株式会社READY TO FASHIONは2020年7月16日(木)〜22日(水)の1週間、ファッション・アパレル業界のキャリア・市場の動向などを知るライブ配信イベント「READY TO FASHION LIVE WEEK」を開催しました。
本イベント内で業界を牽引する14社と共に各日で行った、EC・スタートアップ・業界動向・キャリア・繊維商社の5つのテーマについてのオンライントークセッションの様子をレポートしていきます。
今回のテーマは「コロナ禍のニュース・転職市場を知る!」。
業界をニュースと採用の面でリードするWWDジャパンとクリーデンスからゲストを招き、コロナ禍の注目ニュースや各社の対応、採用・転職市場の変化について伺いました。
パネルディスカッション登壇者
小池裕貴(株式会社INFASパブリケーションズ WWDジャパン 記者)
1986年7月29日生まれ、広島県出身。大学卒業後、編集プロダクションでファッション誌や広告の制作に従事。2015年にINFASパブリケーションズに転職し、WWDジャパン編集部に配属。担当はセレクトショップとスポーツ。
細野和歌子(パーソルキャリア株式会社 クリーデンス事業部 キャリアアドバイザーマネージャー)
早稲田大学第一文学部卒業後、IT系メーカーに入社して法人営業を経験。2008年、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社。総合人材転職支援を行うdodaのキャリアアドバイザーとして5年勤務した後、ファッション業界の転職・採用支援サービスに特化したクリーデンスへ異動。以来12年間ファッション業界で働く個人の方のキャリアカウンセリングや転職活動のご支援に携わり、現在はキャリアアドバイザーのマネージャーとして勤務。これまでに約3000名以上の方のキャリアカウンセリング、転職支援に携わる。米国CCE,Inc認定 GCDF-Japanキャリアカウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント。
宮内裕多(パーソルキャリア株式会社 クリーデンス事業部)
2018年4月にパーソルキャリア株式会社に入社。現在「クリーデンス」にて法人営業担当。 2019年4月より、法人営業、「READY TO FASHION」の業務提携推進、新規事業担当「FLEXSHION」サービス企画に携わる。
<目次>
ファッションメディアのトップランナー WWDジャパンの決意
──まずはWWDジャパンの小池さんから自己紹介と企業の紹介をお願いします。
小池:WWDジャパンの小池裕貴です。2015年に「WWDジャパン」を運営する株式会社INFASパブリケーションズ入社して、ファッション・アパレル業界の記者として活動しております。
株式会社 INFASパブリケーションズ杉野服飾大学出身で当時はファッションデザイナーを目指していましたが、在学中にお会いした編集者の方の影響を受けて卒業後に出版や広告を専門とする編集プロダクションに入社しました。思いがけず記者になりましたが、もとを辿るとこのイベントに参加されている学生さんに近しい立場だったかもしれません。
「WWDジャパン」はファッションビジネス業界紙として1979年に創刊されたメディアです。WWDはウィメンズウエアデイリー(Women’s Wear Daily)の略で、本国のニューヨーク版は1910年創刊の100年以上の歴史があるファッションジャーナルになります。
現在はファッション週刊誌「WWDジャパン」、ウェブ媒体の「WWDJAPAN.com」の2媒体の出版・運営を中心に、SNS上での情報発信、企業や学生を対象としたセミナー・イベントの開催なども展開しています。
最近では動画コンテンツにも力を入れており、「WWDジャパン」のメイン特集を担当した記者による解説や、デザイナーへのインタビューなどをYouTubeで配信しております。
「WWDジャパン」の主な購読者はファッション関連企業や学生で、その約88%は定期購読となります。「WWDJAPAN.com」は月間約2700万PVを超えるWEBメディアで、月間300〜400本の記事を公開しています。
「WWDJAPAN.com」ユーザーの平均年齢25〜44歳、60〜65%が女性となっています。また、ユーザーの72%が東京近郊の関東エリア在住の方になるので、都市型メディアと言えるかと思います。
「WWDジャパン」では今年の9月から、「ONE WWD JAPAN」をスローガンに媒体の統合を試みています。
これまでは「WWDジャパン」とは別に、ビューティ業界特化の「WWDビューティ」を刊行していましたが、ファッションとビューティは本来近い領域のものです。ファッションとビューティ、デジタルと紙メディアといったさまざまな垣根を取り払って、より広く深い情報を読者に伝えていきたいと考えています。
業界で働く人の自己実現を少しでもお手伝いできたら 転職をサポートするクリーデンス
──続いて細野さんから自己紹介と企業の紹介をお願いします。
細野:クリーデンスの細野和歌子です。新卒でIT系のメーカーに入社、その後約16年ほどパーソナルキャリア株式会社にてキャリアアドバイザーとして勤務しております。
クリーデンスは2001年8月設立以来、ファッション・アパレル業界に特化した中途市場における人材紹介サービスを主軸に事業を展開しております。人材紹介サービスとして、転職を希望する個人のお客様と採用を希望する企業様の間に立って、個人のお客様には転職活動のご支援を、企業様には採用活動のご支援をそれぞれ提供しています。
クリーデンスは創業以来、ファッション・アパレル業界専門でサービスを提供しているため、個人のお客様、法人のお客様それぞれに関するデータベースを多数用意しています。また、一般公開されていない求人が全体の70〜75%を占めているため、クリーデンスにご登録いただければそれらの非公開求人のご紹介も可能となっております。
今年、業務委託・フリーランスで働かれている個人の方と業務委託で仕事を依頼したい企業をマッチングさせるプラットフォームサービス「Flexshion(フレクション)」を新しく立ち上げてました。ファッション・アパレル業界はもともと業務委託・フリーランスの方が比較的多い業界ではありますが、働き方が多様化してきた現在より一層増加するかと思うので、ご興味ある方、企業様はぜひご利用ください。
