某セレクトショップで豊富な経験を積んだ後、株式会社シンフォキャンバスを設立した宮本翔氏。

2015年7月に、ナチュラル・北欧チックなテイストが特徴のセレクトショップ「L&HARMONY(エルアンドハーモニー)」をZOZOTOWN(ゾゾタウン)に出店して以来、ECでのセレクトショップ事業を展開してきた。

そんな宮本氏が2018年6月30日、「L&HARMONY」初となる実店舗を清澄白河にOPEN。実店舗開店にあたり、ショップ店員の募集のために、弊社READY TO FASHIONのサービスを使用していただいた。

採用に際し、弊社サービスを実際に使ってみた感想を、採用側の宮本さんと、ショップ店員として採用された桂さん双方にお聞きした。

ゼロから何かつくることが好きだった

──どのような流れで独立し、株式会社シンフォキャンバスを設立されたのでしょうか?

宮本:独立までの流れはごく自然なものでした。以前、セレクトショップに勤務していたのですが、会社に骨を埋めようと思っていた矢先に体調を壊し、止むを得ず退社しました。退職後はやりたいことも、行きたい転職先もありませんでした。それでも生活するために転職したのですが、仕事にプライド・やりがいを持つことができず、結局2年弱で辞めました。その後も働きたいと思えるような転職先がない状況に変化はなく、それならいっそのこと自分でゼロからやるしかないと思い、独立を決めました。

もともと強い独立欲がさほど強くないのですが、独立するからには自分で生計を立てなければならないので試行錯誤していた頃に出会ったのが『ZOZOTOWN(ゾゾタウン)』。当時はZOZOTOWNに出店しているショップ数はそこまで多くなかったのですが、確実にこの先拡大する分野だから、出店して上手く行けば生計を立てることができると思い、出店を決めました。

このように、前職の頃からゼロから何か作ることが得意・好きだったこともあり、前職から今まで、やっていること自体には一貫性があると思います。ただ、昔より自分のペースで物事を運ぶようにはなりました。

やりたいことがあれば手を上げてほしい

──働き方において、こういう働き方が好き、またこういう風に働いてほしい、というものはありますか?

宮本:根性論が好きです。僕の場合だと、転職する時に熱が入らず、結果仕事を楽しむことができなかった。気持ちが入ってプライドが持てる状態で仕事をすると、責任感、自信が生まれ、結果的に満足できるようになります。
例えば、定時だから帰ろう、今はプライベートな時間だから仕事のことは考えない、という考えではなく、24時間ずっと仕事について考えていたいし、今やっている業務に対して「この分野は自分にしかできない」「自分が今いなくなったらどうするんだ」という感覚が仕事をする上で必要だと思います。
ファッション業界で働いていく場合も、好きなもの・得意なものがファッションである必要はなく、先ほど述べたような感覚や意気込み、プライドがあれば大丈夫だと思います。

──ファッション業界は衰退傾向で、市場規模も小さくなってきています。この業界はファッション好きじゃないと務まらないのではないか?という考えもありますが、ファッションが好きである、ということは採用する上で重要視しますか?

宮本:そこはあまり重要視しないですし、洋服好きという理由だけでは足りないと思ってしまいます。それより自分の夢を実現したいなど、モチベーションが高い人の方が採用したいですね。

──今、夢や野心を持っている若者が少ないと言われています。そのような若者たちを刺激することができる環境はありますか?

宮本:採用した人には何でも任せたいと思っています。やりたいことがあれば手を上げてほしいですし、こちらからお願いしたいとも考えています。現時点では、自分が抱えている業務が多すぎるため、個人的な負担も大きい。結果、会社として負荷がかかっている部分があるので、僕だけではなく、スタッフそれぞれが「これは自分にしかできない」と胸を張ることができるような得意分野を持つことができる環境を作り、会社全体に安定感が出るようにしていきたいと思っています。

スタッフには「絶対こういう商品やった方がいいですよ」「何でこんなのやってるんですか」など、どんどん発言して欲しいです。待遇について交渉してくるのも結構なのですが、それだけだと正直寂しいです。「こうした方が会社にとっていいのでは?」という攻めの姿勢を見せてほしいですし、その提案を実践した上での結果次第で待遇も変わります。それに何か大きなことを達成した時にみんなで乾杯できる雰囲気が好きなんです。そういうことができるチーム作りを進めていきたいと思っています。

「いけるかもしれない」という感覚

──6月30日に店舗オープンされましたが、お店の施工など自分でやられたんですか?

