卒でリクルートの代理店に入社、2007年にベンチャー企業に特化した採用コンサルティングを行うアイ・パッションの立ち上げに創業メンバーとして参画、1,000人以上の起業家との出会いを経て、2012年クルーズに入社。 社長室担当執行役員として社長秘書、組織構築、広報、ブランディングなど幅広く担当。2015年より人事の執行役員として主に新卒採用を設計。

クルーズ株式会社・・・レディースからメンズ・キッズまで、幅広いジャンルのファストファッションブランドを取り扱う通販「SHOPLIST.com by CROOZ」中心としたEC事業を展開している。同サイトの取り扱いブランド数は600以上、年間ユニークユーザーは142万人。現在のコマース事業売上高は190億と急成長を続けている。

──まず、御社の主な事業内容について教えてください。

諸戸氏(以下敬称略):今は、カジュアルブランドに特化したファッションEC「SHOPLIST.com by CROOZ(以下:SHOPLIST)」の運営がメインになっています。他にも、CROOZグループ全体としては色々な事業を展開していて、例えばメディア事業を運営する「Candle」だったり、格安航空券のECを運営する「CROOZ TRAVELIST」、ソーシャルゲームを運営する「クラウドナイン」や「Studio Z」、若手起業家に特化した投資事業を行う「CROOZ VENTURES」等があります。グループ全体としては、沢山の人に必要とされる、いわゆるインフラのような当たり前のエンターテインメントを沢山創っていきたいと思っています。その為には、時代とユーザーのニーズの変化に応じて変化し続ける組織であることが必要だと考えています。

──今まではゲーム事業等もクルーズ株式会社として運営していたと思いますが、今は積極的に分社化を進めていますよね。その背景についてお聞かせ下さい。

諸戸:シンプルに言うと、別会社にした方が事業成長につながると思うからです。シナジーを持てるところ、例えばノウハウや上手くいっている事業の共有だったりはもちろんするんだけど、物理的には一緒じゃなくてもいい、と思っていて。物理的に一緒であることによって、意思決定が遅くなったりするので、子会社ごとに、それぞれベンチャースピリッツを持ち、自分たちの会社だという認識を持ってやっていってもらったほうが、事業成長にはプラスになると考えています。

──御社はインスタ就活や、ファストパス就活等、様々な採用方法を取り入れられていますよね。その中でもインスタ就活を取り入れた背景とその狙いについてお聞かせ下さい。

諸戸:インスタ就活は、元々クルーズでインターンをやっていた子が事業の一貫として始めたものなんです。その子と話していた時に、インスタ就活のような採用活動があったら面白いよね、と話をしていて、そこからスタートしました。
僕たちがやっているサービスって、沢山の人に知ってもらわないと出来ないサービスじゃないですか。なので、全くSNSをやらない子よりかは、たくさんのフォロワーがいて、たくさんの人に支持されている、発信が上手な子ってうちにとっては一つのプラスの要素であることは間違いないよね、と。そういう子って、常にフォロワーが満足するような情報を集めて、アウトプットをしている。そこは一つの強みになるんじゃないかなと思っていて。色々な事を自分なりに分析して咀嚼して、表現していく一連の流れって、一つ強みだと思っていたから、そういう子がいたら良いよね、っていうのが1つ目の理由です。

2つ目は、プロモーションのようなもの。うちのサービス、「SHOPLIST」を SNSを使ってどうやって伸ばしていくか、ということを考えて貰うんだけど、それについて、現場の担当者がフィードバッグするんだよね。そこでやってよかったな、楽しかったな、勉強になったな、って参加者が思ってくれたら、シェアしてくれるわけでしょ?そうすると拡散力が元々ある子たちだから、所謂、プロモーションにも繋がっていく。さらに、参加してくれる子達は、自分たちユーザーに近いので、その人達の意見を知ることが出来るっていうのもあるかな。それは副産物的な要素ですけどね。

クルーズ株式会社の新卒採用情報はこちら:https://crooz.co.jp/recruit/movie

素直・変化・挑戦と失敗・成長の糧

──御社はインターンシップも目的別に様々なものをやっていますよね。その狙いは何なのか、それによってどんな人材を集めたいのかを教えて頂きたいです。

諸戸:目的別にインターンを分けているのは、いろんなきっかけでうちを知ってもらいたいから。多様性を大事にしているので。ビジネスに興味がある子たち向けの事業を創ることにかなりこだわった実践型のインターンシップっていうのがメインになっているんですが、そのインターンシップでは、PLを作らせたり等、アイデアでは終わらず、とにかく数字を追求してもらいます。他にも「BIZCAMP」っていう、リアルな地域課題をビジネスで解決するっていうインターンシップがあるんですが、これには、地方創生等にに興味を持った子たちが参加をしてくれています。また、先程話したインスタ就活には、情報収集をして、咀嚼して、人に伝えることが好きな子たちが集まってくれています。

みんなインターンシップを通じて得たいものが違うわけで。僕のポリシーとしては、参加してもらったら、そこはガチンコで、参加してよかったと心から思えるような、瞬間の満足度をあげるようなものにしたいと思っています。きっかけは採用目的だったとしても、満足してもらえる内容にしていけば、たとえ、採用できなかったとしても、どこかでブランディングに繋がって、価値としてまわってくると考えています。

