京都国立近代美術館と京都服飾文化研究財団(KCI)が、 8月9日 (金) から 10月14日(月・祝)まで、「ドレス・コード?着る人ーーたちのゲーム」展を京都国立近代美術館にて開催する。
服を着るという行為は、私たちが社会生活を送るうえで欠かせない文化的な営みのひとつである。また、ファッションは「着る」だけでなく「視る/視られる」ものである。時代や地域、社会階層の文化や慣習と結びついた暗黙の〈ドレス・コード〉ともいえるさまざまな形の規範やルールが存在し、そこから駆け引きあるいはゲームにも似た自己と他者とのコミュニケーションが生まれている。インターネットと SNS の普及によって、誰もが自らの装いを自由に発信できるようになった現在、私たちとファッションのかかわり方もまた新しい局面を迎えている。
本展では、18 世紀の男女の宮廷服や 20 世紀初頭の紳士服など、歴史的な衣装類から現代の衣服まで、京都服飾文化研究財団(KCI)が収蔵する衣装コレクションから精選した約 90 点を中心に、ファッションやアートのほか映画、マンガやアニメなどに描かれたファッションも視野に入れながら、現代における新たな 〈ドレス・コード〉、私たちの装いの実践(ゲーム)を見つめ直す。
<目次>
本展の見どころ
ファッションを通じて人や社会の関係性を問いかける展覧会
ファッションは、単に流行の服やスタイルを意味するだけではない。ある時代や地域、社会階層の文化や慣習と結びついた服装全般を含めることができる。そこには、暗黙の〈ドレス・コード〉ともいえるさまざまな規範やルールが存在し、しばしば人々の行動や思考にも影響を与えるのである。本展では、そうした服装のコードをめぐって繰り広げられる私たちの装いの実践、着る人とそれを視る人との関係のあり方、さらには衣服を通じた私たちと社会とのつながりについて問い直す。
現代ファッションのさまざまな実例を紹介
学校や職場で制服やスーツを着る、これはわかりやすい服装のコードである。一方で、〈ドレス・コード〉は時に破られたり、置き換えられたり、別のコードが生まれることもある。トレンチコートやデニムはかつて軍服や労働着であったが、今ではその用途=コードは失われ、おしゃれのアイテムの一つとなっている。自己表現からあえてコードを逸脱した個性的なファッションに身を包む人もいる。男性のスーツや制服から、シャネル・スーツなどの普遍性を備えたスタイルやアイテム、グッチやルイ・ヴィトン、コム デ ギャルソン、ヴェトモンといった人気ブランドが手掛ける最新のスタイルまで、現代ファッションに見られるさまざまな装いの実例を紹介する。
着ることの(不)自由さを伝える現代美術作品を多数展示
我々は、衣服を通じて自分の嗜好や属性を表明することもあれば、コスプレのように別の人格を演じることもできる。着ることは〈何者か〉になる行為といえるだろう。たとえば森村泰昌が扮する著名人においては衣服は重要な役割を担っている。ハンス・エイケルブームによる大量のストリート著名人において衣服は重要な役割を担っています。ハンス・エイケルブームによる大量のストリート・スナップはファッションにおける他者へ/からの眼差しを、石内都が撮る古着の写真は着用者の人格や記憶を、それぞれ浮き彫りにしている。他にも、現代美術作家による多彩な表現の実践を取り上げ、着ることの意味を深く掘り下げていく。
キャラクターと服装のかかわりを演劇や映画、マンガを通して考察
服はファッションのみならず、さまざまな分野と広くかかわりあいを持っている。文学や演劇、映画、マンガなどでは、服がきゃえアクターの性格や行動、感情を表す要素となるなど、物語を進める重要な役割を演じる。そのことは決してフィクションの世界にとどまらす、バーチャルが日常化した現代においても、リアリティを強く感じさせる。映画ポスターの展示のほか、歴史マンガ『イノサン』『イノサン Rouge』とのコラボレーションや、演劇カンパニーのマームとジプシー、チェルフィッチュによるインスタレーションなどを通して、服とキャラクターについて考える。
「ドレス・コード?」のキーワード13
本展は、〈ドレス・コード〉になぞらえたテーマに基づいて構成される。それぞれのテーマを出展品やその解説を手がかりに読み解きながら、ファッション、あるいは「装い」の普遍性や現代的な意味について来場者自身に新たな気づきをもたらすような展示を目指す。
1. 裸で外を歩いてはいけない
ミケランジェロ・ピストレット《ぼろぎれのヴィーナス》1967 年 豊田市美術館所蔵
2.高貴なふるまいをしなければならない
『イノサン』『イノサン Rouge』(坂本眞一)×男女の宮廷服 1770‐80 年代 KCI所蔵
3.組織のルールは守らなければならない
Rogers Peet Company 男性用スーツ 1900 年代 KCI所蔵
WATSON, FAGERSTROM & HUGHES 男性用スーツ(バニー・ロジャース旧蔵品)
1974 年 KCI所蔵 株式会社ジョイックスコーポレーション寄贈
映画ポスター「セーラー服と機関銃」1981 年 国立映画アーカイブ所蔵 ほか
4.働かざる者、着るべからず
Levi’s ジーンズ 1971 年頃 KCI所蔵
青山悟《The Lonely Labour》2018‐19 年 作家蔵 ほか
5.見極める眼を持たねばならない
MOSCHINO(ジェレミー・スコット)ドレス 2017 年春夏 KCI所蔵 MOSCHINO S.p.A. 寄贈
KOCHÉ(クリステル・コーシェ)ドレス 2018 年春夏 KCI所蔵
FENDI(カール・ラガーフェルド)2018 年 KCI所蔵 ほか
6.生き残りをかけて闘わなければならない
Jean Paul GAULTIER(ジャン=ポール・ゴルチェ)迷彩柄の浴衣 2000 年 KCI所蔵
beautiful people(熊切秀則)トレンチコート 2017 年秋冬 KCI所蔵 ほか
7.服は人格をもまとわねばならない
CHANEL(ガブリエル・シャネル)スーツ 1928 年頃 KCI所蔵