宮本:いえ、人数も少なかったですし、施工はほとんどはプロに任せました。素材や空間などのデザインは全て自分で決めました。

──店舗に来てくださる方にどういう楽しみ方をしてほしいですか?

宮本:当店ではスタッフ全員がお客様に話しかけるようにしています。地域密着型店舗なので、まずはスタッフと仲良くなって欲しいです。購入していただくことがゴールですが、そこまでの過程でスタッフと話すことも楽しんでいただけたら嬉しいです。

──御社はEC事業が売り上げの7割を占めていらっしゃいますが、その状況下での実店舗展開はコスト面から見ても大きな決断です。なぜ実店舗を出店されたのでしょうか?

宮本:自分の中で、EC事業の延長線上に実店舗の存在が無意識にあったと思います。実店舗をいつ作るかは考えていなかったのですが、以前知り合いに、「世界観を表現したいのであれば、実店舗でもやってみたら?」と提案してもらったことをきっかけに、カフェの併設スペースで、9日間という期間限定のポップアップショップをやってみたところ、商品が予想以上に売れたんです。

自分で作った商品が売れていくことは不思議な気分でしたが、弊社を知らない方が喜んで購入してくださり、とても嬉しかったのを覚えています。リピートで購入してくださる方までいらっしゃり、たった9日間で顧客様までをも獲得することができました。この経験を機に、「いけるかもしれない」という感覚が生まれ、買い上げ率や客単価も何となく見えてきました。そこで「もしかしたら偶然かもしれない」と思い、もう一度やってみたところ、1回目の売り上げを超えることができました。それで集客さえ確保できればいけるなと思い、最低いくら売り上げることができれば実店舗が回るかも明確に見えて来て、実店舗立ち上げが現実的になっていきました。

先ほどの来てくださったお客様にスタッフとコミュニケーションを取ってもらい仲良くなっていただく、というところにも通ずるのですが、webだけだと世界観の全てを出すことは難しく、信用も獲得しづらいため、事業拡大の可能性が小さくなってしまいます。ZOZOTOWN内での拡大はできますが、それだけではつまらないし、ライブ感もありません。僕は現場・リアル感が好きなので、それらを出すためにも店舗を構えました。

清澄白河出店は自信のなさ故?

──オープン時のコラボ商品企画などという点にもライブ感が出ていましたね。

宮本:そうですね。次も展示スペースで「バナナ ヤマモト」さんというアーティストの方と、スニーカーのイラスト展示と当店限定のスニーカーイラスト展示を行います。この立地だからこそ、どう集客をするかが大事で、自分たちが楽しめないとダメです。特にルールもないので、そういう動きを一緒に考えてくれる人と働きたいですね。

──人通りが多い地域より、清澄白河のような閑静な立地を選んだ理由を教えてください。

宮本:自分の自信のなさ故かもしれません。というのも、人通りが多いところだと弊社が選ばれないのではないか、多勢の中に入っても見向きもされないかもしれない、と思ったんです。一方で清澄白河は、パイは少ないけれど、小さいパイは総取りできるんじゃないかと思いました。家賃が安いため、経費を抑えることもできます。

僕は上場企業を目指したり、お金儲けをしようとしているわけでもなく、自分が好きなことをやっていたい。お金に関しては店を維持したり、スタッフを守るための最低限度は必要ですが、売り上げに走り過ぎると商品もつまらなくなるし、ブランドさんも当店に卸したくなくなると思います。これらを踏まえ、僕は自分の世界観を存分に表現できる場所の方がいいと思い、この立地にしました。

「自ら何か創ろう」という思考を持っている人と一緒に働きたい

──これまでの採用活動において課題に思っていたことはありますか?

