※10月16日繊研新聞掲載 人が育つ企業特集より

納得できる商品を揃えて

総合衣料品チェーン専門店の田原屋(神奈川県川崎市)。コロナ下でも売り上げを伸ばし、今期末(25年2月期)には総店舗数が184店となる予定で、200店体制への早期実現を目指している。その中で、本部と店のつなぎ役、客のニーズや先を行く提案で奮闘しているのが、婦人ボトム/スポーツ商品部兼「SPEEV」担当部長の石山剛さん。プレイングマネージャーとして、現場や取り引き先とのコミュニケーションを深めながら、「チャレンジできる環境がある」と、やりがいを感じている。

「現場主義」を重視する甲斐社長と石山部長(右)

活躍できる環境で

同社は「パシオス」業態を関東や甲信越を中心に、東海、関西エリアに展開するほか、ECサイト「パシオスネット」を立ち上げて、店舗がないエリアや既存店客の利便性の向上に取り組んでいる。店舗運営や販売スタッフ、バイヤー、企画、EC関連など、多くの役割の人材が事業拡大を担っている。甲斐直裕社長は「何もしない人には失敗もないが成功もない。失敗を恐れずにチャレンジする」ことを大事にしており、チャレンジ精神が旺盛な人が活躍できる環境があるという。

さらに、若い時期から活躍してもらうため、研修制度や責任あるポジションを任せるようにしている。「新しいことへの積極性が見られ、売り上げが伸びている一つの要因になっている」という。

石山さんもその一人。06年に新卒で入社し、2年間の店頭スタッフを経て、08年から本部に異動。もともとファッションが好きで、メンズのバイヤーになりたいと思っていた。

配属はレディスだったが、「店頭での経験などを積む中で、華やかなレディスの楽しさを感じた」と、ヤングも含めたボトムや大きいサイズなどを歴任している。

30歳で管理職のリーダーに就き、今年8月には部長に就任、レディスのトップスなどを担当。甲斐社長によると、社内的には早い部長昇格と期待も高い。石山さんは「諸先輩のスキルが高く、とがっている部分も多い」と謙遜する一方で、部長としてのあるべき姿を突き詰めていきたいという。

数値分析を強みに

売り上げや商品の動きなどの数値分析を強みの一つとし、「売れている要因は」「動きが悪いのはなぜ」などの属性や数値分析を行い、売れ筋を拡大し売り上げを作っている。

売れ筋だけでは、客に新しさや楽しさが伝わらない。そこで、田原屋ならではの企画を打ち出し、コーディネート提案を強めている。月1回の店長会では企画の思いや意図、売り場の作り方などを共有し、本部と店頭の意思疎通を徹底。また、各店からの要望や課題も吸い上げ、互いのコミュニケーションを深めている。

楽しさや新鮮さを伝えるコーディネート

今年は、ケミカルのカーゴパンツなど新企画を揃え、デニム・カジュアルパンツの上半期売り上げは、前年同期比15%増となった。チラシや広告と連動して認知度を上げる施策も好調の要因となっている。これまで企画していない、実績がない商品は不安があるが、「新しいことにチャレンジすることが新規客にもつながる。トライ&エラーで検証していく」と、積極的に取り組んでいる。甲斐社長は、「これからはより商品力が重要になってくる」と強調する。より商品感度を高めてファッションの楽しさを届け、既存客とともに新規客を獲得していく。

「自分が企画・仕入れた商品を街中で見ると、認められたようでやりがいを感じる」と石山さん。今後も「これ、いいじゃん」と、自分が納得する商品や売り場を今以上に作っていきたいという。 

繊研新聞

繊研新聞社のニュースサイト。トレンド情報からアパレル・小売り・素材メーカーの動向までファッション業界の情報を網羅。ニュースに加え、展示会や人材教育、ネットワーク、セミナー情報などファッションビジネスに役立つコンテンツを掲載している。

THEME