2016年12月17日(土)、2002年設立の慶応義塾大学公認サークルKeio Fashion Creatorが主催するファッションショーが、月島の「旭倉庫」にて開催された。
ショーの詳細はこちら:
学生がファッションの場において活躍する環境を!慶應義塾大学/Keio Fashion Creatorが12月17日にファッションショーを開催
本ファッションショーの様子と、特徴的な表現をした3人のデザイナーをピックアップして紹介する。
【置いてあるのは「ただの布」?】
ショーの会場に入ると無機質な空間の中に、斜めに置かれた布が二つ。
置かれた布はどのような意味をもたらし、ショーにどんな影響を与えるのだろうと感じながら始まりを待った。
ショーが開演すると、まずモデルの一人が置いてあった布の前に立ち、それとほぼ同時くらいに舞台の後ろの方を足早に過ぎ去っていくモデルの姿が見えた。
布の前に立ったモデルは、黒ずくめの女性たちに置いてあった布を巻きつけられていく。するとみるみるうちに「ただ置いてある布」であったものが「服」へと変化した。
今回のテーマは「preconception(先入観)」。
一見、「ただ置いてある布」という先入観を、一瞬のうちに「服」に変え、その先入観を打ち破ってくれたような気がした。
ショーはその後も舞台の中心に立つモデルと舞台の後ろをただ足早に過ぎ去っていくモデルという演出であった。
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【個性豊かな3人のデザイナーにフォーカス】
今回のショーでは、多くのデザイナーがそれぞれ作品を発表していた。その中でも特に気になった3人のデザイナーに話を聞くことができた。それぞれの作品を以下に紹介していく。
まずは、デザイナー自らがペイントを施した3作品。一着ずつ、同じトーンを保ちつつもそれぞれにテーマを設け、そのテーマに合わせたスタイリングとなっている。
【GRAFFITI 落書き】
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【STRUCTURE 構造】
全体のテーマはコンクリート。そのため、アクリル絵具で服にペイントを施した。ラフな感じでペイントを飛ばしたりした「GRAFFITI(落書き)」と、べた塗りの「STRUCTURE(構造)」の2作品。
ペイントをすることによって、重厚感の違いや素材の違いを表現した。
【SYMBIOSIS 共生】
構築的な無機質なイメージのコンクリートと、生き生きとした植物を組み合わせた作品。
人間の欲による現代の消費社会や自然破壊をアンチテーゼのようなイメージで表現。
一番重視したのは見た目で、いかにテーマに合わせたものにできるか、ということも熟慮した。袖を切りっぱなしにしたのは完成されたものだけが良いわけではないと考えから、このようなデザインにした。
【色】
次は、今回のショーの中でひときわ目立っていた作品。「色」というテーマにふさわしい配色とデザインで、人の心情をわかりやすく表している。
テーマは色。
何気なく色を選ぶという行為にはその選ばれた色によって意味がある。
今回この配色にした理由は、橙色が「パーティで社交的になれる」「親しみやすい」というイメージ、青には「感情的に高ぶる気持ちを抑えたい」というイメージがあり、色からくる無意識の先入観の受け取りの違いを感じて欲しいという考えから。色合いと左右非対称というデザインによって対照的な差も感じさせてくれた。
【鬩ぎ合い】
最後は、服の根本のイメージを覆す作品。遠目から見れば、衣服を着ていると誰もが思うだろう。でも近づいてみるとそれは「服」なのだろうか…「服」の定義とは。
「布だから服なのか。布じゃないから服じゃないのか。服はなぜあるのか。」
そんな先入観を考えなおしてほしいということを打ち出した作品。
普通の布で服を作っても面白くないというところから、プチプチを布として使用するデザインを着想した。
パターンを写したりするのに、チャコペンなどが使えなかったり、ミシンで縫うときは、縫い代の部分はプチプチを潰して縫ったりと縫製の際のプチプチ素材ならではの工夫も明かしてくれた。
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ショーが終わった後には、モデルやデザイナーたちが会場に並び、訪れた人々とコミュニケーションをとる場が設けられた。「ショーを見せて終わる」だけでなく、その場で作り手の考えを伝えることも学生が作り出すショーとしてはとても良い時間だったように思う。
現在のファッション業界の衰退を、思考するだけで終わらせず、学生ならではの視点で社会に発信をしていくことが重要だと考える同団体。
彼らのように、若者が若者たちの手でファッション業界を盛り上げていくことがこれからの日本のファッション業界にとっては重要なのではないだろうか。
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text : Reiko.S
photo : Akari.K & Keio Fashion Creator