宮本:弊社の規模はまだ小さく、認知度が低いため、新しい人材と出会うことが難しかったです。

またショップ店員の採用をしたかったのですが、最近はショップ店員の人気・給料が落ちてきています。しかし、僕としては現場を一番大事にしようと思っており、今働いてくれている社員は、現場でお客様にスタイルの提案をしたいと言ってくれ、そこが僕の気持ちとマッチングして採用に至りました。

先ほど言った通り、ファッション好きだということより、「根性がある人」「目標がある人」の方がいい。弊社は規模が小さいため、イレギュラーな事態もたくさん起こり、それに対して柔軟に対応する必要があるので、ただのバイト感覚では務まりません。また弊社の魅力は自分で商品を創ることができるという点なので、そこに共感し、「自ら何か創ろう」という思考を持っている人と一緒に働きたいです。

──READY TO FASHIONを通じて採用された若者はいかがでしたか?

宮本:御社に関しては、若者がたくさんいる点が魅力で、応募してくれた人の意識・経験・能力が高いイメージを受けました。

──READY TO FASHION のサービスを利用した感想はどうでしょうか?

宮本:基本的には満足しています。一方サービスに対してではなく、サービスを利用する上での個人的な反省点として、僕自身採用経験が初めてなので、採用する度に「もっとこういうふうに面接すればよかった」などということが多々ありました。

今は採用する側の方が大変な時代で、働く側に選ぶ権利がある時代です。とはいえ、採用における主導権をこちら側が持っていることは変わらないので、採用を進める上では、いい意味で上から目線でいたいです。しっかり選ぶ、という感覚を持っている必要があり、こちらが媚びて採用すると後々合わなくなりますし、この姿勢は強気で守っていかなければいけないと思っています。

──最後に、御社をこれから知る若者に一言お願いします。

宮本:この店舗ではスタッフがやりたいこと・挑戦したいことができる環境を整えていきます。例えば、並べる商品や取り扱いブランドも決めてもらいたいですし、オリジナル商品を創っていただくことや、展示などの企画を組むことも可能です。もし店長になりたいのなら、覚悟を持ってやってくれるのであれば、十分に任せる可能性はあります。それだけ挑戦できる環境ではありますが、やりたいと言えばすぐ任せるわけではありません。

最初からそれくらいのやる気を持つことや、夢を叶えたい、という想いを学ぶ姿勢や行動で示す必要があります。命・生活をかける、というくらいの意気込みでそれぞれのポジションをやってくれると嬉しいですし、言動と行動が伴っていれば、何でも挑戦してほしいです。

発信源として集客できるようになりたい

ショップ店員桂さんにもインタビューを実施しました。

──どのような理由で「L&HARMONY」に入社しましたか?

桂:新しく店舗を作るということで、大手ブランドに就職するより、幅広く様々なことに挑戦できると思いました。またREADY TO FASHIONのサイトに書かれてある通り、店舗の雰囲気がナチュラルで親しみやすかったです。清澄白河は学校からのアクセスが良く、魅力的な立地だったことも応募を決めた理由の一つです。

──READY TO FASHIONのことはどう知りましたか?

桂:学校の先生を通して知りました。

──サイトを実際に使ってみた印象はどうでしたか?

ファッションに特化していることはもちろん、メジャーではないブランドや店舗の募集もありますし、ファッションに特化したイベントも開催されていて、アパレル以外考えていなかった自分にとっては仕事を探す上でベストなサービスでした。

──勤務を始めて2ヶ月弱、今後はどうなりたいですか?

桂:「L&HARMONY」の認知度はまだ低いため、地元の方と親交を深めることでリピーターになっていただくことを考えています。また自分自身がSNS世代なので、発信源となって集客できるようにもなりたいと考えています。

【L&HARMONY清澄白河本店】
住所:東京都江東区平野2-6-1
営業時間:11:00〜19:00(不定休)
L&HARMONY / エルアンドハーモニー 公式通販サイトURL:http://landharmony.com/


READY TO FASHION MAG 編集部

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