Vetements(デムナ・ヴァザリア)「MISS No.5」スーツ 2017 年秋冬 KCI所蔵
石内都《Frida by Ishiuchi》2012/2016 年 資生堂所蔵
森村泰昌《セルフポートレイト 駒場のマリリン》1995/2008 年 豊田市美術館蔵 ほか
8.他人の眼を気にしなければならない
ハンス・エイケルブーム《Photo Notes》1992-2019 年
9.教養は身につけなければならない
YVES SAINT LAURENT(イヴ・サンローラン)ドレス「モンドリアン」1965 年秋冬 KCI所蔵
10.大人の言うことを聞いてはいけない
元田敬三《ツッパルな》2015 年 作家蔵
CHRISTIANDADA(森川マサノリ) 皮革のジャケット 2016 年春夏 KCI 所蔵 ほか
11.ファッションは更新し続けなければならない
LOUIS VUITTON(二コラ・ジェスキエール) アンサンブル 2018 年春夏 KCI所蔵
GUCCI(アレッサンドロ・ミケーレ) アンサンブル 2018 年秋冬 KCI所蔵 ほか
12.与えよ、さらば与えられん
チェルフィッチュ《The Fiction Over the Curtains》2017-18/2019 年 precog 所蔵
13. ???(新作準備中、乞羽後期待)
マームとジプシー×KCI コレクション
出展ブース
※熊本市現代美術館での開催に際しては、展示内容の一部を変更する可能性がある。
ファッション(予定・アルファベット順)
ALAÏA(アズディン・アライア)
ASEEDONCLÖUD(玉井健太郎)
beautiful people(熊切秀典)
Burberry(クリストファー・ベイリー)
CHANEL(ガブリエル・シャネル、カール・ラガーフェルド)
CHRISTIAN DADA(森川マサノリ)
COMME des GARÇONS(川久保玲)DIOR(ジョン・ガリアーノ、マリア・グラツィア・キウリ)
DIOR HOMME(エディ・スリマン)
FENDI(カール・ラガーフェルド)
GIORGIO ARMANI(ジョルジオ・アルマーニ)
GUCCI(アレッサンドロ・ミケーレ)
HELMUT LANG(ヘルムート・ラング)
ISSEY MIYAKE MEN(高橋悠介)
JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS(渡辺淳弥)
KOCHÉ(クリステル・コーシェ)
LOUIS VUITTON(ニコラ・ジェスキエール)
ジェフ・クーンズ×LOUIS VUITTON、MOSCHINO(ジェレミー・スコット)
Paul Smith(ポール・スミス)
Thom Browne(トム・ブラウン)
UNIQL and J.W. ANDERSON(ジョナサン・アンダーソン)
Valentino(ピエールパオロ・ピッチョーリ)
Vetements(デムナ・ヴァザリア)
VIKTOR & ROLF(ヴィクター・ホルスティング、ロルフ・スノーレン)
Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)
Yohji Yamamoto(山本耀司)
YVES SAINT LAURENT(イヴ・サンローラン) ほか
ファッション以外(予定・50 音順)
青山悟
石内都
アンディ・ウォーホル
ハンス・エイケルブーム
坂本眞一
チェルフィッチュ
都築響一
マームとジプシー
ミケランジェロ・ピストレット
元田敬三
森村泰昌
ローズマリー・トロッケル ほか
開催概要
展覧会名:ドレス・コード?ーー着る人たちのゲーム
会場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
会期:2019 年 8 月 9 日 (金)-10 月 14 日 (月・祝)
開館時間:午前 9 時半~午後 5 時
※毎週金曜日、土曜日は午後 9 時まで開館(入館は午後 8 時 30 分まで)
休館日:毎週月曜日
※ただし 8 月 12 日、9 月 16 日、9 月 23 日、10 月 14 日(すべて月・祝)は開館、翌火曜日開館
主催:京都国立美術館・国益財団法人 京都服飾文化研究財団
後援:京都府、京都市、京都商工会議所、一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会、一般社団法人日本ボディファッション協会
特別協力:株式会社ワコール
協力:KLM オランダ航空、株式会社七彩、日本航空、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社
協賛:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
入場料:一般 1,300 円、大学生 900 円、高校生 500 円、中学生以下無料(当日料金)
※心身に障がいのある方と付添者 1 名は無料(入館の際に証明できるものを持参)
※本料金でコレクション展(4 階展示室)も見ることができる。
チケットプレゼントキャンペーン
本展示会チケットのプレゼントキャンペーンを実施!
抽選対象者:本記事を読んでいただいた方、かつREADY TO FASHION登録者/新規登録者 10名様
抽選方法:上記の抽選対象者で応募いただいた方からランダムに抽選
※募集締め切り日は設けていないが、状況に応じて終了します。 現在募集は終了しています。
※応募はお一人様一回のみ
↓本展示会の参加応募はこちらから↓
http://www.readytofashion.jp/articles/events/866037782
特設サイト:https://www.kci.or.jp/special/exhibitions2019/
巡回展:熊本市現代美術館 2019 年 12 月 8 日(日)~ 2020 年 2 月 23 日(日)
text: READY TO FASHION MAG 編集部