「KOCHE × FACETASM デザイナートークセッション」が2016年10月17日代官山にて行われました。KOCHE はパリ発ブランドで、ユナイテッドアローズの新コンセプトショップ「H BEAUTY & YOUTH」のサポートによって今シーズン東コレに初参加するパリ発ブランドです。FACETASMは今年6月パリコレデビューを果たした、東京を代表する人気ブランドです。KOCHEはパリから東京へ、FACETASMは逆に東京からパリへコレクションの場を移動。お互いにパリと東京を知る二人からどんな話が聞けるでしょうか。早速皆さまにレポートをお届けいたします。
ーなぜパリコレだったのか?
KOCHEデザイナークリステル(以下、クリステル)
「私はフランス人で、ずっとパリに住んでいるし、これからもパリにいるというのは私にとってとても自然なことなんです。パリは歴史があり、伝統的。パリの歴史的なところと新しいものをつなぐ橋を作りたい。KOCHEではクチュールのテクニックを使いますが、それをストリートとかけ合わせたい。そしていろんな要素と掛け合わせていきたいと思っています。東コレに出ることはとても嬉しく私にとっては夢が叶いました。特にこの時代の中で、人種やカルチャーが混ざり合うことはとても重要だと感じています。」
※コシェのブランドの特徴とは?
昨シーズンから大きな話題さらう同ブランド。その特徴は、吹き抜けのショッピングモールや、一般の道路を会場として起用し、性別、国籍、体型、身長もバラバラなモデルを使用した、民主的なファッションショー。
FACETASMデザイナー落合(以下、落合)
「いざ世界といえばパリかなと思いました。LVMHプライズ(※)に出るまでは、世界との壁を自分としては感じていましたが、実際にコンテストに参加してみると、逆に自分たちで壁を感じすぎていたんだなと感じました。これからまた東京でやる予定は、今はないですが、ブランドの成長を考えたらパリを重点的にやっていきたいと思っています。」
※LVMHプライズとは?
LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトンが若手を支援するために創設した賞。今年、日本から初めて「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理がノミネートされた
クリステル「7年前メゾン ルマリエの仕事を紹介してもらいました。ルマリエは、羽やビーズの使用のテクニックに特化していたので、とても勉強になると感じました。そしてアートやコンテンポラリーに興味があり、自分自身でも提案していきたいと思っていたので、ここで働くことは特別な機会だと感じたんです。何千時間もかけて作るオートクチュールは、ファッションでありアートでもあります。そのような新しいダイナミックなものを作りたいし、若い人にも伝えていきたいんです。」
落合「クリステルさんにはとても共感します。新しい価値観で、やっていかなければならないという使命感はありますし、今回クリステルさんの意見を聞けたことはとても良かったです。オートクチュールをもっと知ろうと思いました。」
ーコレクション作りで重要なことは何か?
クリステル「コレクション作りで重要なことは、パッションやその時の状況、また伝えたいメッセージです。世の中に伝えたいことは何か。それらを含めてコレクションの内容を考えています。」
落合「いつも色々なことにアンテナを張っていて、東京に住んでいて何が足りないかなどを考えてやっています。いろんな仕事をすることもデザイナーの仕事なのかなとも思っています。」
ー洋服以外でデザインしたいものは?
クリステル「洋服以外でデザインしたいものは、色々あります。KOCHEはショーの会場や演出がよく話題になりますが、その時に使う音楽も興味ありますし、ルームシアター(演劇)やアートなどにも興味を持っています。様々なことに興味を持っていますが、その中でも特に演劇はとても興味があります。」
落合「特に何をとは考えてはいないのですが、想像してないことを言われた時に、ファセッタズムでどう表現できるかということは楽しみです。」
ー東京のどこが好き?
クリステル「昔から日本の文化は好きでした。川久保玲、山本耀司、三宅一生など、日本のファッションは好きです。日本に来て感じたことは、フリーダムなファッションという印象でそういったところも好きです。そして、陶器や着物だったり、日本のカルチャーはとても刺激を受けます。」
ー落合さんは東京をベースにしている。東京のパワーをどういう風に思われますか?
落合「東京はあまりにもガラパゴスだと感じています。東京をビジネスに繋げるのは、まだまだ不明な部分があります。全部が作られすぎていて、個性が出ないのかなと思っています。なので、逆にKOCHEさんがやってくれるのは嬉しいです。」
ー90年代マルジェラとコムデがコラボしたのが面白かった。今回、二人がやったら面白いのかなと思いました。
クリステル「パリのショーもそうなのですが、サプライズが好きなのでぜひ楽しみにしていてください。そして19日のショーも。」
ー服を着ることはどういったことだと思いますか?目的とまでは言いませんが。
クリステル「自分のパーソナリティを表現するということで、服は重要だと感じています。」
落合「すべてを受け入れてもらえるようなデザインをしているわけではないのですが、その言葉に出来ない違和感みたいなものを大切にしてもらいたいと思っています。」
(以下会場にて質疑応答)
ーパリに行ったことで受けた刺激はありますか?
落合「特に受けてないです。(笑)パリで刺激を受けました!みたいなそんなノリがダサいというか。パリだからどうとか、東京だからとか、特に意識はしてないです。」
ー若い人のファッション離れの状況はどう考えてますか?これがいいという服の選び方をしなくなってしまった若い世代。何か意識はされていますか?
落合「デザイナーとしてはお客さんのことを考えてデザインしてませんし、自分がどうこうしようとはあまり考えてません。特に意識はしてません。」
クリステル「もちろん、ファストファッションの影響などは感じています。ただ、自分は一生懸命クリエイトをし続けるので、そういった綺麗なものを好きな方に理解してもらえるよう、信じて頑張っていきたいと考えています。」
ー素朴な質問なのですが路上のような公共の場所でのショーは簡単に許可っておりるんですか?
クリステル「もちろん簡単ではないですが、そこでやることに意義があると思っています。伝えたいメッセージがあるので、実現させたいと思いやっています。」
ーなぜ今回はあのようなところで?
クリステル「特に毎回場所決めのルールはないですが、その時の気持ちと状況で考えています。前回は商店街のような気分だったんです。パリは、今テロが多く大きな局面を迎えているので、大きなメッセージを出さなければいけないと考えています。」
ー学生にアドバイスを
落合「デザイナーになりたいと思ったこと自体とても素晴らしいことです。オリジナルを磨いて、頑張って欲しいです。」
クリステル「個性を大切に。自分の言葉で、表現で。誰にも負けず、自分を信じて頑張って欲しいです。」
[hr]
スピーカーProfile
クリステル・コーシェ(KOCHEデザイナー)
フランス出身。セント・マーチンズを卒業。ハイブランドでキャリアを積んだのち、2010年メゾン ルマリエのアーティスティックディレクターに抜擢される。2014年自身のブランド「KOCHE(コーシェ)」を立ち上げる。Amazon Fashion Week TOKYO 2017S/Sにてコレクションを発表予定。
落合宏理(FACETASMデザイナー)
1999年文化服装学院卒業。2007年、自身のブランド「FACETASM(ファセッタズム)」を立ち上げる。2011年S/S’12 Tokyo Fashion Weekにて初のランウェイ形式でコレクションを発表。2016年S/S’17 Paris Men’s Fashion Weekにてコレクションを発表。
[hr]