2016年、ヤフーが「新卒一括採用を廃止」を発表。また、メルカリは新卒/既卒ともに通年採用、エンジニアに特化した「*GitHub採用」を開始し、ITの会社を中心に既存の採用スタイルを脱し、新たな方法を模索している。
*GitHub(ギットハブ)とは:ソフトウェアを開発するプロジェクトに使用される、共有ウェブサービスのことを指す。
そんな中、ファッション業界はどのような形で、若者に対して新しい採用アプローチをしているのだろうか?今回は、ファッション業界と繋がるしごとSNS「READY TO FASHION」 を実際に利用している方を対象にインタビューを行った。採用・応募のための情報収集など、どのようにSNSを活用しているのか?また、ファッション業界に関わる上で心がけているコミュニケーションの仕方など、企業と学生の双方に話を聞いた。
ノーノーイエス<目次>
ジャンル:アルバイト
今回インタビューしたのはレザーブランドNo,No,Yes!「ノーノーイエス株式会社」橋本タイチロー氏。7年間継続してコレクションをパリファッションウィークで発表し、海外50店舗以上にレディメイド(既製品)の取り扱いがある(http://www.nonoyes.com/stores)。また一枚革を全く縫わずに折り紙のように折って仕立てたサイフのシリーズ「所作(https://www.shosa.tokyo)」でも知られており、オーダーメイドでレザージャケットを仕立てる「レザーテーラー(http://leather-tailor.tokyo)」としても活躍している。
渋谷区千駄ヶ谷にある直営店舗は大きな看板がなく、重厚な扉を開けるとブランドの世界観を集結させた空間が迎えてくれた。コンクリートの壁面。洗練されたディスプレイ。外界からの光を遮断し、ブランドの持つこだわりと 独自の異彩を放っていた。1940年代のヴィンテージのアイウェアをかけた橋本氏が見る、「ファッション業界の人材採用×SNS」とは。
広告制作事業からスタート
──まず、御社の活動を始めた頃を簡単にご説明いただけますか?
橋本:2006年にレザーに特化したノーノーイエスを創業しました。今では革素材産地姫路にも拠点を設け素材開発である「川上」から、企画デザインの「川中」、展示会発表やセレクトショップへの卸、直営店舗での販売の「川下」までレザーを軸に一気通貫でやっています。ブランドを始めた当時、レザーに関しては無知だったので独学で素材開発を始めました。まだ製品の販売はしておらず、素材の開発費を稼ぐために元手のかからない広告制作の事業からスタートしました。
──広告制作というと、クリエイティブワークをされていたのですか?
橋本:いえ。クリエイティブとは程遠いです(笑)一緒に会社を立ち上げた相方が元々広告制作の仕事をしていて、紙媒体やwebなどの実務経験があったので、私は広告営業をして仕事を取ってきました。アポなしの飛び込み営業などもしていて、たまたまクライアントに人材採用関連の企業もありました。求人広告も手がけましたね。
今ではデジタル化されている求人情報も当時は紙媒体でやっていて、その制作を担っていました。前職でもショップマネージメントしていて求人誌への募集や面接などたくさんやっていたので、求人に関しては結構詳しい方だと思います。
大きく変わる「働き方」
──紙からデジタル。近年ではスマートフォンの登場も相まって、様々なものがデジタル化していると思います。そんな中、2006年から2017年という10年以上の年月で「仕事」のあり方は変わってきていますか?
橋本:大きく変わりましたね。デジタライズの変化もありますが、それぞれの「働き方」が特に。
ノーノーイエスは東京の他に姫路や銀座にも店舗やアトリエなど拠点が国内に5箇所あるんですけど、創業から今まで一度も会議らしきものをしたことがないんですよ。もちろんプロジェクトごとに打ち合わせすることはありますが、全体会議をしたことがないんですよね。嫌いなんです。
週一の定例会議などを否定はしませんが、それってある程度やってきたら形骸化してくるので会議のための会議は無駄なのでやっていません。コミュニケーションもメッセンジャーやSNSなどを多用しています。ダイバーシティ化を実践していてオンラインーオフラインのサテライトでシームレスに繋がっていく関係を実装化しています。
今後そういう風に働き方が変わっていくのではないかなと思います。 流行の言葉で言うと「ノマドワーク」。うちのスタッフにはデスクがあえてない人もいます。常にノマドワークな働き方を実践していて色んなところで仕事をしています。天気のいい日は外でPCを膝に乗せて仕事していたり(笑)今週は革素材を造るタンナーにおいとまして一緒に汗をかきながら素材開発をしたり。
──ワークスタイルやコミュニケーションの仕方が変わってきていて、これもデジタルの力による変化だと思います。では採用活動において、デジタル、特にSNSをどのように活用していますか?
