※11月15日繊研新聞掲載 人が育つ企業特集より

芽生える責任感、夢は店長

4月から直営店「デサントコクーンシティ」で販売員として働く高濱優成さん。業務に対する前向きな姿勢からぐんぐん成長し、「既に接客レベルは2、3年目の社員とそん色ないレベル」(エリアマネージャー)と評価される。入社後半年が経ち、自身でも「店舗を代表する一人として、責任感を持つようになった」と話す。

「デサントコクーンシティ」高濱優成さん

頼られる喜び

主な業務は接客販売。平日は一日10人前後、休日や繁忙期は同20人前後を接客する。対応するのは自分より年上の40代男性が中心。

「デサント」ブランドは、高機能で高単価品が多い。例えばプレミアムカテゴリー、オルテラインの売売れ筋「水沢ダウン」の「マウンテニア」は税込み13万2000円、人気上昇中のシェルジャケット「クレアス」なら5万5000円という設定だ。だからこそ接客では、着こなしの提案やサイズ合わせだけでなく、機能に関する分かりやすい説明も求められる。ベースとなる商品知識は不可欠で、その習得はデサントの販売員には必須となる。

高濱さんも配属当初は、学習を繰り返した。空いた時間はブランドアプリの説明文を読み込み、店内で売れている商品の値段を覚え、聞かれたらすぐに答えられるようにした。水沢ダウンなど、認知度がある高単価品は、お客のほうが詳しい時もある。先輩スタッフとロールプレイングを重ね、接客技術を磨いた。

初めて上下5万円のセットアップを売った時の感動は忘れられない。必死で覚えた製品の機能を焦らず紹介し、買ってもらえた。「丁寧に説明してくれてありがとう」。お客が最後にそう言って店から出て行ったときは嬉しくて、店長と思わずハイタッチした。

21年4月に開業した「デサントコクーンシティ」店

店の代表を自覚

高濱さんの長所は、明るさと会話のうまさ。「相手の懐に入り込んで、可愛がられやすい」との評判通り、初対面の人ともあっという間に親しくなれる。

彼のもう一つの武器がコーディネート力。専門学生時代に取得した「色彩検定」の資格知識をもとに、「どんな色の組み合わせならまとまりが良いか、迷いなく提案できる」という。

色へのこだわりは販促にも生きる。公式アプリ「クラブデサント」ではショップスタッフによるコーディネート例を掲載しており、コクーンシティ店では髙濱さんが投稿業務を担う。ある時、「もっとお客様の目に留まるように」と、同店で働く6人のスタッフ全員が同じウェアの同色を着て、同時刻にアップする案を閃いた。画面上に横一列で同色の画像が並ぶと目立ち、PV数が急増。顧客や他店スタッフから反響が寄せられた。

失敗もある。修理依頼を受けていたお客様から、修繕完了の時期を尋ねる電話が来た時のこと。「以前もお伝えしたと思いますが…」と言ったことが、不快に思われ、クレームにつながったのだ。問い合わせてくるのは、愛着あるウェアが手元に戻ってくるのが待ち遠しいから。「もっと親身に、声のトーンにも気を付けて、丁寧にご説明すべきでした」と振り返る。高濱さんはその件を反省し、電話対応のロープレを繰り返し、改善している。

小学生時代から続けている野球では「デサント」の製品を使うことが多く、なじみがあったという高濱さん

こうした努力と実績が認められ、最近では他店へ派遣されることも増えてきた。「行くからには、自分がコクーン店を代表している気持ちで臨み」、何かしらの結果や学びを持ち帰るようにしている。9月25日~10月1日に阪急メンズ東京で開催された期間限定店では、派遣スタッフの中で一番の販売実績を残した。

夢は店長。憧れは、全国の様々な店舗で働き、知識と経験が豊富な今の店長だ。いつか自分もそんな存在に――。誰よりもどん欲に成長を追い求める。

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