アパレル バイヤーとは、国内外の様々なブランドやメーカーから、店舗で販売する商品の仕入れ・買い付け(バイイング)や商品管理を行う職種です。マーケットの動向や消費者のニーズを嗅ぎ分けて売れそうな商品を世界中から集めてきます。
企業によりバイヤーの細かい業務内容は異なりますが、一般的にはマーチャンダイザー (MD)と販売戦略や予算計画の立案を行って展示会などを回ります。そこで商談を行い商品を買い付けます。
バイヤーは決められた予算内で、売れる商品を適切な数だけ買い付けることが必要となり、企業の売上や利益に直結する重要なポジションとなります。
この記事では、バイヤーの概要から業務内容、求められるスキルや素質、必要/有利な資格、キャリアプラン、求人情報までを紹介します。
バイヤーの求人はこちらバイヤーの仕事内容
バイヤーの実際の業務内容を紹介します。企業によって内部構造が異なるので、一般的な業務の一部を挙げていきます。
仕入れ・買い付け(バイイング)
バイヤーの主な仕事は、仕入れ・買い付け(バイイング)です。企業・ブランドのコンセプトや方針にあわせて、マーチャンダイザー (MD)と共に仕入れ計画や予算計画などの戦略を立案。その計画をもとに、シーズンごとに企業・ブランドが行う展示会にバイヤー自身が足を運び、自店に合う商品を探し出して商品を買い付けます。
企業・ブランドによってはレディース/メンズ、アイテムカテゴリごとに仕入れ・買い付け(バイイング)の担当が分かれている場合もあります。また、企業・ブランドと共に商品企画の段階から協働することも少なくありません。
おおよその商品は仕入れから半年後に店頭に並びます。半年前から予測しなくてはならず、トレンドやマーケットの動向を把握し、売れる商品を買い付けることが重要となります。そのためには、販売の現場で働くアパレル店長などとの意見交換を密に行い、購買傾向予測の精度を高めていかなくてはなりません。
商談
商品の買い付けの際には、買い付け価格や支払時期、返品の仕様などに関する商談が必要となります。バイヤーは決められた予算内で、必要な品目を適量・適価で仕入れなければなりません。そのためには取引先に交渉することも発生するでしょう。また、既存の取引先だけでなく、新しいブランドを見つけ、バイヤーが新規の取引先と商談をすることもあります。
在庫管理
商品を買い付けて終わりではなく、在庫の売れ行き、消化率を見る事が必要になります。
売れる商品を在庫の過不足がないように仕入れるのがバイヤーの仕事。仕入れた商品が余っても、足りなくても会社の利益に大きく関係してくるため、買い付け後の管理をすることが必要になります。バイヤーがそこで得たフィードバックが次のシーズンの買い付けの判断材料になります。
マーケット調査
バイヤーが的確な買い付けを行うために、マーケットを知り、情報収集を行うことが必要です。メディアを見ることはもちろんですが、トレンド情報をいち早く知るために、ファッションショーやコレクションなどに参加することもあります。
ちなみに、下記の記事ではバイヤーの仕事に関するYouTube動画をまとめています。文字では伝わりづらい業務内容だからこそ、動画だとよりイメージが持てるはずです。気になる方は、ぜひご覧ください!
>>「バイヤー」の舞台裏を覗く!ファッション業界のYouTube動画まとめ
バイヤーに求められるスキル・素質
バイヤーへの就職・転職する上で、求められるスキル・素質を紹介していきます。
トレンドを先読みするセンス
バイヤーにとって、最も必要不可欠なスキルはファッションに関するセンスです。トレンドの知識を持つことを前提に、そのトレンドがどのぐらいヒットするかを見極めたり、先読みすることが最も重要と言えるでしょう。もちろん売れる商品を買い付けるためには、センスの良さだけではなく、マーケットや消費者の動向を知ることも大切です。
情報収集・分析能力
マーケット、消費者の動向を知るためには情報収集が必要不可欠です。実際の店舗へ足を運んだり、雑誌など幅広いチャネルから情報を集めなければなりません。近年ではSNSからトレンドが生まれることが主流のため、SNSにもアンテナを張ることが必要です。
チャネルが増えたことで、収集しなくてはならない情報量もとても多くなっています。そのためファッションが好きで、情報を集めた上で傾向分析できる人がバイヤーに向いているでしょう。
コミュニケーション能力
バイヤーはたくさんの展示会に参加します。既存の取引先だけでなく、新規の取引先の展示会に参加することもあります。そのため、初めて会う人とも円滑なコミュニケーションが取れることが必要になります。
バイヤーになるためには、アパレル店員の経験が求められるので、コミュニケーション能力を高めるためにもアパレル店員を経験しておくことが良いかもしれません。
語学力
展示会は国内だけではなく、世界中で開かれます。企業によっては商品の買い付けも世界中を回ることになります。バイヤーが取引先と円滑にコミュニケーションを取るためにも、語学力があることは大切になります。