──御社が採用したい人物像について教えてください。

諸戸:たくさんあるんだけど、フラットにいうと、素直でいい子っていうのがマストかな。一緒に働きたいと思えるような子。それ以外で具体的に言うと、うちって変化に激しい会社じゃないですか。事業に変化があるということは、日々現場にも変化があるわけなので、変化を毛嫌うひとは無理かな。逆に、「昨日はこう言ってたのに今日はこう来ましたか」みたいに、変化を楽しめちゃう人のほうが向いているんじゃないかなと思いますね。変化する時には、僕たちは必ず理由も伝えるので、そういう時に「よしやってやろう!」となれる人は必要かな。

あとは挙手力も大切にしています。結局、活躍してる人ってどんな人かというと、失敗をたくさんしてきた人なんだよね。意思決定者ってどうやって意思決定者になっていくかというと、偉いからとか、元々パフォーマンスに優れているから、ではなくて。例えば、当たりくじが1本しかない10本のくじがあったとして、苦しい思いをしたとしても引き続けて、外し続けてきた、だけど残り4本に当たりくじがあるっていう人と、全く挑戦も失敗もしていなくて10本残っている人と、どちらが当たりくじを引く確率が高いかっていう話。意思決定者って、決定していくことが仕事なので、失敗を繰り返して、その理由を明らかにして知財に変えていくということをしていくと、最終的に当たりを引く可能性が高くなっていく。そして次第にそういう人の声が大きくなっていくっていうことだと思っています。そういう意味で、採用したい人物像をキーワードで言うならば、素直・変化・挑戦と失敗・成長の糧あたりになりますね。

豊かなエンターテイメントの提供

──次に今、主軸とされている「SHOPLIST」に関してなのですが、「SHOPLIST」の強みや他社との差別化について教えて頂きたいです。

諸戸:カジュアルブランドに特化しているという点は価値として、とても大きいかな。「安くて可愛い服なんかないかな」って時に、最も使われるサービスだと思ってる。なぜならば、ここまでカジュアルブランドが揃っているプラットフォームはなかなかないので。若いユーザーが多いため、スマホの「UI」や「UX」もかなりこだわってつくっています。あとは、「SHOPLIST」では、一旦倉庫に商品を預けてパッキングして、つけ爪していても開けやすい箱に入れて、お客様の元に届けています。様々なブランドの商品が、まとめて家に届くというところも大きなポイントですね。

──最近は「SHOPLIST」が中国市場にも進出しましたよね。今後はさらに海外に力を入れていくのでしょうか。

諸戸:まず、市場として海外を見ているかということと、商材として海外をみているかという2つの視点があると思っています。

商材という点で言えば、今後強化していこうとしています。当然、海外に限った話ではないですが、国内外にはまだまだ素敵なカジュアルブランドはたくさんあります。そういったブランドの商品が買えるというのは、ユーザーにとってプラスなのでそこは今後より強化していきたいと思っています。

市場として見ているかということに関しては、もちろん見てはいますが、まずは日本でしっかり結果を出すべきだと思っています。ただ、今後は日本を含めた世界として市場をみていかないといけないので、当然日本は伸ばしながら、徐々に海外も増やしていきたいです。

──クルーズ株式会社としての今後の展望についてお聞かせ下さい。

諸戸:まずは、伸びている「SHOPLIST」でしっかりと柱を創っていきながら、ファッションECという中でもいくつか挑戦をしていきたいと思っています。例えば、30代向けのカジュアルファッションECである、「SHOPZONE」とか、商品を自由に売り買いできる「SHOPLIST USED」とか。また、ファッションECに限らず、ECという大きな仕組みの中で言えば、ファションだけではなくて、旅行やそれ以外のエンターテインメントなども可能性があると思っています。それは海外っていう分け方かもしれないし。「SHOPLIST」のユーザー資産とかノウハウを生かしつつ、ECという仕組みの中で新しい挑戦はしていきたいですね。

最終的には、より多くの人に、CROOZのサービスがあるから人生が楽しい、面白い、豊かだって言ってもらえるようなエンターテインメントを沢山提供していきたいと思っています。結局社員の満足度って、究極を言うと、自分たちが手がけたサービスがどれだけ必要とされているかに尽きると思っているので、そこがやっぱりゴールですね。

どれだけがむしゃらにやれるか

──最後に学生へのメッセージをお願いします。

諸戸:これは完全僕の持論なんだけど、将来やりたいこととか、こうしたい、こうなりたいっていうのが具体的であればあるほど良いし、明確にある子はラッキーだと思う。だけど、そうではない子が自分を含めて大半だと思うし、それで全然良いと思う。無理やり具体化する必要もないし。例えば僕で言えば、素晴らしい人と働いて、その人を越えられるような、成長し続けられるような自分でありたい、という抽象的なものしかなくて、そういうことだけを意識して就活をしていました。
でも、大事なのは、そこで決めた後にどれだけがむしゃらにやれるか。がむしゃらにやり続けていれば勝手にチャンスが落ちてきて、それを乗り越えていくと、いつの間にかビジョンとか夢とか、自分が出来ることっていうのがたくさん持てている。それは経験と共に出来ていくものなので、目先のことより、そこはもう割り切ってアバウトな中でも良いから、失敗を恐れずに頑張って欲しいと思っています。

Text:Moeka Sato (READY TO FASHION  MAG編集部)


READY TO FASHION MAG 編集部

1000社・25万人/月間が利用するファッション・アパレル業界の求人WEBサービス「READY TO FASHION」を運営する株式会社READY TO FASHIONが、業界での就職・転職活動に役立つ情報を発信するメディア『READY TO FASHION MAG』。業界の最新情報をお届けするコラムや業界で活躍する人へのインタビュー、その他ファッション・アパレル業界の採用情報に関するコンテンツを多数用意。

PERSON