ほかにも個人、企業を対象としたイベント、セミナーなども開催しており、企業様に対しては課題に合わせたコンサルティングや研修セミナーなどを実施、個人の方に対しては接客やSNS運営などに関するさまざまなテーマのセミナーを企画・運営しております。
私自身ファッション・アパレル業界で働いた経験はありませんが、この業界で働かれている方々が大好きです。ファッション・アパレル業界以外の業界も担当していたことがありますが、この業界には好きなことを仕事にしたいという強い思いを持って働かれている方がとても多いと思います。
この業界で働かれている方からすると普通の感覚なのかもしれませんが、好きなことを仕事にできている人は実はあまり多くないと思います。好きなことを仕事にしたい、ファッションを通して何らかの価値提供をしたいという純粋な気持ちで働かれている方々の自己実現を少しでもお手伝いできたらと思い日々仕事しています。
2020年上半期のコロナ禍をニュースと共に振り返りる
──ここからはコロナ禍に起きた出来事の振り返りを小池さんに伺っていければと思います。
小池:これまでの新型コロナウィルスの影響をいくつかピックアップしたニュースとともに、あらためて振り返りたいと思います。各企業がどのような対応をしていたのかは、転職をする際に一つの指標になるのではないでしょうか。
初期段階は2月後半、新型コロナウィルスの世界的流行をうけて多くの百貨店やショッピングセンターが営業時間を1〜2時間ほど短縮するようになりました。さらに3月25日に開かれた小池百合子東京都知事による自粛要請会見以降は、主要商業施設が一斉に臨時休業に踏み切っています。下記は緊急事態宣言発令直前に撮影された写真ではありますが、街から人がいなくなった様子は記憶に新しいかと思います。
4月7日の緊急事態宣言発令から全面解除される5月25日までの約1カ月半に渡って、多くの店舗が休業を余儀なくされました。自粛・休業の影響により売上前年比60〜90%減の大幅減収となるアパレルブランドが続出、各国の渡航制限によりインバウンド売上が大幅に減少、中国を中心にした生産網停止による各社春物の納期遅れなどが発生したのもこの時期です。
この頃は各社さまざまな対応・施策を打ち出していましたが、業界内で特に話題になったのはベイクルーズ の本社休業の発表です。本社従業員の出社が感染拡大の要因となると判断して休業に踏み切ったそうです。素早い対応だったため各方面で苦労したそうですが、これは英断だったと思います。
全面解除後の6月に入って話題になったのは自粛の反動によるリベンジ消費です。インバウンド比率の高い都心部の百貨店やラグジュアリーブランドが大幅な打撃を受けていた一方で、郊外エリアの店舗の売上は想定よりも早く回復したと言われています。
細野:販売職の求人は全体的に減少していますが、首都圏近郊のアウトレットや郊外のSCに入っている店舗、郊外を主戦場としているブランドなどからの求人はこれまで同様お預かりしています。都心部になかなか行きづらい一方近場でお買い物される方が増えているため、都心部よりも業績の回復が早かったのではないでしょうか。
小池:厳しい自粛期間ではありましたが、店舗休業中にライブコマースなどEC施策に積極的に取り組んだマッシュホールディングスなどの企業が前年以上の売上を達成したケースもあります。
また、各国のファッションウイークの中止が余儀なくされましたが、ファッションショーにかわる新しいプレゼンテーションとして、映画監督などを起用した映像を配信するデジタルファッションウイークという取り組みも登場しました。
各方面でのデジタルシフトの進展というポジティブな出来事もあったこともコロナ禍の特徴だったと言えるのではないでしょうか。
採用・転職市場は即戦力重視へ
──続けて6月頃までの採用・転職市場の変化について、細野さんに伺っていきたいと思います。
細野:求職者数に大きな変化はありませんが求人数が減少したため、年明け頃から全マーケットの有効求人倍率は徐々に減少しており、5月で比較すると前年比26%減という結果が出ています。
ファッション・アパレル業界に絞って弊社のデータから見てみると、求人数に関しては今年1月をピークに大体1/3程度に減少しています。一方で、個人の方との面談実施数に関しては前年比130%ほどに増えている状況なので、有効求人倍率は昨年の1/4まで減ってしまっています。
本年度の採用予定数に関するアンケートをとったところ、約半分の企業が採用人数を減らすと回答していました。また、4割の企業が採用計画の見通しが立っていないと回答しているため、多く企業が採用に関して非常に慎重になってていると言えると思います。
──他業種と比べて、採用におけるファッション・アパレル業界の打撃は大きい印象を覚えます。
細野:先程小池さんもデジタルシフトについてお話されていましたが、ECと実店舗をうまく連携させて売上を伸ばしたいという企業は増えているため、EC領域やデジタルマーケティングのポジションの採用ニーズがこれまで以上に高まっています。
宮内:中途市場において販売職の求人は大幅に減少してしまっていますが、店舗でしっかりと働いてくれてる方の価値をあらためて考え直す機会になったというお話も最近よく聞くので、今後さらに個人の発信能力は重視されていくかもしれません。
細野:企業側の目線になった時に、むしろ非常に優秀な方を採用しやすい状況にあると言えるかと思います。求職者数減っていないのである意味採用のチャンスかなと。コロナ以前は超売り手市場だったので未経験の方でも育成しようとするスタンスの企業も多かったですが、いまは即戦力の方が採用採用されやすい状況です。
それを逆手にとっていまこそ優秀な方を採用して戦力を増強する企業も出てくるかと思います。また、個人の方にとっても厳選のなか採用されている状況なので、その企業とのマッチングの度合いは高い言えるかなとは思います。
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