橋本:今は情報収集の方法が変わってきていますよね。採用情報に関してはブログ、ツイッター、自社メディアの全てで告知をしています。当然ですが、反応はある時とない時があります。内容に関してはチャネルごとに最適化することが重要だと思います。一昔前は何か情報を出したいと思っても、時間と労力が膨大にかかっていました。
例えば雑誌に載せる場合にしても、 FAXや電話などのアナログなやり取りを繰り返し、高額な費用をかけて、入稿の関係上掲載されるのは1週間かかるのが当たり前でした。しかし、SNSではリアルタイム投稿できますよね。採用に限らずネット活用するのは別に特別なことではなく、今は当たり前になっています。
いかにアカウントごとの目標を設定し、達成するか
──御社でも様々なSNSを活用されていますが、担当はいるんですか。
橋本:実は決まった担当は設けていません。現状、私が把握しているだけでもインスタグラムアカウントが複数あります。ツイッターも2つ確認できています(笑) それぞれが独立していて、誰かがチェックするわけでもなく、自由に場面的に動いていますね。 メリットは何かあった時にフレキシブルな対応ができる。一方デメリットはアカウントを集中されていないので、フォロワーも分散しているところですかね。
──アカウントかなり多いですね(笑)
橋本:そうですね。ですが、大事なのは「いかにアカウントごとの目標を設定し、達成するか」ですよね。フォロワーという母数がいたずらに増えても、それだけでは意味がないので。コンバージョンが高まっているかのチェック機能は働かせています。
──今までSNSを使う以外には、どのように採用活動をされていましたか?
橋本:色々やってきましたが最近の話だと去年銀座店オープンの際は自社媒体以外だと大学構内に掲示される学生しか見ることのできない求人を出しました。
──具体的な効果は出ましたか?
橋本:タイミングとかもあるとは思いますか。大学生向けの求人は3ヶ月くらい掲示されていたけど全然応募なかったです(笑)応募終了ギリギリの忘れた頃に1人きました。
──採用を通じて、今の若者に対してどのようなことを感じますか?
橋本:今の若者はデジタルネイティブだと感じます。私は成人する時にネットが普及しだして、接続もまだダイヤルアップの頃(笑)繋がるまでに5 分くらいかかるのが当たり前でした。インターネットと言っても回線はかなりアナログなものでした。
今の学生はPCでもネットでも物心ついた時からありますのでリテラシーは高いですね。
──そうですよね。初めて手にした携帯電話がスマホという世代ですね。 気づいたらネットが手の中にある時代が来ましたね。
橋本:そうですね。今の学生の世代だとネットやスマホを活用することは当たり前なので、PCスマホ業務は私の世代よりも適任だと思います。
アウトサイダーな考え方を持った人が業界的に必要
──では、そのデジタルネイティブの世代の中でも、特に若者に求めることはありますか?
橋本:忍耐と根性以外にですか?(笑)
──そこはもちろんですけど(笑)
橋本:学生の採用に関してだけ言うと「自己実現」ですかね。やっぱり応募してくれる方の「こういうことがしたい」というものあるわけですが、その方向性と、うちがその時に人材に求めることが合致すれば未経験や専門的な勉強をしていなくても採用しています。ファッションとは関係ない文学部の学生をインターンとして採用し、能力に準じてアルバイト雇用し、大学を卒業と同時に正社員採用したこともあります。
求人って大きく分けて2つに分けられると思うんですよ。1つは「人の手」。これは工場のラインが一人抜けちゃって人手が必要というような「job」。もう一つは「人材」。どちらかといったらブレイン的な「work」のイメージです。うちの場合、人手は足りているんですけど「人材」はいつでも欲しい。1から10まで説明してその通りにやってもらう「人手」ではなく、意図の理解力が高くて早く実行してくれる「人材」を。仕事は時間的、コスト的制約がつきものなので、いかにショートカット出来るスキルを持っているか、PDCAを基礎活用出来るかなども採用基準になりますね。
──ファッション業界だからファッション好きに働いて欲しいと言うよりは、自分のビジョンがあり、能動的に動いて行ける人がいいですか?
