繊維メーカーは、綿や絹などの天然繊維、ポリエステルやアクリルなどの合成繊維などのファッション・アパレル商品に使われる繊維を開発・製造する業種です。扱う繊維素材に応じて、それぞれを専業として生産する企業も存在します。
近年ではアパレル向けに限らず高機能繊維を開発したり、ノウハウを活かして樹脂やフィルムなど(主に産業用繊維)の事業を展開するなど、その事業内容は多様化しています。ファッション・アパレル業界に限らず、自動車業界など幅広い領域で活躍しているケースも多いです。
この記事ではそんな繊維メーカーについて、代表的な企業や業務内容、働くやりがい、求められるスキルや素質、必要/有利な資格、キャリアプラン、求人情報まで細かく解説します。
アパレルメーカーの求人はこちら<目次>
繊維メーカーの代表的な企業
東レ株式会社
1926年 (大正15年) 1月に設立した繊維メーカーで、国内外に282社の関係会社がある大手企業です。事業内容も多岐に渡り、繊維業界内でも高いシェアを誇ります。
ダイワボウホールディングス株式会社
ホールディングスとして、ITインフラ流通事業・繊維事業・産業機械事業を中心に事業展開している繊維メーカーで、繊維事業では大和紡績株式会社をはじめ多くのグループ会社があります。
旭化成株式会社
旭化成株式会社ではマテリアル領域内、パフォーマンスプロダクツ事業で繊維素材に力を入れています。そのほかには住宅領域やヘルスケア領域と事業が幅広い繊維メーカーです。
小松マテーレ株式会社
1943年創業の石川県能美市を拠点とするテキスタイル・化学素材メーカー。主な事業は、創業以来展開してきた「衣料ファブリック」事業です。蓄積されたノウハウからファッション・アパレルアイテム用テキスタイルはもちろん、特殊機能素材を応用したスポーツ衣料用、ユニフォーム用テキスタイルなど各種テキスタイルの開発・製造・販売を行っています。
繊維メーカーの業務内容
繊維メーカーとひと口にいってもそこでの仕事内容は幅広くありますので、下で詳しく見ていきます。
研究・商品開発
繊維の性能や安全性をメインに品質向上を追求しています。日々、改善を繰り返している繊維メーカーでも重要なポジションになっています。
アジア諸国の勢いが増している中で、グローバルな競争力を持つため、商品開発に力を入れ、様々な事業を展開しています。
生産
研究や商品開発を通して繊維を作り出す流れができた後は、この生産ポジションで安定した高品質な繊維の生産を目指します。
生産ラインの設計や品質管理を主な業務としていますので、製品の品質を左右する重要なポジションとも言えます。
営業
大きくは新規顧客開拓と販売管理に分かれます。新規顧客開拓では、自社製品を売り込むことで売上をつくりますが、商品知識に加え、提案力・商談力が必要になります。
販売管理では、主に生産量や納期の調整、受注業務を請負います。納期までは中長期でかかることも少なくないので、スケジュールの管理などが業務として発生してきます。
他にも、プレス(PR・広報)と連動して展示会に出展・開催するなどして、新規顧客開拓します。
繊維メーカーのやりがい
繊維メーカーは、就職活動では人気を集めやすい業種ですが、ここでは働く上でのやりがいを見ていきます。
グローバルな仕事
世界規模で仕事をすることができる点が、志望者からの人気を集めているようです。
状況によっては海外出張や海外赴任になることもあるため、世界中でダイナミックに仕事をしたいという方にとってはやりがいを感じやすい仕事かもしれません。
最新技術に携われる
衣料品分野以外にも力を入れて開発に取り組んでいる企業が多い繊維メーカーですが、最先端の繊維開発には注力して取り組んでいます。
世間的にもそのような繊維や素材には需要があるので、必要とされているものを供給する側としてやりがいを感じることも多いそうです。
医療現場でも活躍
担当した繊維が服などの製品に使われている場面を街中で見かけることもしばしばあり、成果物として見られるのでやりがいを感じやすいでしょう。事業によっては、医療現場で活躍する繊維もあるので、命に触れる現場に間接的にも関われる貴重な仕事です。
繊維メーカーで働くために求められるスキル・素質
以下では繊維メーカーで働く上で、どのような適性があるか見ていきます。
ものづくりに関心がある
毎日着ている服はもちろん、住宅や自動車などにも関わっている日常に欠かせないものをつくる仕事です。何かを生み出すことに関心のある人であれば、適性があるともいえるでしょう。
語学力を生かしてグローバルに活躍したい人
近年、繊維メーカーも世界の企業との競争力を高めるためにもグローバルに事業展開をしています。
配属先などによっても変わりますが、嫌でも海外とのコミュニケーションや海外赴任・転勤がある環境なので、世界で活躍したいという方には向いている業種といえるでしょう。
語学力は最近重視している企業も増えてきています。ビジネスをするに当たってスムーズなコミュニケーションが取れるレベルが求められますが、ポテンシャルとして人柄や熱量でカバーできる部分も多少あります。
ただ、語学力を重要視している企業では入社後に研修期間を設けたり、TOEICなどのテスト点数を指標にしている企業もあるので、十分に気をつけておくべきかもしれません。
繊維メーカーで働くために必要/有利な資格
繊維メーカーに必要な資格は特別ありません。
ただ先述した通り、様々な事業展開もしているので、有利になる資格などを以下であげていきます。
TES繊維製品品質管理士
繊維業界で働く上では有利に進む可能性のある資格です。営業の方が取得するケースが多いですが、繊維の品質管理の業務に必要とされる基礎知識と応用能力を認定する資格となっています。
【応募サイト】
TES繊維製品品質管理士
繊維メーカーで働くためのキャリアプラン
繊維メーカーに採用されるには、必須の条件はありません。
技術系職種の場合、理工系学部・学科で化学、電気・電子・制御、機械などを学んだ人が募集対象となる企業もあります。
中途採用だけではなく新卒採用もあるため、未経験で入社することも可能です。
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【参考文献】
「ファッション辞典(第4版)」(大沼淳、萩村昭典、深井晃子 監修、文化出版局、1999)
「増補新版 図解服飾用語辞典」(杉野芳子 編著、ブティック社、2003)
「1秒でわかる!アパレル業界ハンドブック」(佐山周、大枝一郎、東洋経済新報社、2011)
「ファッション業界大研究[第2版]」(ファッション&ソフトマーケティング研究会 編著、産学社、2019)
「ファッション業界大研究【改訂版】」(オフィスウーノ 編、産学社、2008)
「アパレル素材企画 プロフェッショナルガイド」(野末和志、繊研新聞社、2019)
「役に立つアパレル業界の教科書」(久保茂樹、文芸社、2016)