若手女性ダンサーとして、脚光を浴びる菅原小春さん。ご両親がデザイナーということもあり、小さい頃から洋服を身近に感じられる環境で育ったのだとか。自分の体型を意識した、ダンサーならではの洋服の選び方や、洋服を大切にするときに意識していることなどをうかがいました。
自分のパーソナリティに合った服を選びたい
私の体型は、日本人女性としては背が高いし、肩幅もある。そういう自分の体型の良さも悪さも知って、そこから手に取った服が自分のものになっていくと思うんです。例えば、私が109にある洋服屋さんに行っても、何一つ自分に合わない。洋服に着られるんじゃなくて、自分を知った上で手に取った洋服はすごくパーソナルが詰まっているものになるから、すごく好きになるんですよね。自分だったらガッツリ長いのも着れるし、ドーンとしたでっかいズボンも履けるし、肩が張っているから自分の体に合わせたジャケットの着方ができるし。そういうことを考えながらお洋服を決めるのが好きです。
デザイナーである両親から影響を受けることも
お母さんがデザイナーでパターンを作っていて、お父さんが針子さんで裁断してミシンで縫っていく仕事をしています。自宅の2階にミシン部屋があって、洋服をパターンからつくっているところから見ているので、洋服のパターンに惹かれますね。両親ともファッション業界の人だったので、若い頃の両親の写真とか見たりすると、イケイケですね(笑)。「なんでこのときのこの服とっておいてくれなかったの」って思うくらいステキな服を着てたりするんです。今でもおしゃれで、リサイクルショップで100円くらいで買ってきた服を着こなしたりしている。そんな服でも自分のものにしているのがカッコイイなって、両親を見てて思います。
ダンスするときには「気持ちが入る服」を選ぶ
ダンスするときは練習のときも本番のときも、気持ちが入る服を選ぶようにしています。気持ちが入らない服で行ったら、その気持ちのままの作品ができる。自分のモードに入れる洋服ってあるから、例えばこのTシャツ着たらコンテンポラリーな気持ちになるとか、ヒップホップな気持ちになるとか。本番のときはただ踊るだけじゃないから、特に洋服選びにこだわりますね。「このロングスカートならどういう風になびいていくか」とか「この色なら照明とどうぶつかるのか」とか、想像しながら選ぶのが大好き。「これが私だ」って言えるような衣装を探すようにしています。先日、「TOKYO M.A.P.S」で踊ったときに着た衣装も思い入れがあります。作業着みたいに見える服でパリコレにも出てた服らしいのですが、本気で働いている人が着る作業着をファッションにしちゃったら面白いんじゃないかっていうデザイナーさんのアイデアが気に入りました。素材はゴワッとした素材だけど、生地をたっぷり使ったズボンで骨盤の位置くらいまでスリットが入っていて、素足が見える状態。足を上げたときや巻いたときのズボンの動き方がすごくキレイだったんです。上着も袖が長めにとってあって、決して踊りやすくはないんだけど、身体が舞ったときに自分の可動域よりも外に出してくれるパワーがキレイだった。素材じゃなくてパターンに魅力を感じたので、衣装として使いました。
お手入れは両親におまかせ!?
洋服のお手入れはめちゃくちゃ適当なんです。洋服をキレイにしまっておくよりも、“味”を出していくのが好き。洋服を大切にすることは使い込むことだと思うので、自分の大切なものは自分が着古してあげたいんです。だから、いろんなところに連れて行きたい。「この服、高いからここにしか持っていかない」とかはしないです。どんな洋服でも、同じ感覚でいろんなところで着るようにしていますね。もちろん、両親は生地の性質やパターンがどう崩れちゃうとかがわかっているから、きちんとケアしています。だから頼んじゃいますね。「この服、今日本番に着るからアイロンかけといて」みたいな感じで(笑)。自分じゃアイロンがけがうまくできないんです……。
Text:お気に入りをもっと着たくなるライフスタイルマガジン「Lenet MAGAZINE」