これまでREADY TO FASHION MAGでは「READY TO FASHION 内定者レポート」と銘打って、READY TO FASHIONのサービスを利用して入社した方にインタビューをしてきました。
株式会社ベイクルーズが展開するショップ「L’ECHOPPE(レショップ)」にてバイヤーアシスタントとして働く石黒晴輝さんもその1人です。
そんな石黒さんは入社されてから現在に至るまで、どのようなキャリアを形成してきたのでしょうか? これまでのキャリアを深堀しつつ、将来への展望やベイクルーズへの考え、これから業界を目指す人へのアドバイスを伺いました。
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自分の城が欲しい
──石黒さんには入社以前の2020年1月に弊社でインタビューさせていただきましたが、あらためてこれまでのキャリアを教えてください。
石黒:僕がベイクルーズに入社したのは2020年4月です。一年半近く販売員として店舗で働いた後、「L’ECHOPPE」コンセプター金子恵治の仕事の都合でアシスタントが必要になり、ありがたいことに僕が登用されて2021年9月からは本社配属のバイヤーアシスタントとして働いています。
──そもそも石黒さんがベイクルーズに入社したきっかけは何だったのですか?
石黒:僕は小売業の仕組みを一通り学ぶためにベイクルーズに入社しました。
──小売業の仕組みを学ぶため?
石黒:いずれは自分のお店を持ちたいんです。だからこそ小売の仕組みを学んで経験を積んでいきたいと考えています。小学生くらいからずっと考えていたことなので、アパレルになるかわかりませんが、業界分野を問わずその時自分が好きなモノのお店をやりたいなと。
──お店をやりたいと思うようになった原体験は何だったのですか?
石黒:小学生の頃、野球をやっていたのですが、野球をすることよりもグローブなどの野球の道具自体が大好きだったんですよ。インターネットでメーカーを調べたり、カタログを延々眺めたり。
特に地元にあった個人経営の野球道具専門店に遊びに行くのが好きでした。そこでは甲子園の時期にお客さんとオーナーさんが「あの選手、〇〇のグローブ使ってるよ、渋いね」みたいな話をしていて。そういう場面に強く惹かれて、そんな場所、自分の店が欲しいと思い始めたんです。
その時はお客さんとの間をつなぐのが野球の道具だっただけであって、今は洋服でもいいなと気づきました。あの時のオーナーのように、自分の好きなものに囲まれた自分の城を持ちたいですね。
──なるほど。そういった思いから小売の仕組みを学びたいとなったんですね。
石黒:ベイクルーズで働くなかで、店舗の面白みをより具体的に感じられたので、自分のお店を持ちたいという気持ちはさらに高まったと思います。
──では、どんな店にしたいのですか?
石黒:誰かと好きなものについての話をずっとしていたいので、「あれいいよね」「これいいよね」と洋服屋の駆け出しが居酒屋で飲みながら話しているようなことを語りあえるような場にしたいですね。
販売員は将来のために必要な時間
──そういった思いからベイクルーズに入社されたのですね。まずは販売員としてスタートされましたが、販売員時代に苦労した場面はありましたか?
石黒:もともとアパレル業界での販売員経験がなく、セレクトショップで買い物をしたこともなかったので、販売員のやり方が本当にわからず全部に苦労しましたね。
取り扱いブランドのこともほとんど知らなかったので、都度調べて勉強していました。洋服屋としてのセオリーも知らず、とにかく主観的に商品やブランドの話をお客さんにしたりして、どうにかやっていたなと。
──いわゆるの方法論というより我流でやっていたということですね。
石黒:かっこいい言い方をするとそうなりますね。ただ、僕は本当に販売員が苦手で。当時も何度も怒られました。お客さんをたくさん抱えて売上をつくるようなタイプでもないですし。だからこそ違う道で自分の生きる道を探していこうとキャリアについて考えられたと思います。
──ちなみに本社に配属されてからは店頭に立つことはありますか?
石黒:いまでも月に1〜2回はお店に入ります。ただ当時ほどの苦手意識はなく、いまはすごく楽しいですね。以前よりも知ってる情報も多いですし、お客さんに伝えられることも増えたからだと思います。以前よりInstagramなどで僕のことを知ってくれている人が増えたのも理由の一つですね。
──販売員の仕事に不安を覚えている求職者の方も少なくありません。そういった方へ販売員の仕事を頑張るためのアドバイスをお聞かせください。
石黒:僕の場合は将来やりたいことが決まっていたからこそ、そのために必要な時間だと思っていたので辞めませんでした。その販売員の仕事が今後の自分のために必要であるならできると思います。
なんでもいいから良いところを見つける
──そこから金子さんのもとでバイヤーアシスタントとして働くことになりましたが、石黒さんご自身としてその役職につけた要因をどのように分析されますか?