体力とタフさ
華やかな面が多いですが、バイヤーは情報収集・分析から、買い付け、交渉などで各地へ飛び回ることもあるため、体力が必要です。長時間のハードワークをこなす体力と、商談を重ねる面などから、精神的なタフさも求められます。
バイヤーの求人はこちらバイヤーのやりがい
バイヤーとして働く上でのやりがいを紹介します。
トレンドづくりへの貢献
バイヤーの最も大きなやりがいは、トレンドづくりへの貢献です。バイヤーが仕入れた商品が市場で人気を博し、ファッション・アパレル業界全体のトレンドに昇華することも少なくありません。業界全体の潮流にも作用するため、トレンド形成に携われる可能性があるという点でやりがいを感じられるでしょう。
企業・ブランドの売上への貢献
バイヤーの仕事は企業・ブランドの売上に直結するため、仕入れた商品の売れ行きが伸びれば数字でその成果が明らかとなります。買い付けた商品の量や価格、店頭に並べ始めた時期などによってその売上は変動します。成功事例を得られれば、分析によって次の施策にも応用できるため、さらなる業績改善も実現可能でしょう。直に業績向上に携わりたい人にとっては、バイヤーの仕事はやりがいに満ちているでしょう。
バイヤーになるために必要/有利な資格
バイヤーへの就職・転職する上で、必要な資格と有利になる資格を紹介していきます。
バイヤーになるために必須の資格はありません。しかし、ファッション・アパレル業界の華型で人気のあるバイヤーになることは困難な道のりです。ファッション・アパレルの知識や、語学に関する資格を持っているほうが有利になるでしょう。
販売士検定
バイヤーの仕事に役立つことが期待される資格の1つが、「販売士検定」です。販売士検定は、7700万人の受験実績を誇る商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験です。「リテールマーケティング検定」と呼ばれることもあります。
販売士検定は、マーケティング、マーチャンダイジングをはじめとする流通・小売業における専門知識を測定する試験です。1級から3級までありスキルに合わせて取得することができます。
【応募サイト】
販売士検定
TOEIC
バイヤーは海外へバイイングへ行くことも多く語学力が求められるため、TOEICを取得しておくと役立つでしょう。TOEICとは、Test of English for International Communicationの頭文字であり、アメリカの非営利テスト開発機関ETS(Education Testing Service)が主催する英語のコミュニケーション能力を測定するための試験です。
外資系企業や、英語力を求める多くの企業では、採用選考の際、英語力の目安として、TOEICのスコアが用いられています。
【応募サイト】
TOEIC
ファッションの資格については各職種別にまとめた下記の記事も参考になるのでぜひご覧ください。
バイヤーになるためのキャリアプラン
バイヤーは店舗の運営や顧客のニーズを把握することが非常に重要になるため、未経験からバイヤーに就くケースは稀になります。一定の商品知識の蓄積はもちろん、顧客が求める商品の傾向や市場の潮流の把握、現場でのトレンド情報収集・分析能力、店舗とのコミュニケーションが不可欠であるため、一般的には店舗でアパレル店員、アパレル店長などのキャリアを積み、それからバイヤーになるという傾向にあります。
また、バイヤーアシスタントとしてバイヤーの仕事を始め、徐々に経験を積んでいくという方法もあります。ただし、バイヤーアシスタントから始める場合も、アパレル店員経験必須というケースも多々見受けられます。まずはアパレル店員の経験を積んでおくことが大切になるでしょう。
下記の記事では、株式会社ベイクルーズのセレクトショップでアシスタントバイヤーになった方へのインタビューがご覧いただけます。新卒入社2年後に同ポジションに選ばれるというあまりない事例ですが、参考にご覧ください。
アパレルバイヤーの求人一覧
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バイヤーの求人を見る【参考文献】
「ファッション辞典(第4版)」(大沼淳、萩村昭典、深井晃子 監修、文化出版局、1999)
「増補新版 図解服飾用語辞典」(杉野芳子 編著、ブティック社、2003)
「1秒でわかる!アパレル業界ハンドブック」(佐山周、大枝一郎、東洋経済新報社、2011)
「ファッション業界大研究[第2版]」(ファッション&ソフトマーケティング研究会 編著、産学社、2019)
「ファッション業界大研究【改訂版】」(オフィスウーノ 編、産学社、2008)
「アパレル素材企画 プロフェッショナルガイド」(野末和志、繊研新聞社、2019)
「役に立つアパレル業界の教科書」(久保茂樹、文芸社、2016)