橋本:ファッションオタクよりもいいですね。ファッションだけを専門に勉強してしまうと、視野が狭くなりがち。夢中になるのは良いことでもあるんですけど。正直その中で実社会で能力を活かせられるのは一握りですね。
今までのファッション・アパレル業界の産業構造として、素材・原料があり、それを縫い合わせ、加工する。この三つの要素が揃わないと基本的には製品ができないじゃないですか。これってどう考えても労働集約モデルなんですよ。学生はそこの部分をいくら頑張って勉強して覚えたところで、産業がどんどん縮小していくことは目に見えている。ここだけを目指して作ることやデザインを勉強しても閉塞感は将来的に拭えないです。
こういった今から通用しないビジネスモデルや斜陽化した産業に対峙するには、アウトサイダーな考え方を持った人が業界的にも必要だと思いますね。
READY TO FASHIONの求人記事で、未経験でも募集をしているのはアウトサイダーの方がバイアスかからずに、物事を柔軟に判断できると思っているからです。パリコレや東コレのファッション市場って世界全体の流通量の1%しか市場がありません。今の専門学校でやっているファッション教育はそんな狭義でしかないことに夢見るビジネスでしかなくスケール感が欠如しています。かたやアプリやECなどテクノロジー用いて、新しいファッションの作り方や流通の仕方など新たに伸びている方法論は、ファッション分野以外の理系の学生の方が詳しかったりしますので。
登録学生のクオリティが一番高い媒体
──弊社のサービスのお話が出ましたが、READY TO FASHIONを使用した感想や、他の求人サービスとの違いはありますか。
橋本:サービス利用してまだ間もないですが、今のところ良かった点しかないですね(笑)
具体的に言うと2点ありました。まず1点目は、たくさんの人から応募がきた点です。正直、サクッと募集作成ができたので、反応が少しでもあったらいいなという気持ちで、ハードル・期待値がものすごく低いところから利用しました。
もう1点は、導入障壁が小さいことです。通常のリクルート情報を載せる場合、掲載まで時間がかかるんですが、登録から求人募集も30分くらいでアップロードできました。募集かけたその日のうちに学生から応募がありレスポンスの早さにビックリしました。
──ありがとうございます。感動しております(笑)
橋本:(笑) あともう1つ、サービスとしていい意味でまだ色がついてないという点で面白いと思いました。過去に出した大学限定の求人も、他のリクルートサービスも、持ち味や色がついていて、セグメントがしっかりしています。結構な年数サービスを続けるとパターンができています。フォーマットや募集の定型文が決まっています。例えば『明るくて楽しい職場です!』みたいな職場環境で笑顔のスタッフ写真を載せると効果ありとか(笑)そうすると、そこから逸脱した効果は出にくいし、型にはめることしか費用対効果が期待しにくくなる。 応募する側からすると、どの求人も同じように見えてしまい*コモディティ化は避けられません。
READY TO FASHIONはサービスが始まったばかりで募集かける側も、応募する側も、特定の色をまだ持ってないように感じます。そのため、応募者を面談させてもらった感触はイノベーティブで型にハマってない学生が多いと感じました。前職や求人広告の仕事で何百人と会ってきた中での経験上でお話しするとREADY TO FASHIONは登録学生のクオリティーが一番高い媒体ですね。
*コモディティ化:競合する商品同士の差別化特性(機能、品質、ブランド力など)が失われ、価格や買いやすさだけを理由に選択が行われること
やりたいことに自分らしく
──ありがとうございます。では、実際に採用に至った学生さんにもお聞きします。募集記事はどこから知りましたか?