石黒:一番は、若くて経験がなかったからだと思います。ある程度業界で働いていると、その人なりの考え方や働き方が身についているはずです。アシスタントにはバイヤーにあわせて動ける柔軟な考え方・働き方が求められるため、固定観念のない人がよかったのかなと。もちろん誰でもいいと言うわけではありませんが。
あと、新卒の頃からめちゃくちゃ洋服を買っていました。バカなんじゃないかって言われるくらい(笑)。金子自身も今まで似たような洋服への人生を積んできた人間なので、そういう部分を評価されたところもあったのかなと思います。
──あまり色に染まってない状態でありつつ、服への強い興味というパーソナルな部分を評価されたということですね。金子さんのもとで働く中でどのようなことを学びましたか?
石黒:僕が入社してすぐの頃、金子がなんでもいいから良いところを見つけろと話していたことをよく覚えています。好きなブランドだからとかではなく、全ての商品の良いところをそれぞれ見つけられれば、自分自身の好きにも繋がってくるはずだと。
販売員時代は入荷した商品を全部着ることを心がけていました。一度でも袖を通したことは必ず伝わるものなので、自分のフィルターを通して1つでも良いところを見つけられれば、おおよそのことはうまくいくんですよ。
──販売職含め他の職種にもいかされる考え方のように思います。ではバイヤーアシスタントとして働く中で、意識していたことはありますか?
石黒:当初は業界内の経験もつながりもデザイナーからの信用もまだない立場だったので、先ほどの話につながりますが、デザイナーやブランドのことを知って、その良さを伝えることだけはやっていました。
そのおかげで最近は仲良くさせていただいている方も増えてきたので、そういう方とは面白いことやろうよと新しい商品をつくるようになっています。直近であればニット専業ブランド「MEIAS(メイアス)」に別注したラメを織り交ぜた足袋型ソックスを一緒につくりました。売れ行きもよく、今後も違うかたちで展開していこうと考えています。
ポジティブなギャップ
──ベイクルーズに対して入社前後でイメージの変化はありましたか?
石黒:そこまでなかったですね。強いて言うなら入社1年半でバイヤーアシスタントにフックアップしてもらえたというところで、若い社員を本社職に登用する体制があるんだといい意味で驚きました。
──ポジティブな面でギャップがあったと。
石黒:正直な話、そんなわけないだろと思っていたので(笑)。会社説明会などでも半年でバイヤーになられた方が登壇されていたのですが、いやいやそんなの珍しいことでしょと(笑)。
──いいように見せるための方便なんじゃないかという疑惑が晴れたということですね。「L’ECHOPPE」という組織はベイクルーズの中でも比較的若い組織かと思います。そういった組織だったから早期の本社職登用が実現されたのですか?
石黒:いえ、他のブランドでも早期での本社配属はよくあります。ブランドごとに登用されやすい職種の傾向は異なりますが、本社配属は積極的だと思いますね。入社4年目の同期の何人かが現在本社で働いているので、社員それぞれのことをよく見てくれているのかなと思います。
──これまでのご経歴は石黒さんとして理想のキャリアでしたか?
石黒:さまざまな仕事を経験してみたかったため、キャリアの変化があまりないのであれば辞めようと考えていました。想定していたより早く配属されましたが、理想的と言えますね。
絶対に1番だと自信を持てることがあればなんでもできる
──今後のベイクルーズ内でのキャリアの展望をお聞かせください。
石黒:自分のお店を始めるためにも、販促・PRやMDなど全部の仕事をやりたいです。現在仕入れから納品、販売までを学びながら、少しずつ販促・PRの仕事もするようになったので、いずれは領域を広げて店舗運営や予算管理までやりたいと考えています。
──そのために取り組んでいることはありますか?
石黒:依頼される仕事はなんでも全部受けるようにしていますね。そうやってどんどん自分の仕事の範囲を広げています。
──最後にこれから業界を目指す人に向けて、先輩的な立場から一言お願いします。
石黒:僕自身経験がないままこの業界に入って今もやってこれているのは、洋服が好きだからなんですよ。一緒のタイミングで入社した人の中でも絶対1番洋服が好きな自信があります。絶対に1番だと自信を持てることがあれば、なんでもできるかなと。それだけで今までやってこれているので、それがあればなんでもいいんじゃない?とは思います。
──ありがとうございました。
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