学生:Twitterで「インターン」というワードを検索していたら、READY TO FASHIONのアカウントのツイートが引っかかり、 この募集を知りました。私は今国際基督教大学(ICU)の3年生で、来春から就活が始まるのですが、その前に経験と思って、インターンを探していました。
──偶然の出会いですね!今の学生はSNSでは結構仕事を探しますか?
学生: 学校の友達にはツイッターで探したと言ったら驚かれました。でも、普通の求人サイトよりも、SNSの方が個人レベルで魅力的な募集もありますし、自分の本当にやりたいものが見つかりやすいと思います。
──では、実際使ってみての感想はいかがですか。
学生:プロフィール編集のページは、入力しやすいフォーマットがありつつも、こういう風に書かないといけないという制約が無くて良かったです。ただ自分の経歴や特技を書くだけではなく、ポートフォリオ機能もあり、自分らしく書けました。普通の履歴書とは違いましたね。
──自分のリアルに近い感じですか?
学生:はい。堅苦しくなく、オリジナリティを出せたと思います。
──もともとファッション業界に進みたいと思っていたのですか。
学生:ファッションはもともと好きでしたが、働いてみたい業界は1つに特定していませんでした。周りからは、インターンをするなら『大手がいいよ』と言われていましたが、READY TO FASHIONでノーノーイエスの募集を見つけて、『服飾系の学校に行ってなくても良い』と書いてあったので、思い切って応募しました。
──そこで一歩踏み出せるもの凄いですよね。
学生:応募までのフローがシンプルな点もよかったです。すごくカジュアルでした。もっと硬く細かく自己PRとかESを書かなきゃいけないフォーマットだったら、正直応募してなかったかもしれません。
──ありがとうございました。
ノーノーイエスの求人
現在、ノーノーイエス株式会社では、コンセプトショップ大阪店でセールスコンシェルジュを募集している。レザーが好きという方やプロフェッショナルな販売がしたい方、ベンチャービジネスに興味がある方にはオススメだ。経営陣との距離が近く、自分が動けばチャンスがあるのも魅力だ。
ノーノーイエスでは、さまざまな職種で求人を公開しております。気になるお仕事があればぜひ応募してみてください!
ノーノーイエスの求人こちらREADY TO FASHIONでは、そのほかのファッション・アパレル業界の求人も掲載しています。
ファッション・アパレル業界に興味ある方は是非チェックしてください。
その他の求人はこちらNo,No,Yes!国内サイト:https://www.nonoyes.co.jp
No,No,Yes!海外サイト:http://www.nonoyes.com
Leather Tailor Tokyoとは?:http://leather-tailor.tokyo
No,No,Yes! Leather Tailor Tokyo
https://www.nonoyes.co.jp/access
Open : 15:15〜19:19(行こう行こう行く行く!)
定休日 : 月曜・火曜
A : 渋谷区千駄ヶ谷1-21-5 松村ビル1F
T : 03-3408-2706
No,No,Yes! Himeji Salon
https://www.nonoyes.co.jp/himeji-salon
Open : 15:15〜19:19(行こう行こう行く行く!)
定休日 : 月曜・火曜
A : 姫路市本町68 大手前第一ビル3F-5
T : 079-240-5760
銀座ノ所作
Open : 11:00〜21:00
定休日 : 不定休
A : 東京都中央区銀座5-2-1 東急プラザ銀座7F
T : 03-3572-2320
No,No,Yes! Leather Tailor 西武池袋本店
Open : 10:00〜21:00
A : 東京都豊島区南池袋1-28-1 西武池袋本店 5F ビスポークサロン
T : 03-5949-2421
No,No,Yes! Leather Tailor 西武渋谷店
Open : 10:00〜21:00
A : 東京都渋谷区宇田川町21−1 西武渋谷店B館5Fオーダーサロン
T : 03-3462-0111
祇園ノ所作
Open : 11:30〜夕暮れ
定休日 : 水曜日
A : 京都府京都市東山区祇園花見小路四条下 菊梅1F
T : 075-531-0330
金澤ノ所作
Open : 13:00〜21:00
定休日 : 水曜日
A : 石川県金沢市 鱗町103-1 HAZE1F
T : 076-282-9435